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うさ耳くんと、ゴブリン 4

 ゴブリンの巣を見据えている。沢山のゴブリンたち。ゴブリン退治というのは、決闘のように真正面からやるものではない。魔物の退治というのは、余裕をもって出来るのが一番良いのだ。

 そんなわけでまずは不意打ちで攻撃をすることになっている。先制するのは、冒険者の魔法使い、チェッラーさんだ。

 チェッラーさんは小さな声で詠唱をしているようだ。しかもちょっと詠唱が短い気がする。詠唱短縮というのだろうか。やっぱりこういうファンタジーなことに遭遇すると俺はドキドキしてしまう。

 不意打ちでまずは、魔法を行使するということで次の瞬間には水の弾が出現して、ゴブリンたちを襲っていた。おお、凄い数。杖を手に数えきれないほどの水の弾が、ゴブリン達に襲い掛かる様子は壮観ですげぇ!!となる。

 それにしても凄いなぁ。

 ちなみにチェッラーさんはちょっと離れたところで一人でいる。

 そこから水の弾を放って、ゴブリン達が迫ってきたところを俺達が倒すみたいな感じなのだ。

 チェッラーさんの放った魔法は、そのままゴブリン達に襲い掛かり、その顔を覆う。おお、窒息させようとしているのか。かっこいい!!

 結構な数をチェッラーさんが倒してくれた。

 凄いなぁと思う。チェッラーさんに気づいてゴブリンたちがこちらにやってきた。ああ、ドキドキしてくる。俺は人型の魔物を退治することなど出来るのだろうか。

「ユーリ、身構えるなよ」

「う、うん」

 俺は思わずどもってしまって、何だか恥ずかしい気持ちになる。はぁ、と息を吐く。ゴブリンたちの声が聞こえてくる。俺はノアレと一緒に冒険することがあればかっこいい所見せたいし、頑張ろう。ノアレに勝てるようになるためにも、かっこいいところを見せるためにもと考えるとやる気がみなぎってきた。

 ちゃんと父さんの話を聞いてやらないといけないということで、俺は一息をつく。

 もう何人かがゴブリン達に向かっている。戦闘は始まっている。俺は父さんに連れられ、ゴブリンに向かっていくことになった。

 ゴブリンの見た目は、正直言って気色悪かった。緑色の肌でギャッギャッと声をあげていて、しかも俺を見てニヤリとしていた。……今世の俺の見た目って可愛い見た目だし、狙われるのかもしれないけどうお、ってなる。いやまぁ、ゴブリンじゃなくても人にでもこういう目を見られたらやだけど。

 そう思いながら向かってきたゴブリンを剣で、切り付けた。

 人型の魔物ってやっぱり動物の魔物を倒すのとは違う。……うん、なんかちょっと気持ち悪くなるというか、何とも言えない気持ち。いや、でもあれだよな。ショックを受けて、動けないのは駄目だよな。まだ戦闘中だし。気持ち悪い気持ちを持っていてもいいけど、それを考えるのはこのゴブリン退治を終えてからだ。

 そんな決意を胸に俺は俺の元にやってきたゴブリンたち退治に勤しんだ。大人たちに囲まれてだし、俺の方には彼らがあえて見逃したような小さなゴブリンが多くて、対応するのも楽だった。父さんたちが対応しているのはもっと強そうなゴブリンたちで、いつかそれぐらい強いゴブリンたちを相手にして勝てるぐらいになりたいなと思った。

 ゴブリン退治は、問題がおこることもなく終わった。俺はほっとした。ゴブリンたちの殲滅が終わったという号令が出されて、俺はほっとして、思わず座り込んでしまった。

 やっぱり人型の魔物退治って、なんか動物型のと違う。人の姿をしているけれど、人を攫おうとする魔物は人にとっては討伐対象でしかない。

 ――それでもやっぱり変な気持ち。なんだろう、地球での記憶があるから、まだまだ俺はこの世界の住民しての感覚がまだできていないのかもしれない。

「ユーリ、大丈夫か?」

「う、うん」

 俺はそう答えながら、父さんから手を差し出された手を取る。なんだろう、いまも胸がバクバクしている。

 ふぅっと息を吐く。

 まだ落ち着けていない俺だったけれど、これから戦闘後の処理があるのだ。ゴブリン達を殺してそのままにするのも問題なのだ。ちゃんと死体の処理をしたり、巣の処理をしておかなければあとからその死体目当てに魔物がよってきたり、巣に他の魔物が住み着いたりするらしい。

 なるほどーって感じである。こう考えるとただ魔物倒しただけで終わりってなってるのは、現実的ではんだよな。よくそういうの前世では見かけていたけれど。

 俺は「休んでいい」と言われたけど、その後の処理もちゃんとやりたかったから「やる」と口にして、やり方を聞きながら作業を進めた。ゴブリンの解体もまた大変だったが、頑張ったのだ。ちなみにゴブリンの部位も売れたり、武器に出来たりとかするんだって。あと食べれもするんだとか。非常食にはなってるらしいよ!!

 そんなわけで解体は、結局気持ち悪くなったけどなんとか吐かずにやった。




 それからその作業を終えてから、俺達は村へと戻るのであった。




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