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SUPPORTING ACTOR - 天落の魔術学園 1st-  作者: MIST・CAT
2nd episode 学生─ワキヤク─
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こうして王道主人公の取り巻きは増えていく

「キヨ!女の子に乱暴しちゃダメだよ!」



プンスカ、とでも表現すればいいのだろうか。一応お怒りらしいポップルが追いかけてきた。しかし、全く怖くない。



「なら、俺に大人しく殴られろとでも?」



「そ、そうは言わないけど……」



「そうは言わないけどなんだ?俺は行くからな」



「待って!話は終わってないんだから!」



さっさと行こうとしたが、またもや正面に移動してきたポップル。はぁ……とため息が漏れるキヨだった。



「俺は話すことないんでな」



「……なんでルニアのこと、そんな毛嫌いするの?」



「…………あ"?…………」

(……この女子……名前は……モップル?だったか……バカというやつなのか?)



ポップルの今更過ぎる質問に、キヨは呆れを隠せなかった。生徒手帳の中のガルダスは、ポップルの名前を間違えているが、まさに馬鹿を見る目をしていた。



「今更過ぎて、下らねぇ質問すんな。馬鹿が」



「やっと追いついた!」



キヨが歩きだそうとしたとき、残念なことにルニアとイツキがやってきた。



「キヨ!イツキに謝りなよ!」



「……どーもー、すんませんでしたー……」

(我が主ながら、やる気なしの謝罪だの……)



「てめえ……」



謝る気のないキヨに、またもやキレそうなイツキ。ガルダスは、生徒手帳の中から珍しいものを見たような顔をしていた。しかし、そこに悲鳴が轟く。



「きゃぁぁぁぁあああああぁぁぁぁ!!!」



「っ!みんな、行こう!」



ルニアはキヨの腕をひっ掴んで悲鳴の元へと急いだ。そこには、柄の悪い三人の男と、彼らと同じ学園の制服を着た女の子がいた。



「その子から離れろ!」



「またか……はぁ……」



何も考えずに首を突っ込むルニアに、キヨは頭を抱えた。明らかにこちらの方が分が悪い。



「あ?なんだ兄ちゃん?正義の味方気取りか?」



「いいから、その子から離れるんだ!」



柄の悪い三人も、「こいつ馬鹿だ」といった目をルニアに向けている。が、残念。この三人も馬鹿だった。



三人揃って女の子から離れてこちらに来たのだから。



さて、ここからが問題。三人が離れた隙にルニアはその女の子の元へと行ってしまった。つまり



「兄ちゃんに落とし前つけてもらおうか!」



「またか……」



キヨがこの三人の相手をしなくてはならない。しかも、魔法は使えないという制限付きだ。



王立であるプライン学園は、誰もが知る名門だ。そこの生徒、特に特待生が、生徒を助ける為だとしても、魔法で暴力沙汰を起こしたとなれば、退学は免れない。



「あ~……面倒事にまた巻き込まれたな……」



幸い、ギリギリ人ふたりがすれ違えるのだが、暴れるには狭い裏路地だ。一対一ならそれほど苦労はしないだろう。



(どうせあいつらは向こうから裏路地抜けて学園にでも行っちまうだろうな……こいつらと俺を無視して)



さてと、と構えるキヨ。魔法こそ使えない(正確には問題があるため使わない)が、身体強化くらいなら平気だろうと踏んで、魔力を体に纏う。



「調子にのってんじゃねェぞ!小僧!!」



どこかの超能力者を集めた都市にいる、キチガイ科学者みたいなセリフを吐いて、柄の悪い三人の内の一人……不良1とでもしよう……が殴りかかってきた。



「つくづく拳に縁のある日だな、全く……」



イツキにしたように、拳をいなしてから不良1の腹に本気の膝蹴りを叩き込む。只でさえ時間がないのだから、容赦はしない。



「あ……?」


どうやら、中々良いところに入ったらしい。一発で気絶してくれた。ドサッと、頭を打たない様に軽く抱えてから地面に下ろす。



「悪いが、こちらとしてもこれ以上乱暴をしたくない。引いてくれないか?」



あくまでも、こちらには戦闘の意志が無いことを伝える。当然、向こうがその気なら応戦する、と言うことも暗に伝えて。



「……いいだろう。下手にあんたに攻撃を仕掛けても無駄だろうしな……」



「すまんな、あの馬鹿のせいで……」



そう言うと、不良2は首をかしげた。



「俺らがナンパしてたのは、お前と同じ学園のやつだろ?お前は助けようとは思わなかったのか?」



「当たり前だ。厄介事は大嫌いなんでな」



「…………」



「俺は別にあんたらがどうしようと、俺らと同じ学園のやつがどうなろうと、知ったこっちゃない。俺は俺に降りかかる災いを祓うだけだ」



「……そうか……こいつにもそこら辺は伝えとこう……そうすればこいつもお礼参りはしないだろう」



「そうしてもらえると助かる……じゃあな」



早々にそこから引き上げられた。キヨは、久々にまともな会話をしたような気さえしていた。不良と言われる中の人間にも、対話できるのか、とどうでもいいことを考えつつ、学園へと走る。

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