内政
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地獄の練習の後、ゲルーテンにかけられた言葉は衝撃だった。
「正直言うとまだ使える魔法はその炎の魔法しかないよ。しかも出力弱いしね、護身用と考えときなさい」
え?5時間弱の練習は何だったんだ?
もとより、魔法を使って出世しようとしていたわけではないからいいが、、、。
疲労感に苛まれながら魔王から与えられた領地へ向かった。
ジュタークと言われるその場所は海に面していて山も近くにあるが平地が少なく、発展しにくい場所だった。
住んでいるのは主にオーク達、ボルテもここで生まれている。そのボルテだが戦いの前より、なんというか人間らしくなった。何が変わったと言われれば言えないが、雰囲気や顔立ちなどが人に近くなったような気がする。
俺の指揮下にあったオーク達もそうだった。
魔法の練習のせいで疲れているのかな。それとも部下は上司に似るのかな
でも俺はホルツバウアー少将には似なかったけどな。
領地にある小さい行政府に入るとしばらく、書類の山を処理するのに骨を折った。
まぁ、この国を覆うように位置するテレシアはしばらく出兵は不可能であろうから、内政に集中しよう。
小さいと言ってもオークが1200人ほど住んでいてそれ以外の種族も併せて500ほど住んでいる。それなりの都市ではある。
あまり立派な都市とは言えないが。
ボルテを内政問題にも関与させ俺の補佐をさせるようにした。彼は頭は柔軟だし、落ち着いた行動ができる。育てがいがある
あれだな、士官学校の時の教員の気持ちだ。
まず行ったのは法秩序の徹底のための警備強化だ。
と言っても法も曖昧だったので分国法として発布した。ボルテに手伝ってもらいつつ4日ほどかけて作り上げた。
主な内容はトラブル発生時の裁断に使われる方だが、ある程度の禁止事項を設定した。
そして、治安派出所を作った。法律を定めた以上、それを守り行使する人間、いや魔物が必要だろう。
そして、何よりもの問題だ。これから内政に向いた人材が必要になる。腕っぷしだけの奴は戦いには必要だろう、だが内政は違う。
庶民を理解し、発想の転換が可能で柔軟な考え方を持ち、かつ前例も理解できるかなりレベルの高い者が必要である。
そこで、今から募集するだけではなく育成もするための学び舎を作った。教員は俺も含め現在の文官をあいている時間に呼び、交代交代することになった。
産業の強化も行った。海面に面しているということで
漁業に力を入れようとしたが、どうやら難しいらしい。海の中にも魔物は多く、しかもこれらは言葉を話すことができない魔物達だ。しかも強い。
とりあえず漁業は諦めて山でもできる農作物を作る命令を出した。
この地は平地が少な過ぎる。ほとんどが住居で埋まってします。ゆくゆくは山を削って埋め立て地を作り広げてもいいが、今は人手が少な過ぎる。焦る必要はない、少しずつこの地を大きくして行こう。
皆に読み書きも学んでもらう必要もある。法令を完璧に守るためには無論、読み書きが必要だからだ。やることは山積みで少しずつ処理していった。
ボルテも最初は苦労していたようだったが、2週間ほど経つと
「戦いで相手を殺すよりも、内政で功をあげる方が僕には合うのかもしれないですね」
と、笑っていた。
そうかもしれないな、オレは生粋の軍人なせいで内政よりか戦争や外交戦略の方がやはりいいと思ってしまうが、ボルテは温厚だしな。
やはりボルテを起用したのは正解だった。
このまま、成長してくれれば内政を任せられる。そうすれば俺は落ち着いて外交戦略を考えられる。
頑張って欲しいな。