裏表
ついさっき、九時になるのを待ってから郵便局に行ってきた。
通帳の記入欄がいっぱいになって、だから繰り越してもらおうと思って。で、今日一の予定がそれだった。メモ帳の一番上の欄に、
『ゆうちょ繰り越し』
って書いてたから。そんでその周りを□でぐるぐるぐるってしてたから。今日はそれ。他を捨て置いてもそれはやる。そういう意思で、ぐるぐるした。
「よし、いくぞ」
そんで九時を待って自転車飛ばして行ってきた。
古い通帳をもって、あと財布。あとハンコ。前に繰り越した時ハンコは防犯の為いらないです。って言われたけど一応持って行った。無いですかって言われて無いのが一番つらい。
服は部屋着で行った。でもまあ下はジャージの下みたいなのを着てたし、上もユニクロの長そでだったしいいかなって。靴はクロックス的なものを履いてははだし。
ちなみに、そういう部屋着で行くというのは最低限の事しかしないという、最低限の場所にしか行かないという効果もある。
だから、みだりにどっか寄ったりしない。寄って買い物して、それでまたお酒飲むとかそういう悪い方向に進むのを防止する効果がある。
だからもうそれで行った。ちなみに九時まではゲームをしていた。何も考えずにゲームしてた。
そんで、九時なったら着の身着のままの格好で、忘れものだけ無いようにして自転車飛ばして郵便局に行ってきた。
開店と同時に攻め入ったので番号札も1番だった。そんですぐにチャイムが鳴り、1番の番号札をお持ちのお客さまーってアナウンスが流れて、
「どうされました?」
「あ、あの通帳の繰り越しを」
「はい」
「これです」
「はい。ではお呼びしますのでお待ちください」
「はい」
そんで、ベンチに座ってテレビでやってたあさイチをちょっと観て、博多華丸・大吉さんをちょっと観てたらもう呼ばれて、
「ハイこちらです」
って言われて、
「ありがとうございます」
って言って帰ってきた。
無事に済んだ。良かった。何事も無く。雨の予想っぽかったけど雨に降られることも無く。
「よかったー」
とにかく今日の一番の懸案事項が終わった。よし、今日のアメブロはこれを書けばいい。よし。郵便局に通帳繰り越しに行きました。なんてクリーンな内容だろう。実家の人達も文句のつけようがないクリーンさ。今日はいつもみたいに酒をのんであばあばしてたって書かなくてもいいぞ。よしよし。
そんな感じで、アメブロに書く内容の事も済んでほっとして、
「洗濯しようかなー」
って思って、脱衣所に行った時、脱衣所に行った際、脱衣所の洗面台の鏡を見た時、
「うぎゃあああああああ!」
私は思わず叫んでいた。
ユニクロのシャツが、部屋着として着ていたユニクロの長袖のシャツが、逆だった。
裏表逆だった。
「ぎゃああああああ!」
背中の方がUネックみたいになってるうううう!
「・・・」
気が付いたら焼酎四リットルの空きペットボトルにサラダ油とかごま油をハイブリットしてをたっぷんたっぷんに詰めたものと、燃えやすいチラシを松明状にしたものと、ライターを持って玄関から出ようとしていた。ドアノブに手をかけていた。
「な、なにする気この人」
お前何する気?
いや、これはまずいって。
何?いつもお世話になってる郵便局をどうにかしようとしてるの私?
いやまずいってそれ。
ホントに。
やめて。
それから全然記憶にはないんだけど、顔にはマスクをしていた。二枚。白いマスクをわざわざマッキーで真っ黒にして、その上から赤いので渦巻きをたくさん書いて。それを口と、目の部分にしてた。目の部分は切り抜いて見えるように加工してあった。
いや、これで出ただけでもう、あぶねえよ。
出たら捕まるよもう。
とにかく落ち着こう。
落ち着こう私。
今そういう気持ちでこれを書いてる。