表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
SUPPORTING ACTOR - 天落の魔術学園 1st-  作者: MIST・CAT
4th episode 学生の敵─テスト─
30/86

和解と親睦と対策と

「……まぁ、だから何かって訳じゃないけどな……」



反省はしているらしい、とキヨは判断。追及はしなかった。



「それについては悪いと思ってる……すまない……」

「ごめんなさい……」

「ごめんね……」



「ま、まぁ、こう言ってんだしさ?みんな……許してやれよ、キヨ」



謝った三人のフォローに入るマグナだが、キヨは特に反応しなかった。



「……キヨ?」



「アホか、お前ら……」



そう。下らない、と思っていた。



「差別しといて、ごめんなさいの一言で許される?そんなことで許されるとでも思ってんのか?……餓鬼じゃねぇんだから少しは考えてみろよ……自分が俺の立場なら、どう思うか……とかな……」



明日プリント作ってきてやるから、今日は勘弁な。とそれだけ言うとキヨは鞄をひっ掴んで図書室を出た。



その場に残った四人の間に重苦しい空気が漂う。



「キヨ君の立場になって……か……」

「そう……だよね……」

「……」



マグナは黙っていた。流石にそのことに追及できるほど、自分が偉いとは思っていないから。



「差別されてごめんなさいの一言で許してもらおう……っていう考え方が甘いのかな……」

「でも、恨んでない、みたいなこと言ってたし……」



「あいつは、あんな態度取ってるけど……そんな器の小さいやつじゃないさ」



だが、つい口を出してしまった。



「え?」



「あいつは何だかんだ言っても、相手の為になることしか言わないからさ」



学年別トーナメントの選手選考の試合の後、アドバイスを貰ったマグナだからこそ言えること。



「きっと、『反省しました。終わり。』じゃなくて、反省した後どうするか、そこが重要なんじゃないか?」



「あ……」



キヨからすれば、差別なんてあって当たり前。許す許さないはさして重要ではなかった。更に言えば、キヨは達観していた、というか精神が同年代の人よりも大人に近い。



差別してきている人の気持ちもそれとなくはわかる。女子がルニアに近づきたいという気持ちは、残念ながらルニアを知っているが故に分からなくなるが、全く分からない訳じゃない。



そのルニアの親友(一方的に思われているだけ)なのだから、ついつい男子が嫉妬から、八つ当たりしてしまうのも分からなくはない。



子供の時に、そこまで理解してしまったキヨは、彼ら彼女らからの差別を黙認した。



してしまった。



結果としてキヨは、甚大な被害に遭ったのだが。



当然、図書室にいる四人はそんなこと知らない訳だが。



「だから」



マグナは話を続ける。



「あいつと仲良くしてやれば、それだけでいいんじゃねぇか?」



自身の感じたことを。



────

───

──



「よっ。これ、今日中にやっとけよ?間違っててもいい」



翌日。キヨがマグナに三枚のプリントを渡す。そこには、多量の問題が書かれていた。



「……これを……今日中に?」



「基礎問題九割と応用問題一割だから難しくはない」



などと話していたキヨに、



「おはよー」

「おはー!」

「おはようございます、キヨ君」



例の三人が挨拶した。キヨも、



「あぁ、おはよう」



挨拶を返した。



─その日の放課後─



「で、お前らも勉強教えて欲しい……と……」



図書室でマグナに勉強を教えていたキヨに、三人がやって来た。



「ダメか?」



と、男子が聞いてくる。



「いや、別に問題ない。こちらとしても厄介者から逃げる口実ができたしな」



それよりも、とキヨは話を続ける。



「俺、お前らの名前知らないんだけど?」



「あ……悪い……オレはダルラ・ドルグラン。よろしく」



ガリガリな男子が自己紹介をした。次に、青髪の女子、金髪の女子と、順に自己紹介をしていく。



「私はルピア・ブレイズだよ!よろしく!」

「セニア・コートニーです。よろしくお願いします」



「ダルラにルピア、セニア……ね……よろしくな。で、お前らは何が分からないんだ?」



そう聞いたのが間違いだった。



「「「全部」」」



「……は?……全部?」



これにはキヨも、頭を抱えた。結局、マグナにやらせた問題を三人にも解いて貰った。



「なるほど……セニアとダルラの二人は基礎が出来てる……しかし、応用と高等部の問題に難あり……マグナとルピアは基礎がガタガタと……」



この結果を見たキヨは、思うところがあった。



「お前ら……復習とかしないだろ」



「「「「……」」」」



「目が泳いでるぞ、全員……」



全員が全員、受けた授業の復習をしてこなかったものばかりだった。キヨは、見た過去問から難易度別に問題を分けて、出ると思われる問題を出したのだが、この有り様だった。



「これなら現役の中等部生の方が得点は高いな……」



小さい声で、そう言った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ