第6話
私と元帥閣下の逢瀬は話も弾んでいた。
「いい加減に私のことは元帥閣下ではなく良一と呼んでいただけないでしょうか?」
なんてレベルの高い要求。
「では、良一さん…」
「はい、華さん」
こんな感じで始終進んでいた。
そんな時にいきなりあの女が入ってきた。甘味処の個室に!
「ここにいたの?良一!探したんだからっ」
誰?
「この部屋は護衛がガードしていたはずだが?」
「うん、だからわかりやすかったよ。ここに良一がいるんだーって」
「華さん、こちらは幼馴染の西九条麗華。麗華、こちらは私の婚約者の越後屋華さんだ」
「えー?良一、本当に婚約しちゃったの?昔は「おおきくなったられいかちゃんとけっこんするー」とか言ってたのに」
私にはわかる。
この女は、良一さんの地位を見ている。元帥閣下じゃなきゃ相手にしてない。
「良一さん、この方は良一さんの‘元帥閣下’という肩書きが好きみたいですよ。だたの一等兵だったら歯牙にもかけないんじゃないですか?」
「ひどい!麗華はそんなことないもん」
「実は私は明日付けで一等兵からやり直しなんですよ」
「「へ?」」
「あ、そうなの?元気でね、良一」
やっぱり、あっさりと去って行ったわね。
「あの、明日からって…」
良一さんは人差し指を立てて口の前でシーッとジェスチャーした。
「あーあ、元帥閣下だったら贅沢できると思ったのに一等兵?苦労なんかしたくないわよ」
西九条さんの声が丸聞こえで遠ざかっていくのがわかった。
「明日からはですね。華さんの言葉を信じて言ってみたんですよ。そうしたら、あっさり私から離れていきましたね。華さんは何故わかったんですか?」
「うーん、女学校でも地位ある人について行こうとする派閥みたいなものができたりするんです。その派閥もトップの子の家が潰れたりすると、瓦解。そんなのを日常茶飯事で見ていると分かるようになるんです」
「なかなか役に立つスキルだな。君は誰かについて行ったりしているのか?」
「私はそういう面倒なことに巻き込まれるのは嫌なので一人傍観しています」
「なるほどなぁ。そうして身につけたスキルなのか」
「そうですね。お役に立てて何よりです」
まさかの女学校、派閥争いスキルが役に立って良かった。
「あ、うちの父上が後妻を迎えまして、その方が懐妊を致しました。私も妹も是非とも男の子が産まれるように願っているのですが、男の子の確率を上げる方法をご存じではないですか?」
「あの、亡き奥様一途なお父上の後妻様に興味があります」
「長い事我が家に仕えてきた女中ですので、為人なんか私も妹もわかっています。その方ならば再婚しても構わないと…」
「なるほど。全くの知らない人よりも信用できる方というわけですね。性格もわかってるし」
「そういうわけです。跡継ぎになってほしいので男の子~と妹と願っているのですが……」
「そればかりは神のみぞというやつではないですか?」
「やはりそうですよね……」
すごいなぁ。やっぱ肩書きについてくる女とかいるんだ。そしてそれを見破る能力。学校で身につくんだ。




