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SUPPORTING ACTOR - 天落の魔術学園 1st-  作者: MIST・CAT
2nd episode 学生─ワキヤク─
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世界は彼に容赦しない

入学式と、フォイとの決闘から約二週間が経過した。キヨがフォイに求めたものは



「アルケム家に手を出すな」



というものだった。フォイはこれを受け入れた。いや、正確には受け入れるしかないのだが。さて、そんな出来事も直ぐに忘れ去られた。というのも、彼によるものだ。



覚えているだろうか。キヨが決闘することになった理由を。ルニア・アサイラムが勝手に決闘を了承したからだ。



ルニアに多くの女子が集まった。キヨとの関係を聞いたらしい。なぜキヨのことを知っているのか、と。



「僕とキヨが親友だからだよ。キヨが戦うって言ったのは!」



結果として、キヨは多くの女子からルニアについての質問を受けることになった。ラブレターを渡してほしい、なんてことを頼まれたのは10回や20回では済まない。



そして、キヨは「パイプ」やら「情報源」、「腰巾着」、「オマケ」などと呼ばれ始めていた(どれにも頭に「ルニアの」がついている)。



そんなキヨに声をかける者は、次第に減っていく。女子はルニアの情報を引き出せば、キヨは用済みだから。男子の多くも、ルニアに好きな娘が取られたなどの理由により、半ば八つ当たりの理由でハブる。



しかし、キヨに暴力などの類いの八つ当たりはしない。男子は特に、キヨの闘いを忘れてはいない。自分たちの中でも強者の部類に入る上級貴族を倒した事実があるからだ。



「…………」



ある日の昼休み。キヨは学園の屋上にいた。



(……今日のキヨは機嫌が悪いのだ……でも、仕方ない……のか?)



とガルダスは生徒手帳の中から思った。



原因は言わずもがな。ルニア関連である。少しばかり時間を巻き戻して、キヨの機嫌の悪さの元を見てみよう。



────

───

──



「…………」



キヨは、今日こそは一人で登校すべく、7時50分に寮から出ようとしていた。が、残念ながらそれは今日も叶わなかった。



「おはよう、キヨ!一緒に学園に行こうよ!」



見計らったかのようなタイミングで、キヨの部屋の前に来たルニア。その側にはビッチ´sもいる。しかも、キヨを睨んでいる。



「……断る……先に行く……」



ルニアを待たずに歩き出すが



「待てよ!せっかくルニアが誘ってやってんじゃねぇか!」



ヤンキービッチこと、イツキがキヨの右肩を掴む。



「そうだよ!キヨも一緒に行こうよ?ね? 」



幼なじみビッチこと、ポップルが左肩を掴んでくる。



「ちっ……分かったよ……」



ヒラヒラと手をあげて降参のサインを出す。そこに深い意味はない。なかったのだが



「てめえ、なめてんのか?」



何故かイツキがキレていた。これは当然、イツキの早とちりなのだが、どうやら馬鹿にされているのだと勘違いされたらしい。



「……はぁ?……意味わかんねぇよ、勝手にキレてんじゃねぇよ……」



「ってめぇ!!」



「キレてんじゃねぇってんだろ」



完全にキレて見境がなくなったイツキが、キヨに殴りかかる。が、キヨはその拳をいなす。体勢が崩れたイツキの腹に、膝蹴りを加える。



「がっ……」



腹を抱えて倒れこむイツキ。それを見下ろすキヨ。キヨの横顔に、拳が飛んでくる。が、キヨはそれを受け止める。



「何のマネだ?」



「なんでイツキに攻撃した!」



拳の主は、ルニアだった。しかし、だ。



「正当防衛だ。こいつから殴りかかってきた以上、俺は怪我をしないためにも、戦っただけだ」



殴りかかってきたのは、イツキだ。キヨには何ら非はない。少なくともキヨはそうだと考えている。



「だからって!そんな思いっきり蹴らなくてもいいじゃないか!イツキは女の子なんだよ?」



「手加減して反撃にあう、なんてのは……ただの馬鹿がすることだ」



馬鹿馬鹿しい、その一言に尽きる。キヨは朝っぱらから疲れてきた。



「もういいか?俺は学校に行くからな」



「待て!」



ルニアを無視して歩を進める。寮を出て、暫くすると、ポップルが追いかけてきた。



(大方、ルニアに足止めでも頼まれたんだろうな)



理由はすぐわかった。と、いうかキヨからすればそれ以外の理由は思い当たらない。

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