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うさ耳くんと、ゴブリン 2

 冒険者たちが俺の村にやってきた。

 かっこいい!! と俺は目を輝かせてしまった。だってすごい鎧とか身に着けていてザ・冒険者という感じな人たちなんだぞ? 冒険者に憧れる俺からしてみれば、憧れて仕方がない。

 父さんの傍を離れないことを条件に、何とかゴブリン退治に参加できることになったから、是非ともゴブリン退治の極意というのを聞けないかな。やべ、考えただけで興奮する。人型の魔物を相手にするというのは恐ろしいのだけれども、それよりも俺は興奮の方が勝っている。

 でもこうやって興奮ばかり考えていたら、足元をすくわれてしまう事があるかもしれないのでもっと気を付けなければならないと俺は思った。

「待て、ユーリ、何処に行こうとしている?」

「……え、冒険者の人たちに話を聞きに行きたくて……」

 冒険者たちの所へ駆け出そうとしたら、父さんに止められてしまった。

「……ちょっと待て。いきなり行ったら失礼だろ? ユーリが冒険者と話したいのは分かるが、彼らは此処についたばかりで疲れもあると思う。だからタイミングを見て話しかけるように」

「は、そうか! わかった!!」

 というか、俺前世の記憶あるはずなのに、すっかり体に引きずられ過ぎてて、考えたらすぐに行動に移すのはどうにかしなければ……。

 それにしても本当にかっこいいなー。俺は滅茶苦茶話しかけたい。

 ノアレに冒険者と話せたこととか、ゴブリン退治に参加したこととか、成功出来たらノアレに自慢できるだろうか。ノアレも強くなることに関心が強いから、「もっと話して」って可愛く言ってくれるだろうか。それを考えるだけで凄くわくわくする。

 そこまで考えて、俺はやっぱりノアレのことばかり考えているななどとなんだかにやけそうになった。

 俺はそう思いながらなんとか話しかけるタイミングをはかろうと、じーっと冒険者たちを見つめてしまう。そうしていれば、冒険者側が俺の視線を気になったらしく話しかけてくる。

「おう、どうしたんだ坊主」

「じーっと見ていたけれど」

 そういってやってきた二人の男女。

 一人は赤髪の人間。なんかかっこいい。筋肉質で、俺とは正反対な感じで、こういう筋肉気質な人って憧れるんだよな。ムキムキってかっこいい。しかも大剣背負ってる! 大剣ってかっこいい。

 女性の方は魔法使いって感じで、ローブと杖持っているのだ。俺はゲルトルートさんに習っているのでは杖とか使ってないけど、杖に何か効果があって使っているって感じなのかな? ザ・魔法使いって感じでかっこいいなーってなるよ。

「すみません。冒険者の皆さん、うちの息子は冒険者に憧れているみたいで……」

 父さんが慌てたように俺に頭を下げさせて、そういう。

「そうなのか。なんだ、坊主、何か聞きたいことあるのか?」

「私たちでいいなら答えるわよ? それにしても君、可愛いわね」

 ……質問をしていいと言われたことは嬉しいけれど、可愛いと言われたことにはなんとも言えない気持ちになってしまう。

 でもまぁいいや、答えてくれるなら。

 可愛いより、かっこいいがいいけど、よく考えた初対面でも好感度を抱かれるぐらいに見た目が良いってある意味、武器だよなーなんて思った。

 可愛いって言われると嘆きたくなるけど、前向きに考えた方がいいかもななどと考える。

 ちなみに他の冒険者たちは大人たちと話しているので、目の前の二人に俺は話しかける。

「えっと、俺はユーリっていいます! 冒険者に憧れていて、沢山、冒険者の話を聞きたいです!!」

「おう、そうか。俺はザッドグ」

「私はチェッラーよ。よろしくね。冒険者に憧れているのね。どの話がいいかしら? やっぱり、戦いの話?」

「どんなのでも!! 冒険者のかっこよさも、大変さも、色々聞きたいです! あと俺もゴブリン退治、ちょっと脇で参加させてもらう予定なので……ゴブリン退治の極意とか!! 色々教えてください」

 いや、もう本当になんでも聞きたいなって思うのだ。何でも聞けたら、凄く嬉しい。

 俺はこの異世界を色々と回ってみたいと思っている。きっと見た事がない景色が沢山広がっているんだろうなって想像するだけでも大興奮だ。でもよい部分だけ聞きたいわけではなくて、もっと苦労することでも知りたいなって思っているのだ。

 苦労を知ってこそ、楽しい事を実感したらきっと生きがいのようになるって思うし。

 俺はきっと今、キラキラした目で冒険者たちを見つめてしまっているだろう。何だかほほえましい目で見られていて恥ずかしい気持ちももちろんあるのだけど……まぁ、恥ずかしいとか言ってられないよな。でも俺は何が何でも冒険者と仲よくしたいし、冒険者の事を知りたいって気持ちが大きくなりすぎているから、仕方ないよな。

「そうだな、じゃあ――」

 そうしてザッドグさんは俺に話をしてくれるのだった。




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