表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
キス  作者: 川木
14/31

質問する私

「じゃ、もうちょっと質問するから答えてね」

「どんとこい!」


 おお、頼もしい返事だ。えーと、じゃあ、大元から聞いてしまおう。恋愛感情がどんなものなのかすら、実はよくわかんないからね。


「そもそも、なんで恋愛感情だと思ったの?」

「え……うーーん、普通の好きじゃなくて、こう……ドキドキするというか、近づきたいというか、一つになりたいというか」


 一つになりたいというのは、エロい意味か。最近の中学生は進んでると思いつつ、念のため意味を確認するとやはりそうだ。私を見て発情するとは……ううん。


「…なるほど」


 とにかく返事をしつつも、そうもド直球で言われるとさすがに気恥ずかしい。沙耶もやや照れているみたいだけど、そんな恥じらった可愛い顔してすごいこと言うんだから、人は見た目によらないものだ。


 というか、そもそも発情するのもおかしいんじゃない? 女同士だから子供できないし、生物としての本能に反してるような。


「単に明菜さんが好きだから、その、えっちな気持ちにもなるっていうか」


 ううん。なんというか、自分をそういう対象として見られてるということがたまらなく気恥ずかしい。好きだから、か。私ももちろん沙耶は好きだけど、別にこうして見ていても可愛いなぁとは思うけど、特に裸にしたいとかは思わない。


 少なくとも何らかの特別な感情を私に感じているのは間違いない。それがどう恋愛感情に繋がっているのか。

 別に、沙耶が望むなら、裸になってなんかするくらい構わないように思う。妊娠とかはしないし。したことはないし、エロい気持ちもよくわからないけど、ちょっとくらいならいい気がする。

 そういうえっちな目をむけてくるというのも、知らないおっさんからならともかく、沙耶からなら嫌悪感はない。

 でもそれは恋人でないといけないのか。セックスフレンドみたいに、セックス姉妹じゃ駄目なのか。


「えーと、その関係が姉妹と言えるのかはともかく、嫌」

「なんで?」


 沙耶はあっさり却下する。これ、結構名案だと思ったんだけどなぁ。姉妹と友達とかは共存できるけど、恋人はやっぱり姉妹と兼業できない気がする。

 私の疑問に沙耶はうん、と少しだけためをつくってから、私をまっすぐ見つめて答える。


「明菜さんを独り占めしたいから。姉妹じゃなくて、恋人として、私だけのものにしたいの」


 その答えに、思わず私は沙耶を抱きしめた。

 私を独占したいとか、なんだそれ。ちょっと、そんなこと言われたの初めてでなんだか、ちょっとどきっとした。顔が熱くなるのを感じて隠したくて、思わず沙耶を抱きしめていた。

 顔は見えなくなったからいいけど、沙耶が私に腕をまわしてきて、何だかドキドキしてきた。

 この間まで私をお尻で踏んでたくせに。なにそんな優しく手を回してるの。この私に、そんなこと言うなんて。


「生意気」


 年下の妹で、びびりのくせに。私を動揺させるなんて。


「え? な、何が?」

「もし恋人になっても、沙耶が私のものになるんだよ? 私をもの扱いとか、生意気」

「あ、そ、そういうつもりでは」


 文句を言ってやって、怯んだ様子の沙耶に少し落ち着いて顔も戻ったので、力を緩めて沙耶と顔をあわす。

 すると、沙耶は顔をそらした。むむ、なんだ。私の顔が見れないと言うのか。


 片手で顔をつかんで自分をむかせる。沙耶は目をうるませていて、頬を紅潮させている。

 う、こうして近くで見ると、改めて可愛いな。


「あ、明菜さん!」

「なに?」

「き、キスしてください!」

「…だめ」

「ええっ、なんでですか!?」


 思わずキスしそうになったけど我慢する。このままでは沙耶に主導権をにぎられてしまう。それはいけない。

 姉は妹より上じゃなきゃいけない。よく考えたら沙耶に上下関係教えるのも、中途半端になっちゃってるし、よし。


「不満そうな顔しない。話聞いてた?」

「話?」


 いやほんとに聞いてないの? …やっぱり舐められてる?


「私のこと敬ってもいいんだよ?」

「えーっと、う、敬ってますよ?」

「本当に?」

「はい。だからキスさせてください」

「……」


 か、完全に舐められてる。絶対話聞いてないし、しかもなんでそんな満面の笑顔? 可愛くてキスしちゃうじゃん!

 もう。こうなったら、いったんおしおきして、私が上ってことを体に教えないと。

 私は沙耶から離れ、机に起きっぱなしのビニール紐をとり、沙耶の両手を掴んで後ろにまわさせて手首を交差させて軽くしばる。痛くはないけど外れない程度にした。跡を残したら可哀想だしね。ベッドなので転がして、さて、なにしようかな。


「な、なにするの?」

「うーん、とりあえず、この部屋でだけでできるおしおきを考えようか」


 とかいいつつ、とりあえず上に座ってみる。またがって割と普通に体重かけてみた。沙耶には散々乗られたので、このくらいなら文句を言われないだろう。

 といえ、沙耶と私では体格差けっこうある。年齢差もあるだろうけど、沙耶は年からしても小柄で背も低いし、肩幅も狭いので横幅も差がある。……けして私が太ってるわけではない。


「重い?」

「軽いよ」

「ほう。なかなか殊勝な心がけね」


 恐る恐る聞いたけど沙耶の返事は予想と逆でほっとする。嘘だろうけど、それくらいは余裕があると言うことだ。よし、重いとか言われたら踏んでやろうと思ってたけど、そろそろ起こしてあげるか。


 沙耶の手は後ろでしばっているので、あんまりこうしたると手がしびれるだろうし、さっさと起こしてやる。


 さて、これからどうしよう。これだけでもいいような気もするけど、でもあんまり効いてない感じだ。

 何か効果的なことってなんだろ。屈辱感を与えて精神的に屈服させる方がいいよね。暴力はだめだし。












評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ