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SUPPORTING ACTOR - 天落の魔術学園 1st-  作者: MIST・CAT
7th episode 学外実習─サバイバル─
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王道主人公と脇役主人公の戦闘

地図を確認しながら、マグナたちは移動する。前日に罠があった川沿いは当然使えず、森のなかを移動する。


彼らは特に問題なく進んでいた。それもひとえに、キヨが地図に進むべき方向、道をある程度書いていたからだ。


当然、その道中では敵チームに遭遇もしていた。もっとも、ガルダスの【魔砲・衝】が土煙をあげて敵チームの視界を奪い、その隙に突破という代わり映えのしない方法で切り抜けていた。


結局のところ、友達だろうとなんだろうと、今は敵チーム。敵の敵は味方……なんてことにはならない。情報提供をする者などいない。キヨたちのチームの作戦は、だからこそ通用していた。


夕方になり、ようやくキヨも目を覚ました。未だに疲労困憊の状態ではあるが、自身の足で動いていた。


「わりと進んでるな……休みを減らせば、夜中には学園の施設に到着できそうだ……どうする?お前ら」


「もうヘトヘトだもん、はやく施設に行って休みたいかな?」


キヨの問いに答えたのはセニア。彼女たちの顔には、相当な疲労が見てとれる。無論、現状ではキヨの方が疲労しているのだが。


「そうですね……森の中で休みたくはないですし……」


もじもじしながら賛成するのはミラ。結局、ペースを上げて施設に向かうことになった。とは言ったものの、だ。


「夕飯くらいは食べておきたい所だな。消耗した状態で休みなしで移動はつらそうだし」


ダグラの言葉に、キヨとマグナが頷いた。前日と同じように食材を集め、簡単に調理。休憩もそこそこに、移動を開始する。


(どうやら、この近くには生徒がいないようで、妨害されたりすることはないようだな……)


と、キヨが安心した直後である。


「キヨ!!!」


光の剣、土の針、火の波、水の槍、闇の槍が、キヨを襲った。回避にギリギリで成功したキヨが、魔法の出所を見た。そこには、やはりというべきか。


ルニアたち、いつものメンバーがいた。


「キヨ、大丈夫か!?」


マグナが駆け寄ろうとするが、既に遅い。キヨと自分たちを囲むように、イツキが火の壁を展開した。


「ちっ……」


「キヨ!!!なんでみんなを襲ったんだ!!!」


「は?」


「昨日の夜だよ!!!僕たちは見てたんだ!!!」


(くそ……迂闊だった……ギリギリ探索魔法の範囲外にでもいたのか……)


答えないキヨに業を煮やしたのか、ルニアは叫ぶ。


「皆はこうも言ってたよ……キヨ、君があの子たちを脅して班に入れてもらったんだってね……」


(そう来たか……いや、負けることを前提にこのバカをけしかけやがったな)


「キヨ、君の過ちは僕たちが正す!!!【ホーリーレイ】!!!」


「ぐっ……」(マズイ……力が入らない……)


避けきれないと判断したキヨは、腕をクロスして光線を受ける。いつものキヨなら、魔法での相殺あるいは蹴散らして、対処できただろう。


しかし、貴族たちとの戦闘。フォイの魔剣。約2日に渡る移動。それぞれによる疲労が全く抜けない状態では、判断力はいつものそれには及ばない。


魔力の練りも、そうとう粗くなっていた。結果、キヨの防御は貫通され、体が光に飲まれる。CPはなんとか死守したが、それよりもキヨの身が危うかった。


CPは既にひび割れており、あと一撃でも貰えば簡単に砕けてしまうことは一目瞭然であった。その様子から、ルニアの取り巻きたちは好機と見たようで、一斉に魔法を発射。


「【アクアスクリュー】!!!」

「【ムグナルク】!!!」


火の壁を突き抜けた水の奔流が、キヨを守る。同時に、ガルダスが現れた。水の中に入り、無理やりこちらに来たらしい。


「キヨ!!!大丈夫だな!!!」

「なんとかな……」(無茶しやがる……水の中級魔法とは言え、相当威力ある魔法の中に入って、一緒に飛び込んでくるとは……)


(さて……手負いの俺と、ガキのガルダス……どうする……)


思考を加速させる。選択肢としては、逃げるのが好ましいと思われるが、はたして上手く逃げられるのか。


(多少の無理はこの際仕方ないか……)


改めて、自身の置かれている状態、立ち位置を把握していく。


(前には俺を中心に奴らが等距離に並んでる……後ろには炎の壁……壁は四方に展開されてる……俺の魔法でも中級で少しだけしか壊せないな……)


「【アクアウェーブ】!!!」


キヨは考えが纏まった瞬間、作戦を実行した。水の波は、以前にも使った、キヨを中心に全方向へと発射された。


「なっ!?【ホーリーブロック】!!!」


五人は直ぐに防御魔法を展開、キヨの魔法から身を守った。


「キヨ!!!何するんだ!!!」

「あばよ!!!」


ルニアたちの方向に放った水の波は魔力がスカスカのもの。本命は後ろの壁を一瞬だけ破壊すること。キヨの選択肢は、逃走。


壁が破壊され、修復される刹那を見極めたキヨとガルダスは、そこから脱出した。そして、


「走れ!!!一気に施設を目指す!!!」


炎の壁に背中を向けていた状態から反転、壁に向かい合って、何かの魔法を展開しつつ大声で叫び、キヨはマグナたちに脱出したことと、これからの行動を知らせる。


「ガルダス、頼む!!!」


「うむ!!!【ムグナルク】!!!」


ガルダスが身体強化魔法を使用、キヨを担いで走る。


「待て……なっ!?これは!?」


バキッ、ルニアたちが一歩踏み出した瞬間、水を多分に含んだ地面が氷結。彼らの足をも凍らせた。


「【アイスグランド】……俺の作った特別な魔法だ……3時間はそのままだろうぜ……ハハッ……」


ざまぁみろ、とでも言いたげな顔をしたキヨが、再び意識を失った。

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