うさ耳くん、寂しくなりながらも八歳を迎える ②
山にこもって魔物を狩り続ける八歳児。当然、一部からは不気味に思われている。ただし大体の村人たちは俺のおかしな行動には慣れ切っているのである。
そもそも俺のことをよく思っていないのって、兄さんにガチ恋している面倒な一部の女の子とか、あとは外からやってきて最近村に住みだした人とかだし。ちなみに基本的には兄さんに惚れている人って、俺に優しいよ。ただ中には、弟の俺が兄さんに可愛がられているのが気に食わないとかあるらしい。
しかし兄さんはゲルトルートさんへの恋を相変わらず抱いているので、村の女の子相手に一切靡いていない。
そういう一途なところも兄さんらしいなと思う。
獣人によってはこう、異性を沢山囲んでいる種族もいる。ライオンとかは多分そう言う系統。あとは種族に限らず性格とかで多くの異性と結婚している人もいなくはない。だけど俺も兄さんもそういうタイプじゃない。
俺は兄さんのことを兄として慕っているので、例えばそういう風にハーレム築いていても慕ったままではあるけれど……なんか解釈違いな感じはする。うん、俺は兄さんは女性にだらしなくあってほしくない。俺が勝手にそう思っているだけであるが。
俺は兄さんと違ってモテはしていないんだよな。俺はノアレ一筋だから、モテても困ると言えばそうなんだが。
俺の見た目ってどちらかというと可愛い系だから、異性からは弟枠で見られそうだし。いや、でもノアレに弟枠で見られるのは嫌すぎる。ちゃんと、男として意識してほしい! でもノアレの方が俺よりもずっと背が高いかもしれないが。
ちなみに身体強化の魔法も相変わらず練習はしているけれど、それだけじゃなくて俺個人の身体能力強化のために滅茶苦茶走り回ったり運動もしている。うさぎはすばしっこい生き物ではあるけれど、純粋な力でいえばまだまだだ。
腕相撲とかしても正直獰猛な生物の獣人には勝てない。
なんというか、素の能力の差はどうしても出てしまう。村の住民たちはもう俺にどうのこうの言うことは諦めているし、俺がやることは受け入れてくれている。とはいえ、外から来る商人とかはうさぎの獣人である俺が戦闘能力ばかりを鍛えていることに色々思う所はあるらしい。……大人しく裏方業務をした方がいいとかそんな風に思われてしまっている。
そういうの、あんまり好きじゃない。
というかさ、見た目によってそういう凝り固まった思考になるのは仕方がないと言えば仕方がないけれど、俺は別にやりたいことがあるのだから好き勝手言うべきでは一切ないんだよな。俺はうさぎの獣人で、か弱く見える見た目をしているから余計に侮られる。
あとあれだよな、獣人であるということはそれ以外の種族からしたら偏見とか持たれてそう。俺もこっちの世界の人間ってほとんど関わったこともないからなぁ……。そう考えると、学園生活って不安も大きいかも。
国とか場所が違えば獣人のことを奴隷にしている国とかも普通にあるらしいしなぁ。俺は特に可愛い見た目をしているから、そう言う犯罪者に遭遇したら大変だっても言われた。
というか愛人契約的なのをしている獣人も居るらしいしな。本人が望んでやっているならいいけれど、その意思を無視してやっているなら絶対に嫌だなって俺は思う。
……ノアレも学園で苦労しているのかな。ノアレみたいに可愛い黒猫の獣人だと狙われそう。この国内だとそんなに危険なことはおそらくないはずだが、やっぱりこれから冒険をしたりすると考えると力は幾らでも欲しいよなぁ。って、あんまり力ばかり求めすぎても問題なんだろうけれど。
ノアレが悪い貴族とか、男に狙われたりしたら俺はどうするだろうか。権力には屈したくない。というか、ノアレに何かあるなら俺は何があっても助けようとするし、立ち向かおうとするとは思う。そんな純粋な好意だけではどうしようもないこともあるわけだけど。
あー、本当にノアレに会いたい!
ノアレにくっつきたくて、ノアレと話したくて、匂いを嗅ぎたいとか、そういう感情も芽生えてくる。変態な考えをしてしまっている気がするが、獣人としての本能だとまず間違っていない。
ノアレの耳とか尻尾とかも触らせてもらいたいしなぁ。
やばい、凄く煩悩に支配されてしまっている気がする。流石にこれは駄目な気がするので、俺は自分の考えを振り切るためにもひたすら魔物を狩り続けるのであった。
……あまりにもよる遅くまで魔物討伐をして、返り血を浴びているし、狂気的な笑みを浮かべているって母さんに悲鳴をあげられてしまった。
……真っ白な耳と尻尾の愛らしいうさぎの少年が、返り血に染まっている。うん、客観的に見たら怖いことは分かるけれど、ノアレには怯えられたくないなとただそう思った。




