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SUPPORTING ACTOR - 天落の魔術学園 1st-  作者: MIST・CAT
3rd episode 学年別対戦─トーナメント─
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ひとときの休息

(まぁ、そんなに難しいことじゃない。俺ばかりに警戒していて、仲間……一時的な同盟だけど……の立ち位置なんて確認してないからだ)



キヨの今までからすれば、こんなことは造作もなかった。キヨは一対一(タイマン)よりも、一対多(サドンデス)での戦闘経験の方が圧倒的に多い。



一対多の場合に重要なのは、お互いの立ち位置と信頼関係。魔法を使うなんてもっての他だ。確実に仲間に当たるのだから。



さて、この一人を倒すために必要な信頼関係とお互いの立ち位置の把握が出来ていない学生に、キヨが負けるだろうか。



否。負ける筈がない。集団戦闘すら満足に出来ないであろう学生程度に手こずるキヨではない。



結果は、火を見るより明らかだった。



「……勝者は、キヨ・アルケム!……こいつといい、シドといい、動き方が違うな……」



キヨはいともあっさり、学年別トーナメントへの切符を手にいれた。



────

───

──



「あ~……シドとキヨが思った以上に早く試合終わらせたから時間が余ってるんだが……どうしたい?」



三人の選抜選手が決まったのは、午前11時。予定は14時半。3時間30分も早い終了だった。が、こんな時間に生徒を帰すと流石に先生が大目玉を食らうとかで、こうなった。



「無難に帰りたいです」



マグナが結末の知れたことをあえて口にする。当然ながら却下された。



「個々人で好きに学園で過ごさせれば?」



と、とても素敵な笑顔でシドが提案した。サカタ先生もどうやら何かを思いついたらしい。この案が通った。因みに14時までは学園にいろ、とのこと。



キヨは足早に闘技場を離れる。確実にルニアに巻き込まれると踏んだからだ。今なら、女子に囲まれてキヨには近づけない。



思惑通り、ルニアに捕まらずにその場から抜け出せた。行き着いた場所は、中庭だった。



この中庭、生徒にはあまり知られていないようで生徒は殆ど来ない。その為キヨはよくここを訪れるようになっていた。



「……静かだな……ここでいいか?」



キヨはおもむろに、制服であるブレザーの懐から、紙とペンを取り出した。そして、なにやら魔法陣らしきものを書き始めた。



「……」(魔砲の威力は思ったよりも低いな……少なくとも、実戦ではあまり使えないかもしれん……さて、これをどう改良していくか……)



ガルダスの使う、キヨ特製の無属性魔法である【魔砲】を改良するつもりだった。今年一年くらいなら【魔砲】でも通用するだろう。しかし、来年からはどうだ。



通用しない可能性が高い。魔力コスト(魔力使用量)自体は少ない。そして、その魔力コストにしては高い威力なのだが。



「……いや、今はいいか……夏休みににまでに何かしらのアイディアが得られれば……図書室なら何かあるか?」



魔法陣を書いた紙をしまい、図書室へと向かう。その姿を見つめている一人の人間に気づかずに。



「なるほど……単に頭が良いだけじゃない、か……」



木陰から現れたのは、シド。その顔はいつもの笑顔ではなかった。いつもは糸目なのだが、今はどうだろうか。緑色の採光がはっきり見える。



「なんか行き詰まってたみたいだし……手助けでもしてあげようかな~?」



そう呟いてから、彼は一瞬で姿を消した。



木々は、まるで何事もなかったかのように葉を擦り合わせて、サラサラと風に音をつけていた。

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