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◇4 職質されて、飛んで、モフって、ビラを撒かれて…

初めての友達ができた私は、今少し驚いています。

なんせ、


「コンちゃん!次はあそこのスイーツなんてどうかな!?」

…この子、凄いよ。


め っ ち ゃ め ち ゃ 食 べ る の 。

お金の問題は別にない(女神様から貰った金額が中々すごいものだったらしく)けれど、お腹の問題が…。大丈夫かな…太らない?


「どう!?あのパン!すごく美味しそう!」

「う、うん。行こっか!」

…対象を空腹状態にさせる魔法を自分に向けて連発中。女神様の体は前世の私と同じく、少食らしい。


…この3時間でどれだけ食べたんだろう。おそらく合計5kgくらいは口に入れた。

魔法無しなのにこの子、小さな体のどこにそんな質量をしまい込めるのだろうか…


◇◆◇◆◇◆


「美味しかった〜!!ふ〜!お腹いっぱい!」

「う…うん、美味しかったね!私もお腹いっぱいだなー」

ようやく満腹の狼少女。おそらく日本のテレビによく出ていた大食いタレントよりも食べてる。




…そうだよね。


こんな女の子2人が、日本ほど治安の保証された場所でもない町で、


いろんな店を食べ歩きしてたら。


「なぁお嬢さん達、何者なんだ…?あんたら。」


職質みたいなのされたり、するよねー…



「さっき飲食店から通報があったんだが、見ない顔のお嬢さんが2人、高いデザートばかりを、とんでもない量食べるってな…。純粋に考えて、貴族の娘なら護衛か何かが付くだろうし、平民であれば流石に高いものを沢山食べるなんて事はできないと思うんだ。」

そうですよね~。大金持ってたら、疑われますよねー…。悪い事してお金稼いだみたいな…


「だからお嬢さん達が一体全体何なのか聞いておこうと思ってな…申し訳ないが危ない経歴があれば…だからな。」

ごくり…

一体どんなことを聞かれるのか…


「…と、思ったんだが俺も忙しくてな。細かい聴取はしないでおくよ。ただ、この宝石に向かって『私は健全です』と言ってくれ。それで色が変わらなければ開放できる」


「分かりました。…私は健全です」


「…よし、狐のお嬢さんは大丈夫だな。それじゃ狼のお嬢さんも。」

「はい、私は健全です。」


「よし、ご協力ありがとう。お金の無駄遣いには気をつけてな?この町にはそういった子を食い物にするような奴らが沢山いる。もし大変なことに巻き込まれたら、この先にある役場の警備兵まで通報してくれ。」

「お気遣いありがとうございます。お気をつけて。」

「ん。またな。」

「ありがとうございました!」



「ふぅ…どうなることかと思った〜…」

「緊張した…捕まっちゃうのかと思っちゃった」

そりゃウルルちゃんも緊張するよねー…いきなり警備兵に職質みたいなことされるんだもん。

捕まらなくてよかったー…


「…ふう、警備兵はもう行ったみてえだな…なあ譲ちゃんたち、俺さ、今金持ってねえんだよな。貸してくれねえかな?」


ちくしょーめぇ!!

何で!こうも!!面倒な事に巻き込まれるのじゃあああ!!!


「無理です、お引取りください。ウルルちゃん、行こう」

「えっ?あっうん、行こう…ってうわわ!?飛んだ!?」

空飛んで逃げろー…面倒事は懲り懲り。


「おーい!金くれよ!逃げんじゃねえよー!!」


◇◆◇◆◇◆


「ふー…面倒ごとから逃げて来て見る海は綺麗…」

「落ち着くね…。ごめんね、コンちゃん。私のせいで…」

「ウルルちゃんのせいじゃないよ。安心して!」

申し訳無さそうな顔をするでない!

なでなで。心配しなくていいんだよ〜


「ん〜、恥ずかしいよ、コンちゃん…そうだ、お返しに…とりゃ!」

「ふにゃっ!?」

わ、私の尻尾をもふってきおった…まって、これ癖になりそう…って違う!! 


「はいストップストップ!」

百合みたいなのはno!!町中だし周りの目もあるんだから…

いや、周りの目が無くても駄目だけど…


「もう夕方だね」

「うん、コンちゃんはどうするの?」

「うーん、宿でもとろうかな?良ければウルルちゃんの分も取るよ?」

「ありがとう!それじゃお願い!」

「うん!」


そういえば昨日は潰れて寝ただけで、宿をとったわけでもなかったなぁ…


◇◆◇◆◇◆


半月…

いや、月かどうかはおいておくとして、大きな衛星が一つあるのは地球と変わらないみたいだ。


「すぅ……すぅ……」

…ウルルちゃんももう寝てるし、私も寝ようかな。

明日何が起こるかわからないし、少しでも睡眠を取っておこう…



初めて自分から尻尾触ったけど、もふもふで気持ちいい。正直枕にされても文句言えなかったかなぁ…

どうでもいっか、寝よ。


◇◆◇◆◇◆


「コンちゃん、朝だよー」

「んん…うゅ…おはよ…」

寝起きの弱さは前世から。


「…なんだか外、騒がしくない?」

「それが、街中にこんなビラが撒かれてたんだって」


"3日後、二つの日が昇る時、王国は我々の手によって―――"


「途中で切れてるね。なんだろ?これ」

「わからない…」

…分からないふりはしたが、多分これ、戦争か何かが始まる気がする。意味ありげに文章を切っているのは、なにかの混乱を招くため?


「不穏だなぁ…」

3日後。断言はできないけど、何か絶対に起きる。

…多分私の力があればなんとかなると思うけど、乱用したくはないし…

様子見かな。


◇◆◇◆◇◆


「…なんか海に変な船があるね」

しかもなんかドラゴンみたいなのも飛んでる。


「王立海軍の飛龍母艦?だって。3日後に何かあるかもしれないからすぐ沖で訓練してるらしいよ」

「そうなんだね。ウルルちゃんは見た事あるの?」

「一回だけ、2年前に出航するのを見たことがあるの!大きかったよー」

確かに千里眼で確認したら、他の大型船よりも長くて大きい。ただし地球の軍事船と違ってほぼ木製で遅い…あれって格好の的じゃないのかな?


「おう、狐のお嬢さん、またここに来ていたんだな」

「あっ、一昨日の。どうも」

「一緒にいるのはお友達かい?よろしくな」

「私の友達、ウルルちゃんです。」

「よろしくお願いします!」

「あぁ。…しかし、このビラ、良くないことが起きるような気がしてならないんだよなぁ…。幽霊船騒動が終わってすぐこんな意味ありげなものが撒かれるなんてな。」

「そうですね…相手がどういう目的なのかわかりませんが、町に被害が出ないのを祈るばかりです」



戦争だけは勘弁して欲しい……

流血は無理。多分女神体質でカバーされてても耐えられない…。

そもそもホラー映画も常時絶叫の私がそんなものに耐えられるわけがないでしょうに!!


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― 新着の感想 ―
[良い点] コンちゃんがオオカミ少女のウルルちゃんと仲良くなれて良かったです! しかもウルルちゃんがコンちゃんのしっぽを触るシーンも可愛かったです! ちなみにメッセージも送ったのですが、ご覧になりまし…
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