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赦すも処すも、生者次第 #加害者を許すな  作者: ヨウカン
最終章 旅路の果てに、未来は在って…
90/90

エピローグ 赦すも処すも生者次第

本作はこの話で完結です。

ぜひ最後まで読んでください。

 ある都市伝説が、ことしやかに語られている。


 SNS上で、ある条件を満たした状態で特定のハッシュタグを検索すると、タイムラインが残酷な虐待画像で埋め尽くされる——そんな噂だ。


 そのキーワードは、

 「#加害者を許すな」。


 ここで言う“加害者”とは、過去に女子高生を拉致し、一か月に及ぶ凄惨な虐待の末に殺害した少年のことを指す。

 事件は凶悪な少年犯罪として今なお語り継がれ、加害者本人もまた、強い憎悪と共に記憶され続けている。


 問題のハッシュタグで検索すると表示されるのは、その“元少年”が虐待されているとされる画像群だ。

 殴打、損壊、致命傷に等しい行為。

 見るに堪えない内容ばかりが、延々と投稿されている。


 だが、それらを本物の虐待画像だと本気で信じる者はいない。


 理由は単純だ。

 どの画像においても、元少年は致命的な傷を負いながら、なぜか生き続けているからだ。

 加えて、近年はAIによる画像生成が珍しくもない。

 多くの人間は、それを精巧な加工画像の類だと受け取る。


 話を冒頭に戻そう。

 このアカウントを“発見できる条件”についてだ。


 条件は、二つあると言われている。


 一つ目は、強いストレスに晒され、精神的に追い詰められていること。

 二つ目は、元少年が犯した事件を知っていること。


 この二つを満たした者だけが、

 例のハッシュタグを検索した際、問題の投稿群に辿り着く——らしい。


 そして。

 そのアカウントを見つけた者に、必ず起こる“現象”がある。


 虐待内容を、リクエストできてしまうのだ。


 方法は簡単だ。

 画像を投稿しているアカウントに、リプライやダイレクトメッセージを送るだけ。

 要求内容に制限はない。

 欠損を伴う、取り返しのつかないものでも構わない。

 元少年が死なないのであれば、何をしてもいい。


 加工画像だと分かっていながら、投稿を見つけた者は、なぜかリクエストをせずにはいられなくなる。

 画像は本物と錯覚するほど精巧で、何より閲覧者自身が強いストレス状態に置かれている。


 だからこそ、

 憎らしい元少年を使って、鬱憤を晴らさずにはいられないのだ。


 ——心は痛まないのか?


 いい質問だ。


 痛まない。

 少なくとも、大半の者は。


 彼らは画像を本気で本物だとは信じていない。

 だが、それ以上に大きな理由がある。


 人は本来、暴力を忌避する。

 ただし、例外がある。


 相手が“悪”であると認識された時だ。


 大義名分を得た人間は、どこまでも残酷になれる。

 彼らは人を傷つけているつもりなどない。


 "害虫駆除"

 "被害者のため"

 "歪んだ正義"


 もっともらしい言葉を並べ、無責任に暴力を振るう。

 その標的として、元少年はあまりにも都合が良かった。


 さて。

 今日もまた、元少年は苦しんでいるという。


 ——その様子を、少し覗いてみよう。



 *****



 【#加害者を許すな】


 ・……あった

 ・噂は本当だった

 ・検索、通った


 ・条件そろってるってことか

 ・だから見えるんだな

 ・胸がざわつく


 ・これ、踏み込んでいいやつ?

 ・戻るなら今だよな

 ・……やっぱ無理


 ・最初の画像、きつ

 ・警告くらい出せよ

 ・でも目が離れない


 ・AIだよね?

 ・流石にフェイク


 ・でもリアルすぎない?

 ・肌の質感やば

 ・最近の生成AI進化しすぎ

 ・倫理どこ行った


 ・最初は見ちゃいけないと思った

 ・でももう戻れない

 ・更新、来てる


 ・今日のは長いな

 ・まだ生きてるのか

 ・しぶとい


 ・やっぱAIだよな

 ・じゃなきゃおかしい

 ・でもリアル


 ・この角度いい

 ・前より凝ってない?

 ・演出上手くなってる


 ・リプ送ってみた

 ・どうせ通らないと思ったのに

 ・返ってきた


 ・次、もっとやっていい?

 ・死なないならいいよね

 ・どうせ“あいつ”だし


 ・欠損ありでお願いした

 ・ちゃんと反映されてる

 ・仕事早い


 ・これで少しスッとした

 ・今日も耐えられそう

 ・助かる

 ・コメント欄、空気いい


 ・誰も止めない

 ・正義ってこういうことだよな


 ・被害者の代わりだし

 ・裁きだから

 ・むしろ優しい

 ・また更新きた


 ・通知が待ち遠しい

 ・次はどこから壊そうか

 


 *****



 ――ログ取得開始――


 ・また更新されてる

 ・何回目だよ


 ・今回えぐくない?

  腕、明らかに足りてなかったのに


 ・でも生きてる

 ・ほんと死なねぇな


 ・AIでしょ、さすがに


 ・骨の繋がり方、歪んでる

  “戻してる”って感じじゃない


 ・戻すなぁ!


 ・……?

 ・今のコメント誰?

 ・ログ流れてるだけじゃない?

 ・今の、口調おかしくなかった?


 ・殺してくれ

 ・もう戻らなくていい


 ・は?

 ・おい、本人か?

 ・なりすましだろ


 ・呪いだ……

  違う、こんなの力じゃない


 ・ちょっと待て

  今の、ひょっとして少年Aか?


 ・やめろ

 ・やめろやめろやめろ

 ・再生してる

 ・また


 ・胸、潰れてたのに

 ・もう息してる

 ・戻すなぁ!!

 ・殺せ!!


 ・コメント欄、荒らすなよ


 ・誰か止めろ

 ・“あれ”が起きてる


 ・赦してくれ

 ・お願いだ

 ・もう罰は受けた


 ・……


 ・……

 ・……


 ・赦してくれぇ!!!


 ――ログ途切れ――


 赦してくれと叫んでいる。


 彼を救う方法は、なくはない。

 彼は、過去の罪を赦されることで救われる。


 即ち。

 赦すも、処すも。

 それを決めるのは、今も画面の向こうにいる——生者次第なのである。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

この作品をここまで書き上げることができたのは、読んでくださる方がいたおかげです。


もしPVがずっと0のままだったら、正直なところ途中で折れてエタっていたかもしれません。

そう思うと、読んでいただけたこと自体が本当に励みになっていました。


本作はもともと20〜30話程度で完結する予定でしたが、書き進めるうちに話が膨らみ、最終的にはその3倍ほどの長さになってしまいました。

「長すぎる!」と感じた方がいたら、すみません。

次回作を書くことがあれば、もう少し冗長にならないよう意識したいと思います。


ホラー作品でありながら、バトル要素が目立つ回があったり、寄り道が多くなってしまったりと、振り返ると反省点も多いです。

ただ、それらも含めて自分にとってはとても勉強になった作品でした。


もしよろしければ、感想などをいただけると次回作に活かせるので、とてもありがたいです。

次に何を書くかはまだ未定ですが、また何か書くことがあれば、その時も読んでいただけたら嬉しいです。


それでは、本当にお疲れさまでした。

そして、ありがとうございました。

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