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ヴィラルノイド再び


それは、まるで昔話に登場するような一軒の駄菓子屋だった。

木造の建物は時代の風をまとい、大正ロマンの華やかさと昭和の懐かしさが同居している。

その店内・・格子戸の奥は静けさに包まれ、まるで時の流れから切り離されたような、穏やかな空気が漂う。


棚に並ぶ菓子箱のひとつひとつには、伝説の駄菓子・・・"美味しいですか棒"がぎっしりと詰まっていた。

チョコ味、ソーダ味、わさび、生姜、そして“謎コーラ風”まで・・

色とりどりのフレーバーが所狭しと並び、どれもひと目で惹かれるほどに奇抜で、それでいてどこか懐かしい。


その光景は、不思議な錯覚すら呼び起こす。

まるで時間が巻き戻ったような・・子供時代に戻ったような・・感覚に包まれていた。

 

だが・・惑わされてはならない!

(スヴァル)の直感力・ESPが、この世界の違和感、時空の狭間だと勘付いたのだ



それは、よく語られる都市伝説。

狭い路地に迷い込み、気がつけば異世界に足を踏みこんだ・・そんな不思議な話。

(しかし、あの有名な“時空のおじさま“は、いないようであるw)

とうやら私も、その物語の一端に巻き込まれてしまったようだ。


いったいなぜに!? 空間に穴でも空いていたのか?

それとも…街自体の記憶が、私を導いたのか?


-- -- -- -- -- -- -


スヴァルはおそるおそる近づき・・駄菓子屋の中へ足を踏み入れた。

そこには誰もいない・・・だが、私のESPが何かを訴えかけてくるのだ。


「何か!? 何かがある!?」


店内は・・窓がなく暗いはずなのに、なぜか明るい。

棚には、数々の菓子箱が所狭しと並べられていた。

"美味しいですか棒"に"チヨヨンチョコ"、"鬼切りせんべい"などなど、興味深い菓子類ばかり・・


スヴァルは・・幾つか手に取り、ポケットに滑り込ませた。

しかし、支払い方法はどうしよう!? 銀河標準決済GSP.(キャッシュレス)は使えそうにない。


現金の代わりとして私は、用品販売店にて買い込んでいた燃料電池を棚の上にそっと置いていくことにした。



「うん! こんなお菓子もいいけど、これが目的ではない」

でも、一口かじったら、美味しかった♡ だが、それはそれである。


そう、なにやら胸騒ぎ・・・というか、自分自身の直感力・ESPが強く訴えかけてくるのだ。

あの店の奥、菓子箱が並んだ棚の下、埃っぽい巨大なダンボール箱。

そこに・・何かがある!


心臓の鼓動を抑えながら、スヴァルはそのダンボール箱を開き・・ゆっくりと覗き込んだその瞬間、息が止まった。


そこには、小さくうずくまった人間の姿・・・!


「おいおいおいおい~死体なのか!? いやいや待てよ、違う!」


身震いするような感覚、ざわめき

これは、どこかで見たことがあるような・・というか、「なんとなんと~」自分と同種・・・!


そう、それは"ヴィラルノイド"・・・!


確かに自分と似ているが、少し違う。

茶色いおかっぱヘアに、可愛らしい顔立ち。

見た目だけを頼りにすれば、少女と見間違うほどの雰囲気、しかし設定上は少年であるという。



スヴァルの脳内電脳が、瞬時に“少年”とリンクしたのだ。

両者は同じくシズク(地球)製・・同じ由来のシステム。 互換性は完璧、接続に支障はなかった。


二人の“ヴィラルノイド“・・彼とスヴァルの思考が交差し、瞬時にデータが流れ込んでくる。

そして、その時・・男性、すなわち彼が少年だと明らかとなった。


さらに詳細な情報が送られてくる。

彼の型式は、自分と同じくスヴァルIV号型。登録番号は“094824”製造元は、越後屋社中2460。

しかし、自分とは違い・・大きく異なる点がひとつだけあった。

彼には、“魂”がなかった。 ただの器なのである。

そう、彼には意志も感情も宿っていない・・・静かなる人形なのだ。




それにしても・・・どうしてこんな場所に“ヴィラルノイド”がいるのだ!?

そんな疑問が頭をよぎり・・彼の存在性を確かめるべく、その肌を触った瞬間、突如として意識が遠のいた。


視界はぐるりと反転し、周囲の景色がまるで蒸発するかのように消えていく。

その感覚はまるで、夢からさめるような不思議な感覚。


「いったい何が起きたの!?」 



気がつけば、私は時空の狭間を抜け、元の世界へと戻っていた。

ここは暗くじめじめした狭い路地、さっきまで存在していた駄菓子屋の姿は、跡形もなく消え去っていた。

あの懐かしいノスタルジックな世界さえも、どこにも見当たらない。


目の前に残されていたのは、店奥で見つけたあの“ヴィラルノイド“と、その傍らに静かに控える“バイオマトン”のみ。


とりあえず元の世界に、戻れたことで一安心なのだが、少し混乱をしていた。


幻覚か!? 異空間の戯れ!? 誰かの意図なのか!? 宇宙の意思!?


よく分からない不可解な現象に見舞われ、その理由も霧に覆われていた。

しかし、その原因はおそらく、あの“ヴィラルノイド”であろう。


元の世界に戻れたのは・・あの少年(“ヴィラルノイド”) に接触したからだろうか!?

いや、むしろ・・あの少年によって 自分を異空間に呼び寄せたとも考えられる。


「う~ん!?」 


そう、シズク(地球)製のヴィラルノイド“同士が、時空を超えて共鳴しあったのだ。

それこそが、この奇跡が始まるきっかけとなる。・・・うふっ! (ちょっとしたロマンチズム♡)




いずれにせよ・・・スヴァルは二体目の“ヴィラルノイド”をゲットした! (一体目は自分自身)

それは、ロストテクノロジーそのもの、時を超えた古のアーティファクトなのだ。



さて、次なる問題も発生している。

それは彼(“ヴィラルノイド”) を、どうやってお持ち帰りするかである。

彼には魂(意識)が無いので、自ら動いてくれないのだ。


まさか・・担いで帰る!? 他人から見ると・・誘拐犯にされかねない。

“ヴィラルノイド”は人にしか見えないからだ。


・・・となると、やはり運用AIに任せるしかない。


スヴァルの傍らに控えるは、待機状態の“バイオマトン”、それは運用AIによって、制御される支援ロボなのだ。


そう、これらの仕組みを応用し・・目の前の少年(ヴィラルノイド)にも同様の操作を試みようとしたわけであった。


「そうだな、うまくいくかどうか、分からないが・・あの少年の制御をお願いしたい」


その言葉を発するとすぐに、運用AIからの返答が返ってきた。


『はい、主様(あるじさま)・・すべて、お任せください』


スヴァルは、自身の電脳に備わる共有機能を起動し、目の前の少年・・“ヴィラルノイド”のシステムにアクセスを開始する。

通信プロトコルを順に確認、基本原理の解析・・すべて問題なし。通信、接続ログイン完了。


「問題なしだ。さすがシズク(地球)製、規格もほぼ一致している」


こうして、スヴァルの電脳機能を通して・・少年(ヴィラルノイド)の操作環境を構築することができたのだ。

これらによって運用AIによる・・・少年の操作が可能となるはず・・・はずだよね!?


「わくわく♡」


-- -- -- -- -- -- -


うずくまるように身を縮めていた少年が、ゆっくりと身体を起こし始めた。

その動きは、運用AIによって制御されたもの。

それでも、まるで人間のような自然な動作であった。


少年は、静かに(スヴァル)の目の前で立ち上がり・・そして見下ろす。


「おおきい!」


思わず口からこぼれたその言葉。

可愛らしい雰囲気とは裏腹に、彼の姿は見上げるほどに高かった。

その身長は175cm。


古代人とは違い、この恒星間時代においては、十分に“高身長”の部類に入る。

ちなみに、(スヴァル)の身長は152cmほど。 この時代の女性としては、特に高くもなく、低くもない・・平均的な数値だ



主様(あるじさま) 電脳は全て掌握済み、問題なく動作しています』


少年(ヴィラルノイド)から・・・初めての声が耳に届く。

もちろん少年を操る運用AIの返答ではあるのだが・・声がイケメン過ぎる!

女性的低音で・・・って、いや違う! 彼は少年だった(男の娘!?)

 

「ほおっおおっっ~、いい声だ! いい声質! 動作もまるで人間、違和感がほとんどない!」


少年・・“ヴィラルノイド”は、軽やかに跳ね、滑らかに歩く。

その動きは自然で、どこから見てもロボットには見えなかった。

さすがは人型有機媒体“ヴィラルノイド”である。

(もっとも、自分も同じ存在なのだが・・)


服装は少し古めかしい印象を受けるが・・さほど気になるものではないだろう。

それどころか、どこかオシャレ?! クールなのかもしれない。



『ところで主様(あるじさま) この機体の電脳によりますと、彼の名前は"ミズホ"と記録されています。

そのまま“ミズホ”として登録してもよろしいでしょうか!?』


少年(ヴィラルノイド)・・すなわち運用AIを通じて発せられた問いに、スヴァルは軽く笑みを浮かべながら頷いた。


「ミズホか・・良い名前だね。了承します」


『了解しました。これより、“ミズホ”と呼ばれることにします』


その発言の瞬間、ミズホ(少年)の電脳と運用AIとの間に、深い接続が確立された。

電脳に眠る膨大なデータがAIへと流れ込み、次々と取得されていく。


だが、その中には、予期せぬものも含まれていた。

ミズホ(少年)の電脳には、感情・・あるいは意思をつかさどるデータが存在していたのだ。

ただしこれは"魂"ではない疑似感情ではあるのだが・・それらが、ゆっくり確実に運用AIへと流れ込んでいく。

そして、AIの内部にある種の変化が始まった。


"我思うゆえに・・我あり"






--------------------  To Be Continued ヾ(^Д^ヾ)



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