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王道主人公の苦悩(笑)
「くそ……」
キヨが立ち去った後の屋上で、ルニア達は倒された(返り討ちにあった)ティーシャとメルの様子を見ていた。
ポップルとイツキは憤り、ルニアは考え込んでいた。
「……なんでだろ……」
ポツリと。ルニアが言葉をもらした。
「は?」
「何が?」
その言葉に、どうも要領を得ない二人が質問する。
「何でキヨはこんなこと……」
普通の人間なら分かること。詰まる所、時間の損だった。が、イツキとポップルは真面目に答える。
「それはその……」
「そんなの、あいつがヤな奴だからじゃ……」
もしキヨが聞いたら間違いなく嘲笑うような答えだった。
「違う!キヨは……キヨは僕の親友なんだ……きっと訳があるんだと思う……」
これも、キヨは嘲笑うだろう。が、ルニア本人は至って本気なのだから質が悪い。
「そ、そうだよ!きっと何か訳があるんだよ!」
「だ、だな!ルニアの親友だもんな!」
これ幸いと、ヨイショして自分達の発言をなかったことにした二人。気絶していた二人もこの後すぐに起き、授業時間までポップルとイツキはルニアと居て、メルとティーシャは帰るまで一緒にだったという。




