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◇3 コンちゃんのとある再開と新しいお友達

「う……あ……あたま痛い…」

昨日はお酒を飲まされたから二日酔いだよ…いや、そもそもあれは明らかに人が飲んでいい量じゃなかった。酒豪でさえも中毒死してしまうんじゃないかといったレベルで飲まされた。

それなのに二日酔いで済んでいるのも女神の体だからかな。本当に感謝しきりだ(ミスだけど)。魔法で二日酔いを治した。


襲われなくてよかった。


「ぐがが………ぐがが………」

「………」


いや、『尻尾が』襲われてた。私の尻尾を枕替わりにして寝ている輩がいる。

床で丸まって寝てたから尻尾がいい角度で枕にされてしまっていたらしい。


「は〜い失礼しますよ〜…私の尻尾で寝ないでくださいね〜…」

全く尻尾を大切にして欲しいですね、自分でも、本気でもふった事、ないのに。

とりあえず起こさないようにどかしまして…散歩でも行こうかな。


◇◆◇◆◇◆


「いい天気。海にも異常は無し。有害物質とか、そんなのも異世界では無し。素晴らしい!……みんな元気にしてるかなぁ」

こんな日には友達と遊んでいたなぁ…と思い出す。皆どうなっているんだろう…


◇◆◇◆◇◆


「あの…すみません」

「は、はい??」

しばらく海を見ながらしみじみしてたら声を掛けられた。声の主は…私と同じように、頭に耳がついてる女の子?


…解析魔法によると、この子は『氷狼族』。つまり狼の子。私のような白狐族ではなかった。街を見ると、私やこの子のような…獣人?は結構いるが、私のような白狐族は居ないよう。やっぱり女神の姿だから、あんまり居ないのかな?


「貴女って、昨日は幽霊船団を撃退したって方ですよね…?」

「撃退というか…まあ、うん。一応そうですが…」

「よかった…あの、頼みたいことがあるんです!」

「頼みたいことですか?」

「実は…」


◇◆◇◆◇◆


「…つまりは、貴女達の住んでいる町に盗賊がやってきて、被害が出ているって事ですね…。」

「…はい。盗賊は元傭兵で、どうにも敵わないんです…どうか、助けてくれませんか…」

…さて、どうしましょう。

どうしましょうって言っても、助けるしかないと思ってしまう。私が助けなかったせいで…ってのは胸糞が悪い。重い自責から逃れるには…


「私の名前はコン・フォクス。あなたは?」

「は、はい…『ウルル』です。」

「うん…じゃあ、ウルルちゃん。貴女の町へ案内してもらえますか?」

「!!!。分かりました!」


◇◆◇◆◇◆


3時間程森の道を歩き続けて、ようやく彼女の住む町に到着。


「あれが町に居る盗賊です…」

あぁ、めっちゃめちゃオラオラしてる〜………。

…うん?待って、よく見たらあれって…?


「ああああああ!!この前の気持ち悪い盗賊集団!!!」

「誰が気持ち悪い盗賊集団だ!!!」

あっ、やっちった。物陰から見てたのに大声で叫んだからバレてしまった。


「って、お前はこの間の娘か…」

「そうです、あまりに気持ち悪かったので、あなた方にお空を飛んでいただきました、私です。」

「馬鹿にしやがってっ…!!やれ!!」

うわっ、かかってきた。今度は名乗りもせず攻めてきた…無礼な。


「うわっ!危ない!!」

ガシャッ。バキッ。


…町のいたる所も巻き込んで、被害が…。これじゃ無礼どころの話じゃないです!即刻拘束を…!ってうわっ!またなんか投げてきた!


「だ!か!ら!危ないんですって!!!!『拘束』」

「うぐっ!?動けねぇ!」

「ぼ、ボス!…うわっ!」

「クソっ!身動き取れねぇ!」

盗賊共の拘束、成功。地球でこの魔法があれば警察は大助かりですね。どうあがいても逃亡することはできませんよ。


「さーて、あなた方は、どんな罰をお望みですか?」

「誰も罰なんか欲しがってねえよこのエロギツネ!」

とんでもないことを言ってくれました。吹き飛ばすぞ。


「ウルルちゃん、どうします?」

「えーと…これまでの悪行は許します。ですが、町の復興を手伝って欲しいです」

「わかりました。…さて、聞きましたね?『やってください』」

「う、うお!?体が勝手に…!」

「な、何だ!?」

「おいメスギツネ!どうなってやがる!」

「『石弾』」

「ぐがぁ!!いでぇ!!!」


『やってください』。これは対象を自分の思い通りに操作できる、干渉魔法。

…魔法には一応、レベル概念があり、私(女神様と同スペック)の干渉魔法レベルは10とカンスト状態。

具体的には、自分よりレベルの低い、或いはこれが無い人を操作できる。自分と同等以上であれば干渉魔法は使えない。


相手のレベルが自分に比べて低ければ低いほど、干渉に使う魔力が減る。私には魔力の心配は必要ないが。(普通は多くて300、私は9000万。)


「頑張ってくださいねー。」

「うるせぇメスギツネ!!直せ!!」

「『せk「わかった。わかった!やる!許してくれ!!」

えらい、えらい。


「あの、コンさん。ありがとうございました!」

「いやいや、いいんです。私自身、彼らにちょっとした恨みがあったもので…」

「あの、それと…コンさん、是非私と友達になってください!」

「勿論です。それと…友達ならお互い敬語は無しで!」

「…!うん!これからよろしくね!コンちゃん!」

「よろしく。ウルルちゃん!」


異世界初のお友達ができました。やったね!



◇◆◇◆◇◆

〜天界〜


「ふふふ、茉狐ちゃん…いえ、コンちゃん。私と同等のスペックを持っていながら、本当に悪いこと考えないのね。商人を救ってヒーローになっちゃって!」

そう言ってグラスを片手に、笑みを零す。


誰が見ているわけでもないが、心の底から嬉しそうに、楽しそうにする。


「…この世界に転移しちゃったのがあの子で良かったわ。定期的にご褒美でもあげようかしら」


私の代わりに、生きて世界を正してくれる人材には感謝の品(ご褒美)があってもいいという女神様の理論。これまた一般人なら畏れ多くて感謝の品なんて頂けないだろう…。


「何が欲しいのかしらね…あら?」

《みんな元気にしてるかなぁ》


「…そうね」

彼女へのプレゼントが決まった。女神様は数少ない世界への干渉をし、定まっていたシナリオにほんの小さな改変を加えた。


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