学生の友達、宿題の登場
翌日。教室に行くと、何があったのかは分からないが、騒がしかった。不思議に思ったキヨは、マグマに話を聞いた。
「おはよう。マグマ、いったいどうしたんだ?」
「あ、あぁ、おはよう。いやな?……ルニアたちが何かやらかしたとか何とかって……」
「また何かしたのか?あいつら……」
「なんか、昨日の放課後に最上級魔法使ったとか何とかって……」
騒ぎの元は、昨日のことだった。ルニアの使った【ホーリードラゴン】のことのようだった。
「あれか……」
「何か知ってるのか?」
「向こうから襲ってきたから返り討ちにした」
「……は?返り討ち?……」
教室の空気が凍った。そして、何やらキヨに視線が集まる。
「な、なんだ?」
「いや、お前……返り討ちって……あいつら、馬鹿みたいに強いんだぞ!?数の暴力だけど!!」
それかよ、とキヨが思ったのは言うまでもない。
「魔力が多いことに頼りきってる馬鹿にやられるほど、阿呆じゃないからな」
(((うわぁ~……ばっさりだ……)))
クラス中がそう思ったのは言うまでもない。
「おら~……席につけ~、宿題増やすぞ~?」
と、いきなりサカタ先生が教室へと来た。今の一言で全員が座った。と、ある女子が
「先生~、ルニアくんたちは?」
と、質問した。サカタ先生があぁ、あいつら?と答える。
「騒ぎ起こしすぎたから、宿題2倍にして、今日は来んなって言っといたから、休みだ」
(((さっきの発言はマジなの!?)))
サカタ先生の一言で、クラスに戦慄が走った。特に朝のHRでは連絡することがないとのことで、入学式を行った場所で終業式が行われた。
終業式が終わり、教室で宿題が渡された。1人ひとり違うらしく、サカタ先生が個々に渡していた。そしてキヨの番。
「あ~、お前の場合は……これだ」
「……これは何ですか?何故にガルダス観察日記なんてものなんですか?」
渡されたのは、表紙にガルダス観察日記と書かれたノート一冊。サカタ先生も、困った顔で弁解した。
「いや、お前……普通に教師より頭いいから要らなくね?ってことだったけど、教頭がそれはマズイから形だけでも出しとけって、これを……なぁ……」
「なんだそれ……」
「しゃあないだろ。かなり譲歩したんだぞ?俺ら教師はなしにしようと思ってたけど、教頭が『キヨ君の頭だと、必要なさそうですね……でも出さないのはアウトですよ?』って言うし……結局、使い魔が珍しい魔族ってことでガルダス観察日記になったんだ」
キヨは、要は苦肉の策かよ、とか、教師も教師で色々あるんだなぁ、なんてことを思ったらしい。
他の生徒の宿題も配り終えた所で、解散となった。あるものは遊ぶ話を、あるものは宿題の話を、あるものは修行の話を、各々の予定を話していた。
「キヨ~」
「マグナか。なんだ?俺はこれからセニア達にお礼を言いに行くんだが?」
「あ……そう。義理堅いのな、お前」
「用件を言え、用件を……時間ないんだから」
そうだった、とマグナ。
「宿題手伝ってくれ!」
「断る。自分でやれ」
わりとしょうもないことだった。キヨはさっさとセニア達に話掛けてお礼を言うと、寮へと帰った。が、そこにはマグナがいた。
「おい。お前はストーカーか?」
「頼むよ~?キヨだって宿題あんだろ?」
手を合わせて頼むマグナだが、キヨは
「残念ながら宿題らしい宿題はないんでな」
マグナの顔が、絶望に染まった。




