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うさ耳くんと、二度目の街 2

 硬貨を手にする。

 自分の狩ったものを売って手にしたもの――なんだかお金の重みを感じる。

 前世だと未成年だったし、自分でお金を稼いだりというのはなかった。異世界に来て初めて自分で働いた実感を感じるって、あまりない経験だよなと思う。

 それにしても大人になったら、自分で稼いだお金で衣食住全てをまかなわなければならないわけで、金銭感覚は大事だよな。

 もしかしたらこの世界で一攫千金して、金持ちになったとしても今の感覚派忘れないようにしておきたい――とはそう思っている。

「――じゃあ、ユーリ。無駄遣いはするなよ。あとこの街は治安が良いから基本的には問題はないだろうけど、何処にでも悪い奴はいるからな」

「悪い奴?」

「そうだ。特にユーリは雄にしては可愛い顔をしているから変な奴が寄ってくる可能性も十分にある」

「え」

 言われた言葉に嫌な気分になる。

 いや、確かに俺は男にしては可愛い見た目をしている。その自覚は十分にある。散々母さんたちにも可愛い可愛い言われていたし、それに俺には兎の耳までついているし。

 この国は不当に国民を奴隷に落とすことはないみたいだけど、借金を返せなくて労働奴隷のようになる人とかはいるらしい。だから人さらいというのはあまりいないとは聞いてはいるけど……、他国だと普通に奴隷商が沢山いる国もあるらしいからなぁ……。それに幾ら規制されているとはいえ、非合法な手段を行う人はいるだろう。

 平和な日本でも殺人や誘拐なんてそれなりにあった。この世界だともっと多いのではないかと思う。

「うん。気を付ける」

「ああ。そうしてくれ。ユーリに何かあったら困るからな。ちゃんと知らない人にはついていかないとか守れよ。ユーリは見た目のわりにしっかりしているから問題ないかもしれないが」

「分かった!!」

 まぁ、俺も身体に引きずられているとはいえ、前世も含めたらもう精神年齢は大人といえるしな。

 ちゃんと知らない人についていかないとかそういうところはちゃんとしておけているとは思う。

 でもただ自分は精神的には大人だからと気を抜いて変なことになったら大変だからちゃんと気に付けようと思っている。


 大人と別れて、一人でぶらぶらする。



 うん、なんか全く落ち着かない。

 こうして一人で大きな街をぶらぶらするのは初めてだし、何だかドキドキする。さて、一人で買い物は何をかおうか。

 獲物を売りつけて手に入れたお金は、子供が持っているにしては多い。俺の持ってきた獲物の処理が良かったみたいで色をつけてもらえたのだ。……何買おうかな。なんだか街だと誘惑がおおくて、あれがほしいこれがほしいと思ってしまう。

 だってさ、街って村と違って沢山よさげなものがあるんだよな。

 花屋一つにしても日本の花屋ではあまり見た事ないような種類の花があったりさ。何故か俺、花屋でノアレに似合いそうだななどと見てしまって、店員さんに捕まってしまった。

 この女性店員さんは可愛いものが好きらしく、俺に可愛い可愛い言いながら花言葉を教えてくれた。僕の一番は君だっていう花言葉のある赤い花は……ノアレに似合いそうだからいつかあげたいなーってなった。ちょっと今日は買わないけど。

 お姉さんにお礼を言って、花屋を後にして、ぶらぶら見て回る。

 ちょっと小腹がすいて美味しそうなお肉の串焼きをかってしまった。いや、本当はさ、もっと美味しそうで高いものもあったんだけど、それらは買わなかった。だって無駄遣いしたくないしな。

 それにしても本当に街って色んなものがあって楽しい。なんというか、ウインドウショッピングするだけでもわくわくしてならない。

 服も村で作っているものしか俺は着たことがないけど、やっぱりちょっと都会だと服も色々あるみたい。ちなみに貴族とかだと基本的にオーダーメイドらしいんだけど、庶民は貴族の使い古しのものをリメイクした奴とか、手作りが多いらしい。子供だとぶかぶかしているものをきている時もあるのは、日本のように細かくサイズが分かれていないからといえるだろう。

 あとは大量生産とかほぼ無理なので、ある一定の地域だけこの服が流行っているとか色々あるらしい。あとはほぼ一品ものだったり。

 そういうのはやっぱり前世と違うんだなと思った。

 さてさて色々と見て回りながら俺は何を買おうか思案していた。

 そんな中で思うのは、やっぱり強くなるためのものが欲しいなぁということだ。俺も中々この異世界にやってきて脳筋になってしまっているのかもしれない。

 ノアレに追いつきたいという気持ちが強いから。でも武器屋にいけば、追い返された。俺が子供だからである。あとうさぎの獣人だからという偏見もある。何故そんな偏見を持つのか……。いや、たしかにうさぎの獣人は戦いに向いていないけどさ。

 そんなわけでちょっともやもやした気持ちになりながら、俺はぶらぶらする。

 そんな中で見つけたのは、魔法具――そう呼ばれるものを売っているお店であった。




 

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