サバイバル2
五人が再びイチャイチャを始める時、既にあたりは真っ暗。時計の針は、7時30分を指し示そうとしていた。
視点は戻り、キヨたちのグループでは、夕飯の準備が終わったところである。魚とキノコ、野菜を使ったスープが今夜のご飯である。
「いただきます!!」
7名(内一名が使い魔)が、一斉にスープを飲む。器は、近くの木をくりぬいたものだ。キヨの風魔法でおおよその形に切り、水魔法で表面を綺麗に整えた。
「うめぇ~!!!流石キヨ!!!」
「まさか料理を作れるのが俺とミラだけとは思わなかったぜ……」
頭を抱えるキヨ。言葉の通り、このメンバー内において、料理が出来るのがキヨとミラだけだったのだ。セニアとルピアは多少なり出来ると思っていたのだが、世は無情。二人とも包丁すら持ったことがなかった。
「……ドンマイ……プッ」
「……お前もう帰れよ……」
サバイバルという名のタイムアタック本来とは違う理由で早くクリアする必要を感じた。
「で、マグナ……よさそうな寝床は見つかったか?」
「悪い、なかなか見つからなかった……」
とりあえず夕食を取ったはいいが、やはりと言うか、良さそうな寝床は見つからなかった。それを聞いたキヨは、ダルラに少し質問する。
「なら、森の中にある川の上流の滝壺の裏に、土魔法で穴を作れるか?竪穴のやつ」
「見てみないと分からないけど……多分大丈夫だ」
「よし、そこで寝るぞ……あとは適当に葉っぱなりローブなりを敷けばいいだろ……たかだか1日くらいだから我慢しろよ?俺だって本当なら願い下げしたいくらいだ」
ブーブーと言うメンバーを無理やりおさえ、移動する。滝壺の裏はそこそこ柔らかい土だったらしく、ダルラが簡単に竪穴を作れた。
そこに、周囲の木から持ってきた葉っぱを敷く。とは言え、毒虫がいないとも限らないとのことで、キヨが魔法で水を出し、マグナがそれを火の魔法で高温の水蒸気にして、葉っぱを蒸した。
それがある程度乾き、冷めてから、マグナたちは眠り始めた。寝ている最中に襲われるとマズイ、とキヨが言ったために、2、3時間交代で見張りをすることになった。
はじめはキヨと、使い魔のガルダスからである。
「……さてと……」
「キヨ?どうかしたのか?」
皆が寝静まったことを確認すると、キヨはガルダスを竪穴に入れてから【アイスブロック】を使い、竪穴の入り口を凍らせた。
「なっ!?キヨ!!」
「なぁに、お客さんが来るんだよ……招かれざる、な……ガルダス、中の奴らは起こすなよ?お前は寝ておけ」
「でも!!!」
「大丈夫だから、……ガルダス……」
「……わかったのだ……」
ガルダスは悲しそうな顔だった。キヨに信じてもらえていないような気がしたからだろう。そのキヨは、というと。
「これで……よし、【ムシルド】っと……」
【アイスブロック】の前に、同じ寸法の【ムシルド】を魔法陣で展開していた。また、腰のポケットから銃を取りだし、数十発を周囲の木々に撃ち込んだ。
それから一時間ほどが経過。招かれざる客が、やって来た。




