捕縛
ヴォロイ王国の首都、ハーペルンについた。検問にあったが簡単な質問だけで通ることができた。
町に入り、とりあえず今夜の宿と食料、そして衣服を調達することにした。
まず、服装だ。こんな汚れた格好でいるのは目立つし、第一気持ちが良くない
近くの露店で動きやすい服を3着購入した。
俺にはオシャレなどのセンスがないから、適当なものでいいだろう
次に宿
こちらも簡単に手に入った。古いが安くていい。
そして食料
だが露店で食料の値段を見た時、驚いた。
とんでもなく高いのだ
「すいません、なんでこんなに高いんですか?」
店主は苦々しそうに
「同盟国のテレシアが魔族の国のカルンにとどめを刺すために2万も兵を繰り出したらしくてね。うちの国に兵糧の援助を頼んだらしく、この前かなりの食料を持ってかれちまったんだよ、、、。おかげでみんな飢えちまってるよ」
今更痩せた土地の魔族の国を攻めても仕方がないだろう、いまだに魔族への敵対感情は根強いみたいだな。
みんな、何百年も前の勇者様の話を子守唄にして育ってきているからな。
歴史を見ると、一概に魔族が悪いとも言えんだろうに。
結局、仕方がないので最低限の食料を買った。南にある、チセルの森で食えそうなものを探すか、、、。
宿に泊まって翌朝、最低限の荷物を持って南の森に向かった。
金銭も無限じゃない、どうにか職を見つけないとな。
かと言って軍事にしか能が無いからな、俺は。
父の真似で石工技師になるのもいいが、あまりうまくない、もっと真面目に習っておいた方が良かったかな、と今更ながら後悔しても仕方がないな。
森に入ると辺りが一気に暗くなった。
視界が一気に狭まる。士官学校の時に、森で生き残る方法を習ったから、特に苦戦することもないだろう。
ん?今、草木が動いたな、、、。気のせいか?
小動物であれば、食料として使える。静かに近寄った。
茂みがまた動いたかと思うとバッと黒い影が現れた
お、オークだ!
後ろにも何体かいたらしい、囲まれた、、、。
次の瞬間、首元に激痛がはしったあと、視界が暗くなった。
頭が痛い、、、。
ん?身動きが取れないぞ?
目を開けたら目の前にいたのは玉座に座る人だった。
いや、人ではないだろう。ツノが生え、禍々しいオーラに包まれている。
周りを多くの魔物が膝をついてる。
まだはっきりしない意識の中で目の前の玉座の主が魔王であることを察した。
体中をロープで巻かれている。
さっきのオークどもに捕まったか。
玉座の主は口を開いた
「貴様はテレシアの偵察兵か?まぁ、おそらくそうなんだろうな。無論、貴様を生かしてやる筋合いはない。悪いが、はやく処分させてもらう」
そういうと、傍にいた鬼?のような魔物に合図を送った。槍を持ってその魔物が近づいてくる。
俺は落ち着いて、いや、平静を装って
「俺はテレシアなんかの兵じゃない、ただの旅人だ。」
魔王が言った
「そんな言い訳が通じるわけがないだろう、この時期にチセルに入るということはテレシアの偵察以外に考えられん」
俺はやばいなと思いつつ
「テレシアがわざわざチセルに兵を派遣する必要がない!侵攻ルートとは関係がなく、近くを通るわけでもない」
魔王はしばらく考えたあと
「いいだろう、どうせこの戦いには負ける。ここで人間を一人殺しても仕方がない。」
周りの腹心であろう魔物たちは口々に咎めたが、魔王は諦めたようだった。
魔王も色々抱えているだろうな、と思っていたがしばらくすると魔王の傍にいた例の鬼のような魔物が俺を軽々と持ち上げ、部屋の隅に放り捨てた。
そして何か下っ端であろうゴブリンに言いつけると、そのゴブリンは部屋を出て何処かへ行った。
おそらく俺を牢獄へ放り込むのだろうな。
まぁいい、死なないだけマシだろう。
落ち着いて、ゴブリン達が来るまで部屋で待っていた