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SUPPORTING ACTOR - 天落の魔術学園 1st-  作者: MIST・CAT
5th episode 夏季休暇 ─スキルアップ─
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VSウッドタイガー単体

「さてと……ガルダス、ウッドタイガーを仕留めるぞ」



「しかしキヨ、ウッドタイガーはバラバラに……」



「バラバラにしないと勝てん。いや、それ以前に、準備が出来ないからな……まずは、向こうに行った奴からだ。全個体の中で最も小さいものだ。そして最も出口に近い場所だ……」



落下しつつ、キヨはガルダスに伝える。足に通常以上の魔力を纏わせて無事に着地する。そして、またガルダスに伝える。



「まず複数の相手に勝てない時は、戦力をバラけさせることが重要だ。


コンビネーションの破壊に、総魔力量の分裂なんかの利点がある。が、対人戦だと人数が減ることで逆に個々人の戦闘が活かされることがある。


……ただ、これが魔物に当てはまるかはまだ分からん。最も、六体相手に勝てる見込みは全くない。今回はこれがベストだと思われる……」



確証はないがな、とキヨは苦笑いでガルダスに語りかける。



「さてと……ガルダス、ウッドタイガーの攻略だが……作戦は考えてある……」



「うん!やってみるぞ!」



狙いのウッドタイガーへと向かいつつ、キヨはガルダスに作戦の説明をしていく。



「大まかな流れはいいな?」



「うん!」



「よし。なら次。以前お前に渡した、[魔力貯蓄器]を貸してくれ」



「む……これ?」



ガルダスはポケットを漁り、[魔力貯蓄器]を取り出す。キヨはそれを受けとると、集中しはじめた。



(……魔力は……全体の約1/3か……)

「キヨ、どうしたのだ?」



ガルダスに声をかけられて、思考の波から抜け出す。キヨは再び話を再開する。



「さて……総魔力量は神級5、6発分と俺の魔力量ってところか……よし……」



「ガルダス、一体につき使っていい魔力は、半分程度だ……俺たちで二体倒すぞ……」



「二体?残りは?」



「シドに任せる……あいつは俺より強い……それに、おそらくだが力を隠してる……なんとかなるだろ」



ウッドタイガーの近くに来たキヨとガルダスは、作戦の準備を、しながらも移動していく。準備が終わり、キヨが動く。



「【ウィンドエリア】…………よし、位置把握完了……行くぞ!!!身体強化術!!!」

「うん!!【ムグナルク】!!!」



ウッドタイガーの位置を把握し、走り出したキヨに続き、ガルダスは走る。すぐに、二人はウッドタイガーと対面する。



「ウボオォォォォォォォ!!!」



吠えるウッドタイガーを無視し、キヨはガルダスに指示を出す。指の先には、ウッドタイガー。



「ムグルゼム、すぐに魔砲・衝で目眩まし!!!」

「【ムグルゼム】!!!」



ガルダスの手から、球体状の魔力が射出される。それは、特別速い訳でもなく、遅い訳でもない、中途半端な速度でウッドタイガーに命中する。



【ムグルゼム】が当たったウッドタイガーは、暫く固まるが、すぐに意識をキヨたちに集中する。が、ガルダスの【魔砲・衝】が、緑色の落ち葉を撒き散らす。



「【アクアボール】!!!」



その葉の幕を貫き、キヨの放った水球が、ウッドタイガーの顔に、目に、命中する。水は球体から変形し、顔を蹂躙した。



「ボオォッ!?」



目や鼻に水が侵入したウッドタイガーは、奇声をあげて顔を手で拭う。しかし、そんな隙を見逃すキヨではない。



「ガルダス、休ませるな!魔砲・貫を脇腹に入れろ!!!」

「了解!【魔砲・貫】!!!……あっ!!!」

「ウボオッ!!?」



貫通性のある魔力は、ウッドタイガーの脇腹に大きな力を加える。魔砲・貫が当たる瞬間、ウッドタイガーの体が僅かに輝く。そして、ウッドタイガーを守る木の鎧の側面を、魔砲・貫が破壊した。



「ウボオォ……」



自身の鎧を破壊されたウッドタイガーは、二人に警戒する。キヨはウッドタイガーから目を離さずに次の指示を出す。



「俺が隙を作るから、ムグルゼムを当てろ!」

「了解!」



キヨはウッドタイガーに接近する。手には、【ウィンドボール】が一つだけ。ウッドタイガーはキヨから距離を取るように移動する。



それを見たキヨは、まず【ウィンドボール】を投げつける。だが【ウィンドボール】はウッドタイガーには全く効かない上に、目眩ましにすらならなかった。



(ちっ!!!……隙が出来ない!!!)



「【ウィンドランス】……【アイスソード】!!これで!!!」



風の槍を放った後、キヨは複数の氷剣を精製する。氷の剣は複雑な軌道を描いてウッドタイガーに肉薄する。



「ウボオォ!!」

「【ムグルゼム】!!!」



氷剣が、ウッドタイガーの木の鎧が砕けた脇腹を抉った。ウッドタイガーが僅かによろけた。瞬間、ガルダスは【ムグルゼム】をその体へと叩きつけた。



「ウボオォォォォォォォ!!!!」



それは、ウッドタイガーを怒らせることになったようで、ウッドタイガーは怒号をあげてキヨへと爪を向けた。



「ヤバッ!?」(速い!!?さっきはこんな速くなかったろ!!)

「キヨ!!!」

「問題ない!!このまま押し切るぞ!!」



木爪がキヨの左腕に穴を開ける。腕に爪が刺さった瞬間、反射的にキヨはウッドタイガーの鼻に蹴りを入れる。ウッドタイガーは鼻を潰され、たまらず後ろに下がる。同時に、キヨの腕から爪が抜ける。



「ガルダス!!魔砲・貫をウッドタイガーに向けて撃て!!!」



キヨはガルダスが【魔砲・貫】を放つよりも速く、二本の投げナイフを取り出すと、ガルダスとウッドタイガーの間に投げた。ナイフは、僅かに煌めいている。



「【魔砲・貫】!!!!」

「ムグルゼムの効果……諸刃の剣になりそうだな……」


ナイフの煌めきはより強くなり、【魔砲・貫】がナイフに当たると、更に光った。そして、【魔砲・貫】はより太い線になる。



二本の投げナイフを中継し、【魔砲・貫】はウッドタイガーを捉えた。ウッドタイガーの体は再び光り、ウッドタイガーに直撃した。



「ガァァァァァァァァァァ!!!!!?」



直撃を受けたウッドタイガーは、凄まじい勢いで大木にぶつかり、悲鳴をあげた。 地面にずり落ちると、そのままもがいていることから、立てないことは明白だ。

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