キヨとガルダスの、とある日常
時刻は12時。キヨとガルダスは食堂にいた。特待生の特権で、食堂での食事にお金はいらないからだ。ガルダスには先に食べてもらっている。
「おまち~っす。なんか久々に定食頼んだんじゃねぇの?キヨ」
「あぁ、普段は人が多いのが嫌なんだ。まぁ、今なら誰もいないと踏んで、定食頼んだんだよ」
ある人物に話があったからだ。彼は、日野松陰。なんでも、気づいたら『地球』からこちらの世界に来ていたとのことだ。つまり、異世界人だ。
「まぁ、それに聞きたいことがあってな……」
「聞きたいこと?なんだ?」
「あぁ、『転生者』とか、『○コ動』とかって何か分かるか?」
そう、『クリアスキニン』のこと。もし松陰が知っていれば、単語の意味が分かると考えたのだ。
「転生者……まぁ、文字通りだろうけど……俺なら異世界の『地球』から迷いこんだ『ただの地球人』。けど、『地球』で死んだけど、何かしらの力でこっちの世界に生き返ったりした人が『転生者』ってことじゃないか?
てかニ○動は……動画サイト……あ~……動画ってのは……動く写真とか絵とか、みたいなの?ってかんじ?話聞く限りじゃ、『地球』からの転生者だな……」
要領を得ないが、知っているらしい。キヨは、『クリアスキニン』を松陰に見せることにした。
「これなんだが……少し見てくれ」
「どれどれ……」
キヨから『クリアスキニン』を受け取り、パラリと表紙をめくり
「あぁ……これは『地球』からの転生者だな……wなんてのは確か……厨二病ってやつがよく使うしなぁ……『魔女っ子諏訪○』はよく分かんないけど……」
どうやら、ビンゴのようだ。つまり、この本にある魔法陣・術式たちはある程度信頼できるだろう。
「そうか……それだけでも分かってよかった。ありがとう」
「気にすんな。家の店救ってくれたじゃんか、お前」
何やら昔、キヨが松陰の抱えていた問題を解決したらしい。その辺は機会があれば語るとしよう。
「さてと、ガルダス」
「ん?なんだ、キヨ……改まって……」
一足先に食べ終わったガルダスに、キヨが話し出す。
「新しい魔法を作った。俺がご飯を食べたら、解説するから、この後は動かないでくれ」
その話に、ガルダスが「おぉ!」と声を漏らす。これでまた戦術に幅が出て、さらに動けるからだろうか。
「了解!部屋で待ってる!」
キヨを置いて、走って寮へと向かってしまったガルダスの背中を、呆然とキヨは見ていた。が、すぐに正気に戻った。ご飯を食べ終えると、ゆっくりと寮の自室へと向かった。
「キヨ!遅いぞ!」
「お前が早すぎただけだ。そして落ち着け、ガルダス……」
そして、キヨは作った魔法を丁寧に解説していく。
「はぁ~……6つも作ったのか、キヨ……」
「あぁ、あと1個増えるかもしれないが……とにかく、明日から暫くはこの中の魔法を習得する訓練だ。まぁ、ガルダスがどのくらい魔力を使えるかみてからだが……」
そして、キヨとガルダスは翌日から新たな魔法の習得の為の訓練をしていった。そんな日も過ぎさり、7月10日。キヨは久々に教室へと赴いた。




