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うさ耳くんは、やっぱり寂しい ①

「ノアレに会いたい……」

 駄目だ、身体を動かしていないとすぐに俺はノアレに会いたいとそればかりを考える。

 やっぱりうさぎの獣人に転生したからというのもあるけれど、獣性的にも寂しがりやなんだろうなとは思う。うん、目を瞑るとノアレの姿が思い浮かんで……、きっと次に会う時にはもっと可愛くなっているんだろうな。

 ノアレは自分の隣を取っててくれると言った。

 だけれども、もっとノアレにとって素敵な異性が出来たら……とかそんなことも思う。俺はノアレと離れ離れになってもずっと俺の心はずっとノアレのことばかりを求めている。

 母さんたちも俺がノアレを心から大切に思っていることを知って、女の子を紹介することは無くなった。

 幼いながらに俺がノアレ以外に興味がなくて、ノアレを忘れていないことを理解してくれているから。兄さんには、「他にも女の子は居るだろうに」とは言われた。そういう兄さんだって、ゲルトルートさんのことを忘れてはいないのを知っている。

 俺は今、木にぶら下がって懸垂をしている。何度も行うと結構疲れるけれど、身体づくりは重要!! 昼間の山だから、まだ魔物も活発じゃなくて比較的安全。とはいえ、魔物の姿も当然あるけれど。

 俺に襲い掛かってくる魔物に関しては、魔法とかでさっさと倒す。

 身体強化の魔法に関しては使わずに行っているのだ。

 目撃した兄さんには、「小さなうさぎの獣人がひたすら懸垂をしている様子なんて不思議だ」って変な顔された。

 いや、まぁ、俺の見た目って相変わらず凄く可愛いからな。

 客観的に見てみると女の子と間違われてもおかしくない。……もっと大人になったら、可愛いよりかっこいいとは言われたい。けれどそうなれるか? 服装とかに気を遣えば少なくとも女の子と間違われることはないはず……うん、そう思いたい。

 ただ似合わない髪型とかはしたくはないし、そのあたりはちゃんと考えておかないと駄目だなとそう思っている。似合わない変な髪型してもあれだしなぁ。

 おしゃれにはなりたい。

 俺にはその辺の感性はあんまりないけれど、それでもノアレが俺を見て「かっこ悪い」だとか「ダサい」だとか思わないようにはしたいんだよなぁ。

 うん、俺が隣にいるからといって、ノアレが悪く言われたりするのとか最悪だしな。

 俺はそんなことを考えながら、ひたすら懸垂を続ける。このあたりの木々は結構背が高くて、ぶら下がりやすい。

 それにしてもノアレと離れてからもうすぐ一年。もうちょっとしたら俺も八歳になるわけだけど、背はあんまり伸びてない。

 ぐんぐん伸びて父さんみたいになれるのが一番だ。兄さんなんて、明らかに背が高くなりそうな気配が今もずっとしている。

 ……俺ってやっぱり母さんに似ているから背も低めなのだ。

 母さんに似ていることに関しては喜ばしいことだよ! 俺は家族が好きだから、全然ありだなって思っている。ただもうちょっと背が高くなれた方が良かったなとない物ねだりをしてしまう。

 ただまぁ、このままの雰囲気で俺が成長していくのならば見た目で油断されて勝つみたいな戦法が一番か?

 多対一とか、ひたすら戦い続ける人生とかになるかは不明。ただ俺は折角ファンタジー世界に居るのならば強くなろうとはしているけれど。

 ただあれだよなぁ、俺みたいな見た目の獣人が血まみれとかだったりするとかなり引かれそうなシチュエーションだと思う。うん、大丈夫なのか?

 俺は別にそれはそれでいいのだけど、ノアレがドン引きしたりするのはちょっと嫌だ。今でさえ寂しくて仕方がないのに、ノアレに嫌いとか言われたら俺どうなるんだろう?

 やばいぐらいに落ち込みそう。

 ……ノアレなら、呆れはしても折れに引いたりはおそらくしないはず!! 

 俺もノアレのどういう姿を見たとしても受け入れるだろうな。だってどういう姿だろうとも、ノアレの一部というか、俺の知らないノアレを見れるならそれは嬉しい。

 というか、俺だけが知っているノアレが居た方がいいなんてそうも感じている。正式に恋人になれたら、俺だけが見れる姿とか出来るんかなぁ。俺もノアレにだけ特別な姿を見せるとかそんな感じになるのか??

 将来のことを妄想するとなんだか、楽しみになる。いや、まぁ、俺の勝手な妄想でしかないんだけど。

 俺って、一般的に見るとこう……変な獣人ではあるとは思う。そもそもうさぎの獣人なのに、耳を鍛えたりしようとしている時点でそうだしな。学園に通い出したらどういう目で見られるんだろうか?

 まぁ、上手くやれば十歳の可愛いうさぎの獣人なんて先輩たちに可愛がられると思うが。

 やっぱり周りから嫌われたりはしないように上手く立ち回る必要はありそう? ノアレに嫌がられない程度の行動じゃないと駄目だよな。

 処世術を身に着けておかないと。

 そんなことを考えていると、近づいてくる気配を感じ取った。流石に懸垂したままだと対処出来ないので、一回地面へとび降りた。



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