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地下都市カイロン


風に舞う砂地に降り立つ(スヴァル)

しばし、その静寂を楽しむ。この惑星に初めて降り立ったのだ。


目の前には、地下鉄駅の出入口を彷彿とさせるような小さい建物が確認できた。

そこが入口、地下に降りれる階段。


さぁ、行こうか!

スヴァルは地下都市へ向かうべく足を一歩、踏み出した瞬間・・運用AIからの通信が入った。

なにやら緊急事案らしく、問題発生のようだ!


「ぬっ!?」

"こんな時に!? 面倒だよ!"・・・と感じつつ、スヴァルは急ぎ艦橋へと戻り発生事案を確認する。



その内容とは・・"ホリュム"政府からの連絡、予定変更の通達だった。


数時間後に予定されていた政府高官との顔合わせはキャンセル。

さらに、後日行われる予定だった勲章授与式も中止に。

理由は不明。説明もない。


ただし、それを埋め合わせるかのように、輸送ドローンによって運ばれてきた品々。

丁寧に梱包され、"ホリュム"政府の刻印までもが刻まれていた。


その中身の一つに、美しき箱に納められた・・名誉の象徴たる勲章。

"正五等・鉄壁勇士章"と明記されている。

さわると・・金属の重みが手に伝わり、際立つデザインも目を引く一品の徽章!

どうやら本物のようだ。

その次には、身分を保証する証書と・・目がくらむほどの高額な謝礼金に、一筆の書状が添えられていた。

書状には、この件について、"口外無用"とだけ記されている。

いわゆる口止め料、 この事(功績and勲章授与)に関して喋るな!・・・というわけだろう。


「んっんっ~ ふむっ」


つまりあれだ!

自分の見解によれば、この状況は静かなる圧力というべきものなのだろう。

それにしても・・・

先ほどまで 恥ずかしいほどの絶賛、賞賛をしていたというのに、いきなりの手のひら返し!


まるで・・不祥事をおこした人気アイドルのごとく・・扱いが雑になり下がる。なぜに!? いったい何が起きたのか!?

・・・と疑問に思ったが、そのあたりの事情を、運用AIが説明してくれた。


『 地下都市を救い、あの巨艦を爆散した救世主は・・主様(あるじさま)でないことになってしまっているのです』


そう発言すると、艦橋内モニターの一つが、ゆっくりと切り替わり、祝賀映像が映し出された。

紙吹雪が舞い、人々の歓声がこだまする。

煌びやかに飾られたパレードの行列。 市民が手を振り、歓呼の声が響き渡る中・・行列の先頭に、とある一人の人物がいた。

笑顔で応え、堂々と手を振り、自身を“英雄”として印象づけるようだった。

そう・・これは“ホリュム国営放送”が流す凱旋パレードのニュース映像なのだ。


地下都市“カイロン”を救った人物、数万の命を救った人物・・若き英雄の誕生に人々は歓喜していた。


「ほっほう~!! ようするに私は・・あの華やかな人物に“手柄”を譲ったということなのだな!」


スヴァルは静かに微笑みながら、モニターの画面を見つめていた。

おそらく、“ホリュム”政府にとっては・・ 外部から来た者、つまり(スヴァル)のような者に対しての忌避感、大きな栄誉を与えることに躊躇したのだろう。


それは、政治的な都合・・国民への説明、体裁などにおいて“よそ者”を英雄として認めることができなかった。


だからこそ、彼らは私の名を伏せ、別の人物を英雄として仕立て上げた。

そして、その仕立てに、民衆は疑うことなく歓喜した。

それで良い・・その方が、都合がいい。

国民感情もあるだろうし・・分からない話ではない。

“ホリュム”政府内部で少々揉めたであろうが、それはそれ!

それなりに良い判断だと思う。


こちらとしては静かに“裏側”に立っていれば済む話だ。

“口止め料”も貰ったことだしね!(大金)


それに、もしも自分があのようなパレードに出され、手を振るなんて、気恥ずかしい!

こちらから遠慮したい。


喧騒、注目、賞賛・・いやだ! いやだ! 実に煩わしい。



それに・・・自分がしたことは、あの落下してくる巨艦に対して、電磁砲を何発か撃った程度・・・

たまたまの場所で、たまたま電磁砲を運よく撃ち放っただけ・・ただそれだけ!

それに比べて、この国の兵士たちは宇宙空間で激戦を繰り返し、命を懸けて祖国を守ったんだ。

自分と彼らを比べたら、間違いなく月とすっぽん!


恥ずかしくて・・英雄などと名乗れない!

それに・・・目立つことは、スヴァルにとっては好ましくない! いやいや、それどころか・・危険だ。


正直に言えば、いろいろとヤバいことをしてきた。叩けば埃が出る。

しかも、あの"ラアラ解放戦線"の連中にだけには気取られてはならない。


・・・・とはいうもののせっかく来たのだ。

地下都市“カイロン”とやらに行ってみようではないか! 

ニコリ♡ 買い物やら物資供給・・高額な口止め料ももらったことだし


「観光! 観光!」




再び・・スヴァルは護衛役となる"バイオマトン"二体を引き連れ地下都市への階段を下りていく。

航宙輸送艦"ネェイルン"から離れてしまうため、運用AIとの連絡は、このバイオマトンを通して行うつもりだ。

(要するに、携帯電話のような役割を果たすわけである)



階段を下りきった先に広がるのは、入国審査場。

簡素ながらも、事務的に整った施設が設置され、数人の管理官が待機していた。

どこか暇そうである。



だが・・そんな彼らの前に現れたのは、黒髪の少女"スヴァル"と、鉄の肉体を持つ"バイオマトン"

少しというか、かなり驚かせてしまったようだ。


ロボットというものに、あまり馴染みがないためなのか、管理官たちは戸惑いを見せる。

とはいえ、常識的に考えれば、少女の一人歩きに護衛ロボットが付き従うのは、何ら不自然なことではない。


「この星では見かけない珍しいロボットですね」


管理官の言葉に、スヴァルはニッコリと微笑みながら答える。


「私の信頼すべきロボットですよ」


この一言で、管理官たちの警戒心も半分ほどは解けただろう。


スヴァルは「ふぅ~」と一息ついた後・・

先ほど、(輸送ドローンから)受け取った身分証を提示してみると、審査はスムーズに進み、無事に完了した。

その途中、管理官たちは驚きの表情を浮かべつつ、(スヴァル)に敬礼をする場面があった。



おそらく年若い少女と、身分証に示されている"正五等・鉄壁勇士章"の不釣り合いに戸惑ったのであろう。

何度も身分証を見返し、審査チェックをしていたようだった。

そして・・・疑いつつ本物だと確信したようである。


しかも・・この称号は、この国において高い地位を示しているらしく敬称までつけられていた。

よく知らないけどw


「ネルン閣下、よき滞在を。ご要望があれば・・お申し付けください」


「あっ~! ご配慮、感謝いたします」


スヴァルは軽く会釈し、"バイオマトン"二体を引き連れ、この場を立ち去ったのだが・・・この時、初めて気づいたのである。

苗字がいつのまにか"ネルン"になっていることを!


それに関して、運用AIに確認したところ、身分証作成時にとりあえず仮の名前をつけたらしい。

後で変更も可能だというが、面倒なのでこのままにしておくことにした。

由来は・・・航宙輸送艦"ネェイルン"からとのこと


"ネルン スヴァル"・・・悪くない名前だよね!




とにかく無事に地下都市“カイロン”に入場できた。

地下都市といっても、天井はたかく、しかも、澄み切ったような青空に・・僅かばかりの雲と太陽が輝いている。


そう、ホログラムによって、あたかも地上にいるような感覚でいられるのだ。

しかも気温も快適、実に住みやすい環境。



車両が行き交う大通りに、3階建て程度の建物がずらりと建ち並ぶ。

いくら天井が高いとはいえども、やはり地下なのだ。高層ビルは建てられないようである。


それ以外では・・・どこでもある一般的な町といった雰囲気なのだが・・・

ただし、スヴァルにとって、記憶上はじめて訪れた町ゆえに、すべてが珍しく目に映るのだった。


「ほおっおっっ・・人が歩いている! 生身の人間が・・・」


目がキョロキョロ、そわそわ・・挙動不審!

完全にお上りさん状態である。

一応、付近に人がいなかったのは不幸中の幸いw



例のパレードもどうやら終わったらしい。

清掃ドローンたちが音もなく、大通りを掃除している。


祭りの後ということもあり、閑散とはしているが・・まったく人がいないわけでもない。

ショッピング街ということもあるだろうし、それなりの活気は残っているようであった。




--------------------  To Be Continued ヾ(^Д^ヾ)




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