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うさ耳くんと、冒険者 1

 ゴブリン退治が終わった後、ザッドクさんたちはまだ村に残ることになった。

 他の冒険者たちは、村を後にしてしまったけれど彼らは残ってくれるのだ。数か月しか残る予定はないらしいけど、俺はそれでも嬉しかった。

 だって冒険者だぞ。前世でも今世でも冒険者なんてあったことなんてほぼなかったし。冒険者に話を聞けると思えるだけで嬉しくて仕方がないし。

 ノアレに俺のことをかっこいいっていってもらえるぐらいに頑張りたいもん。

 ノアレに失望されないように、ノアレが俺を好いてくれるように、そういう風になりたいから。

「チェッラーさん、ゲルトルートさん、どうですか!!」

「とても素晴らしい身体強化だわ。ユーリ君の都市でこれだけ出来るなんてすごいわよ」

「ユーリ、凄いわ」

 俺が身体強化をチェッラーさんとゲルトルートさんに見せれば、二人とも笑みを浮かべてくれる。俺はチェッラーさんにも頼んで、魔法を見てもらっている。やはり、冒険者の本職にみてもらえるのは良い経験になる。

 俺は強くなることに妥協したくはない。ノアレにおいつくためん、ノアレにために――とそればかり考えて俺は、強くなろうと必死である。

 周りには「ユーリの年ならもっと遊べばいいのに」とか、「ユーリは変な子ね」なんて言われまくっているけれど、まぁ、俺は俺のやりたいようにやるだけだ。

「ねぇねぇ、最終的に耳を強化したいんだけど、そろそろやっていいと思います?」

「いや、それはまだ駄目でしょう。ユーリ君は変なことを考えるわね……。耳の強化って難しいわよ。ユーリ君はその年にしては身体強化を上手く使えるようにはなっているけれど……それでももっと身体強化を極めなければ駄目だわ」

 期待して聞いてみたが、残念ながら俺はまだ耳への身体強化に挑めないらしい。そうだよなー。身体強化も大分上手になったとは思うけれど、気を抜くと色々痛いし、身体強化が急にとけてしまって倒れてしまたりとかするし。うーん、身体強化で耳を鍛えたい!! って気持ちでいっぱいだけど、まだまだ出来ないらしい。

 残念だけど、耳がやられてしまったら問題だしなー、ってわけで俺は今はコツコツと頑張ることにした。

 チェッラーさんにも、ゲルトルートさんにも、変なことをやっているとか、難しいとか散々言われているけれども、それでも俺は自分が強くなる可能性を諦めたくはない。そもそもウサギの獣人って元々戦闘に向いていないから、こういう所でちゃんと強さを身につけないとだし。

 それにノアレって可愛くて強いからもっと強くなると思うんだよ。猫の獣人であれだけ魔法の才能があるならきっと有名になる。——俺はノアレの横に並べるように、ノアレにかっこいいと思われるようになりたいから。

 しかし、俺の魔法属性、白と無しかないっていうのはやっぱり地味なんだよなぁ。なんだろう、どどどーんってかっこいい感じで目立つ感じではないっていうか。でもまぁ、個性的でかっこよく、白と無だけでもなんとか有名になれるようにするぞーって俺はやる気満々だぞ。

 練習をしたいからっていって、村で怪我した人を白魔法で治したりもしている。お礼もいってもらえるし、お小遣いくれたり、何かくれたりする人も多いし、良いことだよな。

 もちろん、ゲルトルートさんが横に居る時だけ行っているけどさ。あと、兄さんがよく怪我してやってくるんだよな。凄い小さな怪我でもやってくるのは、ゲルトルートさん目当てと、俺が頑張っているのを見たいかららしいけど。相変わらず兄さんは、ハーレム作っていて、冒険者の一人の女性にも「将来有望だわねー」って可愛がられていた。兄さん、かっこいいもんなー。でも大人が本気で兄さんを好いていたら、ちょっとどうかと思うけど。

「ユーリ君って可愛い顔をしているから自衛出来るようにしていたほうがいいと思うわ。白と無だけならば、冒険者なんて目指さない方がいいと思うのだけど……、治癒施設で働くとかの方がいい気がするけど」

「嫌だよ!! 俺は強くなるんだから」

 チェッラーさんのありがたい助言があったわけだが、俺は強くなることを諦めたくないのでそんな風に答えた。

 大体、向いていることと自分がやりたいことが一致していなかったとしてもやりたいことがあるなら猛進していくしかないよな。折角の二度目の人生だし、前世よりも俺はやりたいように沢山のことをやるって決めているんだ。

 俺が決意に満ちているからか、チェッラーさんはそれ以上何も言わなかった。笑って、「なら、ユーリ君が有名になったら会いにきてね。私は楽しみにしているわ。私もそれまでに冒険者を続けられるようにするから」って応援してくれた。

 チェッラーさんたちも、ずっとこの村に居続けるわけではない。……いつか、世界を冒険する時にまた会えて、凄いってびっくりさせられるようになれてたらいいなーって思った。




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