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マルボロマン

作者: 中山 拓也

暇つぶし程度に読んでください

 キーン・コーン・カーン・コーン。


「ふわぁああ」

 眠くて眠くてたまらねえ。俺は立ち入り禁止の屋上へ続く階段を上がる。


 数学の授業なんか聞いてられるか。サイン、コサインとかいつ使うんだよ?


 さっきの授業は古語だったけど、先生はとりあえず“授業”をすればいいから寝てたってケータイいじったって関係ない。だから寝てたんだけどまだ寝足りない。体がおかしくなってるんじゃねえか?


 眠い目をこすって階段を登りきる。

 屋上の出入り口は立ち入り禁止でもちろん鍵がかけてある。


 だが、二組の野田君が屋上へのピッキング法を入手、針金一本で開ける事ができるというノーベル賞並みの技を2000円で売っている。

 こりゃ安いと買った。彼はもう生活に困らないだろう。


 ポケットから例の針金を取り出したが、ちょっとだけ開いている。

 くそ、先客か…。


 重い扉を開けると、先客の身元がわかった。幼なじみの三谷だ。


「よお、三谷」

「おお、神田。お前もサボリ?」

「まあな。数学だからな」

「俺のクラスは物理だ」


 三谷の親父の実家はなんとタバコ屋で、賞味期限が1ヶ月後のタバコをめちゃくちゃ貰ってくる。しかも三谷の親父も高校生から吸ってたから同じ血が流れてるんだろと許可。素晴らしい幼なじみだと感涙だ。


「タバコ貰ったぞ」

「マジで?くれ」

「ほら」


 三谷から貰った袋には数箱のマルボロのメンソールがあった。


「サンキュ」

「なんでマルメンかなぁ」

「目が覚めるんだよ」

「へぇ」


 そんな三谷が吸ってるのは、SevenStarsとラッキーストライク。人それぞれ好みがあるからしょうがねえよ。


「なぁ」

「ん?」

「俺ら、これでいいんかな」

 何言ってんだい?

「はぁ?」

「なんかな、嫌いな授業をサボって、屋上でタバコを吸って過ごす。これで終わっていいのかなって思ったんよ」

「いいんじゃねん」

「はぁ」

「タバコ会社の人は、俺等がいるから食えるんだぜ」

「…だな」

「将来はタバコ会社にでも行くか」

「いいね」




 そんな俺等のしょうもない1日だった。

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