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SUPPORTING ACTOR - 天落の魔術学園 1st-  作者: MIST・CAT
1st episode 理由─ワケ─
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王道主人公の取り巻きと脇役

高等部入試の前日のこと。キヨはある女子に、放課後に屋上へと呼び出された。



補足すると、告白とかではない。



「……来ましたわね」



ティーシャ・アクア。水の六大貴族の次期当主である。六大貴族とは、王族の次に力のある貴族のことである。



六大貴族の下に、上級貴族、中級貴族、下級貴族の3つがある。その下に平民、そして奴隷がいる。キヨは平民にあたる。



「単刀直入に言いますわ。あなた、王立プライン学園高等部を受験なさい」



「断る。だいたい、俺がそこを受けなきゃいけない理由は?」



「あら?あなたなら容易に分かるかと思いますが?」



(……またアイツか……)



と、キヨの頭にある人物の顔が連想された。



「やっぱりアイツか。なら、なおのこと拒否させて貰う」



そう、このお嬢様はアイツに惚の字なのだ。キヨがさて帰ろうか、とすれば



「あら……あなたが『プライン学園高等部を受ける』と言わなければ、強行手段を取らせてもらいますわ」



穏やかじゃない空気が、あたりに流れる。



「……強行手段ねぇ……どうだかな、見せてみろよ」



パチン、とティーシャが指を鳴らせばあら不思議、黒服の厳ついお兄さんがキヨを囲っていた。黒服は10人。



「分かりました?あなたには『はい』と言うしかないのですわ!」



「…………くっはは…………甘く見られたもんだ…………嘗めるなよ?」



手始めに、まず正面の黒服(以下黒〇)、黒1に接近、魔法を使われる前に側頭部に足蹴りを、思いっきり入れる。キヨの狙いは脳震盪だ。



狙いが上手く決まり、黒1はダウン。黒2と黒3が魔法を放とうとしているのを視界の端で確認。



即座に黒1を盾にする。流石に仲間……それも魔法を使えない状態……に魔法を放つなんて出来ない。



キヨは黒1を黒3の顔めがけて投げつける。そして黒2に駆け寄り、水の初級魔法【アクアボール】を両手に作り、二発の内、一発を鳩尾に入れる。



上手く鳩尾に魔法が入り、一瞬だけ隙が出来る。すかさずもう片方の魔法を顔面に押し当てて、固定。窒息させて気絶に追い込む。


キヨは、黒3をちらりと見た。黒3が、黒1を顔で受け止めたかを確認したのだ。



結果として、黒1と黒3は仲良く気絶していた。



(さて、残りは魔法で数減らすか……)



次いでキヨが使ったのは、水の中級魔法【アクアウェーブ】。広域攻撃魔法の一つ。ここは屋上だから、大して攻撃力は必要ないからだ。



何故なら、彼らを下に落としてやればいいのだから。



「【アクアウェーブ】!!!」



キヨの魔法に対して、咄嗟に防御魔法を唱えられたのは、3人。



ティーシャと黒4、黒5。



因みに他の黒服も、反応出来たのだが、気絶した仲間を庇うために、わざと波に飲まれた。



「で?どうするんだ、ティーシャ……まだやるなら……容赦はしないが……」



「そんな……アクア家の尖鋭が……キヨごときにやられるなんて……」



問いかけるキヨだが、呆然とするティーシャの耳には入っていなかった。



「こちとら、死線いくつも抜けてきたんだよ……」



「う、嘘よ……クリス、ニニス、アイツを倒しなさい!」



「「ハッ!」」



「残念だったな……俺の勝ちだ……」



さっきの中級魔法は、この場にいる人を減らす事ともう1つ、役割があった。



「氷の初級魔法【アイスロック】!!!」



屋上を水浸しにする事。氷の魔法は、水属性と風属性の混合魔法。これ単体を発動するのは、かなりの魔力コントロールがいる。



だが、水があると、氷魔法を使う際のコントロールが少しながら容易になる。原理は不明だが、実際に効果があるのに、誰も気にしていない。



相手を無力化したが、やり過ぎたと思ったキヨは、何か考え込む。そして唐突に口を開いた。



「……取引するなら、王立プライン学園高等部を受けてやってもいいぞ……」



「っ!?取引?」



圧力をかけられるよりも前に手を打ち、圧力を掛けさせなければいい。



「あぁ……今後、俺…いや、アルケム家に必要最小限しか関与しない。それを守るなら、王立プライン学園高等部を受験してやってもいい」



(……さぁ、どう出るか……)



暫く考え、ティーシャは答えを出した。



「……分かりました……条件を飲みましょう……」



「契約成立だ……いいぜ、王立プライン学園、受けてやるよ」

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