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正五等・鉄壁勇士


全長1キロを超える黒き鉄塊の災厄。

その巨体は、マッハ30という驚異的な速度で、地表へ向かって落下していた。



このままでは、2分以内には激突し、巨大なクレーターが地上に出現するだろう。

そして、その直下に広がる地下都市は、間違いなく粉砕される。

数万の命が、一瞬にして塵と化すだろう!


それを、今まさに迎撃しようとしているのが・・(スヴァル)だ!

・・とはいうものの、この都市を守る義務も義理もないし・・・ましてや、一宿一飯の恩義すらない。

たまたま立ち寄っただけなのだ。



だが、それでも・・・

「なんらかの謝礼を期待しようじゃないか! 相手は小さくとも、“国家”には違いないのだから」


そう、スヴァルは正義でも英雄でもない。

私利私欲によって・・突き動かされているだけ!


欲望に忠実で、報酬を望むのみ



・・・とはいうものの、手持ちの兵器は、4門の電磁砲のみ!

火力としては、あまりに非力・・あの黒き巨艦を貫き破壊することはできないだろう。

そう、すでに電磁砲の第一弾を放ち、あの巨艦の装甲を撃ち破れなかったのだ。



だが、スヴァルには自信があった。 確信があった。

あるいは、鋭く研ぎ澄まされた直感というべきものか!?


「全電磁砲のターゲットを指定する! 敵艦の後尾、やや下部の一点。 そこへ、そこへだ! 集中攻撃、全火力を叩き込め! そこがもっとも装甲が弱い」


その言葉には、ただの命令を超えた響きがあった。 それは魂から湧き上がる預言、神託。

ESPが囁いてくるのだ。あの巨艦の、決定的な弱点がどこにあるのかを・・・



しかも、直前まで行っていた ESP訓練(前衛芸術)によって、自分自身の感覚はかつてないほど鋭く、深く、高く、研ぎ澄まされていた。


そう、スヴァルに・・もはや迷いはない。

絵描きとしての直観に、すべてを賭けるのだ。


そしてついでに・・あの地下都市の住民たちのためにも、報酬のためにも・・・


「ふっ、絵画は爆発だ!」


長き黒髪が戦慄の空気にたなびき・・ 唇が妖しく動いたその瞬間、全ての電磁砲が火を噴いた。

4発の弾頭は光跡を描き、ターゲットに向かう! その一点へ。


ドッドドドッッッ


・・・全て命中!

黒鉄の巨艦が、大きく身をよじり・・炎を上げる。

手ごたえあり!

  

「素晴らしき事。第二射、撃て!」


艦橋内にスヴァルの声が響くとともに、電磁砲が再び火を噴いた。

弾頭は亜光速で同じターゲットへと向かい、容赦なく突き刺さる。


そして、続いて第三射・・さらに第四射。


次々に撃ち込まれる閃光の奔流が、 巨艦の装甲をひとつひとつ剥ぎ取り、 鈍く軋む音が、なり響いた。

やがて、船体中央に巨大な亀裂が走り・・そこから噴き上がる火柱・・それは怒りの咆哮、あるいは断末魔


空を焦がす炎が、頭上を赤く染めあげ・・熱風を地上にもたらす。

2キロを超えるその巨体は、重力に従い・・バラバラと分解され、 破片はチリとなって空に舞い、地に降り注いだ。


災厄の巨大鋼鉄は爆散したのだ。

その原因は一点突破の火力の集中! 幾つもの装甲を突き破り・・ついに艦内倉庫にまで達したのである。

しかもその倉庫には・・山と積まれた予備の弾薬に燃料! しかも反物質関連の物質までもが・・・!


一瞬の爆風! 爆裂! 全てが炎と化す!

まるで風船のごとく、その巨艦は内部から破裂し、全てを粉々に粉砕した。

たとえ2km以上の巨大艦艇であっても、耐え切れるものではなかったのだ。




「うん、ESPの直感さまさまだね!」


航宙輸送艦"ネェイルン"の艦橋は・・赤く燃え立つような光に包まれていた。

四方のモニターから映し出される迫力満点の外部景色は、まるで露天艦橋にいるかのようにリアルだ。

しかし、爆音などは聞こえない。

それでも、その圧倒的な破壊力は、肌で感じ取ることができた。




早まる鼓動、勝利の手ごたえ、そして成し遂げたという安堵感

スヴァルは艦長席に腰を下ろし・・その余韻に浸っていた。


主様(あるじさま)、作戦完了です。ターゲットは完全に破壊、地上への損害はありません』


運用AIの落ち着いた声が響き、スヴァルは静かに頷く。

そして、コーヒーを一口すすり、次に起きるべき事を思い描いた・・・(謝礼はもちろん、もらえるのだよね♡)




その後、ほどなくして・・"ホリュム政府"からの通信が入った。


"この地を守った素晴らしき英雄。我らの恩人! 我らの誇り! 歴史に輝く偉業を成し遂げた不滅の守護者!

その名は長く歴史に刻まれ、子々孫々まで語り継がれることとなるだろう・・・"


届いた内容は、祝辞の洪水、賞賛の嵐・・聞いているこちらが気恥ずかしくなるほどの美辞麗句の数々。

確かに、私の活躍によって、この地が守られたのは間違いない。数万の命を守ったであろう

それゆえに、賞賛されるのは仕方がないし・・悪い気もしない。

だが・・これでは、褒められ過ぎている!

おだてにおだてられ、木に登りかねないではないか!


「・・・豚にされかねん!」



それよりも、スヴァルにとっての本当のお目当ては、謝礼だ。

そのことも通信にはいっており…どうやら勲章が授与されるとのこと。

---"正五等・鉄壁勇士"---

それは名誉の証であり、同時に“身分の保証”にもなるという。

 

悪くない! むしろ、なかなか良きことである。

根無し草の自分に・・身分証が手に入ったのだ。しかも地位付きで!

だが、ひとつの懸念材料が残った。


その通信は音声のみ。 つまり、自分の姿は知られていない。

そう、"ホリュム"の政府高官たちは、夢にも思ってはいないだろう。

あの巨艦を迎撃し、この地を守った航宙艦の艦長が・・ まさかのまさか!“少女の姿”をしていたなどと。



これから、スヴァルは地上に降り立つ。そして、その先には政府関係者たちとの対面が待っているだろう。

その瞬間、彼らの目に映る自分の姿を・・果たして、どう受け止めるだろうか。

少々、心配ではある。


( 人型有機媒体"ヴィラルノイド"という存在は・・一般的に知られてはいない。

当然、"ホリュム政府"の高官たちも その正体を理解できないだろう。

つまり、少女の姿はしていても・・中身は別物などと想像すらできないのだ)



-*- - - - - - *-



これから"ホリュム政府"の高官と会おうというのだ。

倉庫に保管している物資の中から・・一番上等で、似合いそうな衣服を"バイオマトン"に持ってこさせた。


いわゆるドレスコード、一張羅だ!

できるだけ大人びたスーツを選んだつもりだが・・どうにも似合わない!

まるで、無理して大人の格好をしている子どものような姿になってしまったではないかw


それでも・・この衣装で行くことにした。

相手は政府高官なのだ。

少しでも“威厳”!?めいた雰囲気を、まとっていた方が、都合がよいだろう。

( ちなみに、鏡をのぞいてみると・・そこには威厳とは程遠い可愛い少女の姿がいたw )



主様(あるじさま) "バイオマトン"の何体かを、護衛として随伴させたほうがよろしいかと・・』


運用AIの提案に、私は小さく頷いた。

「そうだな、頼むよ」


鋼鉄の肉体に無表情の仮面、 "バイオマトン"たちが、ただ立っているだけで、確かな重圧が生まれる。

その存在は静かなる威圧・・高官たちへの心理的制圧力となるだろう。

もちろん、もめ事を起こすつもりはない。

これはあくまでも、“防御”だ。

ほんの少しだけ、“手強そうに”見せておくだけの演出である。



-*- - - - - - *-


航宙輸送艦"ネェイルン"の後部ハッチがゆっくりと開き、私は地上に降りる。

随伴するは二体の"バイオマトン"

まるで、どこかの御隠居のようだが、そこはご愛敬。


「いざ! 行かん 地下都市へ」


そう呟き、一歩踏み出そうとしたその瞬間・・運用AIから、緊急の通信が届いた。


『 状況が変更したようです。地下都市への訪問は中止してください』


「ぬっ!?」


スヴァルの風が止まる。 足も止まる。


--------------------  To Be Continued ヾ(^Д^ヾ)




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