駐輪場のゴミ捨て場
今、僕の隣には僕の彼女がいる。
いきなりなんのカミングアウトかって? いや、登場人物が分からなきゃ、面白い小説でも楽しめないだろう? まぁ、この小説がおもしろいか、ってのは話が別だけれど。
話は変わるけど、小説文の「作者の気持ちを答えなさい」って問題、「あーーーー早く脱稿してぇーーーー!!!! ベッドで寝てぇーーーー!!!」以外になんかあるのかなぁって思ったりもする。
ちなみにこの話はこの小説には全く関係ない。微塵もだ。
さて、尺稼ぎもそろそろ頃合いだ。
まずは手始めに、僕みたいなモブキャラと、学園一の天使が、どうして付き合う事になったのか。その馴れ初めと行こうか────。
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────ここは、とある中学校。
僕と僕の彼女──優奈は、同じ中学校の別クラスの生徒だった。
つまり、僕は学年で噂の美少女、くらいにしか優奈を知らなかったし、優奈に至っては、僕の事など眼中に無かったろう。それくらいに、接点なんてなかった。
そんな僕と優奈を繋げたのは、ある日の放課後だった。それは、放課後ティータイムなんて言うにはあまりにも禍々しい思い出で。
僕は基本的に、クラスの中でも1番最後に教室を出る。
理由は簡単。部活に行きたくないからだ。こうして、適当な口実を作り、部活をサボるのだ。
とは言っても、サボれるのは前半20分ほど、なのだが。
教室を出ようとすると、何故か扉の前のゴミ箱が気になった。中を覗いてみると、ゴミでいっぱいで、今にも溢れ出そうだった。
「…ちょうどいいや。こいつはいい口実になるだろ」
今日はゴミ出しの日でも無かったが、口実を見つけたのだから、逃す訳には行かない。僕はゴミ箱の中からゴミ袋を取り出すと、ゴミ捨て場へと向かった。
この学校のゴミ捨て場は駐輪場付近にあり、全校のゴミがそこに集まる。そのため、とんでもなく不衛生だ。だから最近、閂付きの鉄扉と屋根が付けられた。まぁ、臭い自体は止められないんだけど。
僕は呑気にゴミ捨て場へ向かう。部活やだなぁ、とかそんなことを考えながら。
ゴミ捨て場で行われている、無慈悲な行為を知りもせずに。
ゴミ捨て場の前では、3人の女子が固まっていた。何をやっているんだろう? 僕は疑問に思う。遠目に見た感じでも、ゴミを捨てに来た訳では無いのは明白だ。
「……にしても、ゴミ捨て場の前に面白いモンでもあるのかな」
僕は裸眼では目が悪いものの、メガネを掛けた上での矯正視力はかなりいい。メガネの度が強いだけなんだけど。
女子の1人が笑っているように見えた。
ゴミ捨て場の前にそんなに面白いものでもあるのだろうか。僕が疑問に思っていた時だ。
──ガン! ガン!
鉄製の何かを叩く音が聞こえた。
間違いなく、目の前のゴミ捨て場からだ。
扉は鉄製。閂は掛けられていて、3人の女子は扉に触れていない。
理解するのに、そう時間はかからなかった。
───中に、人がいる。
鉄扉の音は、次第に止んで行った。