ガルダスの日常3
子どもたちの安全を確認するついで、という言い訳を思い付いたガルダスは、二人とともに牧場を見て回ることにした。
「色んな魔物がいるのだな!!」
そこには、鳥竜種の魔物、飛竜種の魔物、牙獣種の魔物、悪魔種の魔物、人型種の魔物、スライム種の魔物などが大量にいた。
「改めて見ると、すごいよなぁ……どうやってテイミングしてんだろ……てかここの魔物たちって、お互いに攻撃しないんだな……」
「天敵ってやつのこと……?そう言えば確かに……」
ライ、ヒョウカの呟きに、ガルダスは首をかしげる。
「別に変なことじゃないではないか。主人……というのか……友達の友達に攻撃はしないのではないか?
だって、ミーティアさんの旦那さんの友達を攻撃したら、ミーティアさんの旦那さんが悲しむではないか。それは、皆にとっても悲しいことなのだ!!」
でも……と、納得がいかない顔の二人。魔物はどこまでいっても魔物。彼らの中ではそれが根強くあるのだろう。
ガルダスは元々魔族であり、記憶喪失。人間の常識は当てはまらないのかもしれないが。
「ま、とりあえずガルダスの見たかったものは見れたろ?早いところ戻ろうぜ?」
「そうね。なんかあの後にやることある……みたいなこといってたし……」
ガルダスの目的を達成した三人。名残惜しさを滲ませるガルダスを引きずるようにライ、ヒョウカは三人で休憩所へと戻った。
「帰ってきたわね……じゃあ、これ!!」
帰ってきた三人に待っていたのは、
「……ケーキと……クッキー?」
ケーキとクッキーだった。
「飛竜種の卵を使ったケーキと、牙獣種の乳と鳥竜種の卵を使ったクッキーなんだけどね?味見してくれる人たちを探してたのよ~。で、子どもたちのおやつにもなるから味見役をと思ってね?」
じゃあ遠慮なく……と、三人も口にケーキを運ぶ。
「あ、美味しい」
「うまっ!!」
「美味しいのぅ……味がしっかりしているというか……ちょうどいい濃さ、というのか……」
「ふむふむ……クッキーの方は?」
メモ帳片手に、何やら書き込みながらミーティアはクッキーの感想を求めてくる。三人も促されるままに、クッキーを咀嚼していく。
「……なんかパサパサしてる……」
「でもうまいぞ?」
「乳が薄いのではないかの……というか、量が少ないとか……かの?」
やっぱり、という顔のミーティア。元々思い当たるところがあった様子だ。
「やっぱり、パサパサしてるわよね……旦那にどうしたらいいか、聞いてみるわね?そしたらまた味見してくれる?」
のんびりしている内に、日が傾いてきていた。そろそろ、子どもは帰る時間が近づいてきたことになる。
「もう遅いし、ギルドまで送っていくわ!!」
というミーティアの提案を受け入れて、全員でギルドへと帰った。そこで、今日の依頼完了の報酬を全員で分けた。
「うむ。ではもう私は帰るぞ!!また今度よろしくなのだ!!!」
「じゃあな、ガルダス!!!」
手を振りながら、ガルダスを見送るギルドの子どもたちに、少し後ろを向きながら手を振り返して走るガルダス。
「【ムグナルク】!!!」
身体強化魔法を発動し、いつもよりなお速く駆けていく。一時間かかる道のりを僅か30分で走り抜けた。部屋に入ると、
「おかえり、ガルダス」
「ただいま!!」
ご飯の準備を終えたキヨ。
「どうだった、今日は?」
「うむ、楽しかったぞ!!」
今日の出来事を楽しそうに語るガルダス。それをただただ、聞いているキヨ。いつものような、賑やかで、楽しい日常がまた1日、過ぎていった。




