表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/20

超新星爆発


ワープ航法とは何か!?

それは、ワープドライブを搭載した航宙艦と、その周囲を取り巻く宙域、またはその空間そのものを丸ごと前方へと押し出し・・スライドさせていく移動方法である。


航宙艦ではなく、その空間自体を移動させるため・・光の速度という制約をうけることなく、それ以上の驚異的な速度が可能となった。

そう、この航法こそ・・恒星間文明を支える技術であり・・銀河文明の象徴なのだ。


しかし、この技術には重大なリスクが潜んでいた。

周囲の空間に高重力の存在や、時空変動などが発生した場合、ワープ空間を保てなくなる。

しかも、それだけではない。

その航宙艦の船体構造に重大なダメージ、または破壊してしまう危険性もはらんでいたのだ。


そして、現在・・その危険な状態が現実となっている。

そう、あのガス惑星を破壊してしまうほどの超新星爆発が発生し、時空を大きく乱しているのだ。


さらに、高温圧と衝撃波が周辺宙域に広がり、既に5隻の航宙艦(ラアラ解放戦線)がその猛威の中で消滅した。


このままでは、この航宙輸送艦"ネェイルン"も破壊されてしまうだろう。


迫り来る破局・・高温圧と衝撃波! 時空も乱れている。

ワープ航法での脱出さえも危険とされていた。

 


どうすべきか!? 短時間で結論を出さねばならない。

ならば、やるしかない! スヴァルは即座に決断した。


「AI君! ワープの実行だ。危険だがこれしか助かる方法はない!」


『了解』と返答するやいなや・・運用AIは速やかに、ワープ準備に取りかかった。


艦橋内のモニターが一斉に稼働し始め、膨大な数値が次々と浮かび上がる。

ワープする方向は前方宙域・・・そこしか逃げ込める方向がない!


スヴァルは・・艦長席に腰を下ろした。

何もすることはない。運用AIが全てをやってくれる。


「私への了承はいらない。準備が整い次第、即座にワープを実行せよ」


『はい! ワープカウントダウン5秒前・・・4秒前・・・』


強い振動も、鋭い音もない。

ただ、淡々と流れるモニターからのメッセージによって・・ワープ航法に突入したことが分かった。


外部光景を映し出すモニターは・・まだその明るさを保っている。

ワープ航法といっても、いまだ加速中であり光の速度を超えていないからだ。


記憶を失っている私にとって、一応これが初めてのワープ体験であるものの・・・

航宙艦自体に揺れがないので、実感がつかめず、不思議な心地である。



モニターの映像に目を移すと・・異常な表示は見当たらない。

今のところ、順調のようだ。

どうやら"賭け"に勝ったのか!? 


スヴァルはとりあえず一息、「ふぅ~」と・・ひと安心したところで、

あの問題のガス惑星が・・内側から破裂するがごとく崩壊・・爆発した。


「なっ・・・!!」


もちろん・・・轟音などしない。宇宙に空気はないからだ。

だが・・多少の揺れは感じた。

この艦の重力安定装置でさえ相殺できなかったということは、かなりの衝撃波だったのだろう。



そう、あの惑星は文字通りの爆散、粉々に砕け散り、虚空へと飛び散っていったのだ。

超新星爆発に匹敵するほどの規模、惑星がまるまる吹き飛ぶ・・大スペクタクル!


だが、その破片たちはいずれ重力によって再び集まり、新たな惑星として蘇るであろう。



・・・とはいえ、あの程度の爆発、酸素と水素の混合程度で惑星が破壊されるなど、絶対にありえない。物理的に不可能。

これは科学というよりも、ファンタジー、疑似科学・・・

そもそも、このガス惑星は恒星ではない。 超新星爆発を起こすなど、本来あり得ないのだ。



艦橋内のモニターから垣間見る壮大な光景・・衝撃波と炎、惑星爆発の圧倒的輝きを見た。

「なぜに!?」という疑問はあるものの、爆散したのだから仕方がない。


もしかすると、あの惑星に浮かぶ謎の浮島・・

そして、その浮島を構成していた希少金属"グラアスピア"がなんらかの原因だったのかもしれない。

"グラアスピア"の影響で核融合が発生した可能性も・・

しかし、それを証明する術はなく、すべてが謎のままだ。


などと・・悠長に考えている暇など、なくなったらしい


艦橋内で響き渡る警告音、モニター画面が赤く点滅し、状況の深刻さを示していた。



『 "倉庫W-4"が消滅しました。隔壁封鎖。消火剤散布中 』


そう、恐れていたことが起きたのだ。

ワープ航行中における時空変動の影響で、船体の一部が吹き飛ばされてしまったのである。

しかし、これは始まりの序曲にすぎない。


この事態に対して、スヴァルはなんの指示も出せていない。いや! 出さない方が良いだろう。

この艦を守る唯一の方法、それは全てをAIに任せることなのだ。


スヴァルは艦長席に深く身を沈め、ある種の覚悟を決めた。・・・そう、なるようにしかならないのだ!

死ぬときは死ぬ! ただそれだけ。

拳を握りしめ・・そして、目を瞑る。


-*- - - - - - -*-


航宙輸送艦"ネェイルン"は、強力な時空波の影響を受け、ワープ航法はすでに解除されている。


現在、通常の宇宙空間にいるのだ。


問題のガス惑星は、今やはるか遠方・・数十光年彼方に位置していた。

ここは見知らぬ星間空間。静寂と暗闇が広がる中、ほぼ半壊した航宙艦がゆっくりと漂う。


幸いにも艦橋室に被害は及んでいないものの、モニターに映し出される深刻な損害状況を目にし、スヴァルは・・信じられない思いでいた。


一応・・艦内というか、艦橋室の大気だけは保たれている。重力安定装置も正常である。

しかし、ワープドライブエンジンは4基すべて破壊され、倉庫の半分は消失。

この航宙艦の船尾はガラクタと化し、原形すら留めていないのだ。



「もしかして・・私、生きているだけ儲けものなの!?」


スヴァルのその声には・・生き延びた安堵と皮肉な笑いが、微かに混ざっていた。



幸いにも・・"バイオマトン"たちは全て無事、損失0である。

そんなおかげで、この航宙艦の修理作業は彼らのお仕事になっていた。


「ありがたいことだ」


もちろん・・修理内容の詳しい指示などは、運用AIにおまかせしている。


ちなみに、スヴァルは何も手伝うことができない・・・動けないのだ。

そう、この艦艇内で唯一の生存区画は・・この艦橋室のみ

他の区画は真空! 全ての空気は抜けてしまったおり、有機生命体では生きていけない環境となっている。


-- -- -- -- -- -- --



航宙輸送艦"ネェイルン"の状況は世間的にいえば大破・・プラズマドライブの破損で自力航行すらできないのだ。

しかも船体後部は・・見るも無残なゴミ?!状態。


外部カメラからの映像によって、スヴァルは・・艦の現状を知り愕然とした。

はたして修理など・・できるのか!? 不安である。

だが・・これは重要なことだ。

運用AIに問いかける必要があるだろう。


主様(あるじさま)、ご安心ください。この艦は輸送艦であり・・修理資材は倉庫に十分あります。時間はかかりますが修理可能です 』


この報告にスヴァルは・・少し安心した。

時間はかかるだろうが・・修理できるのなら"良し"としよう。


しかもこの宙域は・・恒星間空間のど真ん中!

(ラアラ解放戦線)などにめったに・・・発見されることはないはずだが・・・逆に言えば、遭難信号をだしても、望み薄ともいえる宙域なのだ。



宇宙は広い・・そして、時間はゆったり流れる。

急ぐ必要はどこにもないだろう。


艦長席に身をゆだね、天井のモニターを見上げる。

そこには・・果てしなく広がる星々の光と輝き・・それらを掴みたくて、私はそっと手を伸ばした。

もちろんのこと、掴み取ることはできない。

だが・・自由は掴み取れた。安全も掴み取れた。



奴隷のような身体・"バイオマトン"を投げ捨て・・"ヴィラルノイド"を手に入れたのだ。

それは人型有機媒体・・長い黒髪の少女の姿、間違いなく人間に戻れたのである。

スヴァルの頬に・・一筋の涙が伝う。


「自由は手に入れた! 命も助かった。さて・・これからどこにいくべきか!?」


そう・・これからの目的である。

ないことはない! いや! あるのだ。私の希望・・願望・・


一応・・自分を奴隷にした"ラアラ解放戦線"への復讐は忘れはしない! ・・のだが、それよりも気になることがある。


それは・・シズク!

この身体"ヴィラルノイド"を手に入れた時から・・興味をいだいていたのである。


ちなみに・・"シズク"とは、かつて地球と呼ばれていた惑星、人類の故郷、人類発祥の地。


今となっては、その場所すら忘れ去られてしまった神代の時代の記憶。


だが・・自分の身体"ヴィラルノイド"は・・その神話時代からやってきたのだ。

ぜひとも、シズク(地球)とやらに行ってみなければなるまい。

しかもこの身体に宿る・・オカルト的パワー"ESP"の謎を追求するためにも・・・




◇◆*◇◆◇◆◇◆◇*◆◇



P.S.(追伸)


惑星ナンバー"Pqdmwx@24875-58741-0005" 

そう、あの巨大ガス惑星の崩壊、大爆発の瞬間を・・遥か遠方から目撃した者たちがいた。

それは5隻の航宙艦("ラアラ解放戦線")を追尾していた"ルネイス星域聯合"の偵察艦だった。


偵察艦の任務は・・(ラアラ解放戦線)のアジト、あるいは秘密基地の所在を突き止めること。

だが、そんな彼らが目にしたのは常識を超えた、想像を絶する光景!


たった一隻の船で・・巨大ガス惑星を破壊した狂気の存在・・・

これが初めて・・・スヴァル(この時点で名前は知られていない)の所業が、世間に広まっていく初めての出来事であった。




--------------------  To Be Continued ヾ(^Д^ヾ)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ