赤ちゃん生活、うさ耳くん ③
なんか周りの話を聞いている限り分かったのは、この世界ではというよりこの住んでいる村周辺でだけなのかもしれないけれど、子供はなくなりやすいからこそ、一歳の誕生日を迎える前の間外に出さないようにしているんだそうだ。
家でお祝いをした後、初めて見た外の景色は想像していたよりものどかな田舎だった。この村の他の村人だろう獣人たちが俺のことを覗きにきていた。狼の獣人の数が多かった。他の獣人もいるけれども、狼が多かった。そうそう、最近分かったけれどやっぱり父さんと兄さんは狼の獣人だった。凄くかっこいいと思う。正直羨ましい。……同じ兎耳で嬉しいと母さんがにこにこと笑ってくれているから、嫌だなんて言えないけど、でもちょっとうらやましいと感じてしまうものだ。
それにしても太陽眩しい。
そしてなんか空気が澄んでいるというか、こう……凄い綺麗な感じがする。外でも俺が無事生きていることに対するお祝いをしてくれた。
沢山の人が、俺のことを言わってくれることに心が温かくなった。
「可愛い!」
「こんな可愛い子が妹とかいいなぁ」
「いや、ユーリは弟だ!」
そして俺の周りにいた村の子供たちは俺を妹と勘違いしていた。……大きくなって女に間違えられる未来が見える気がするけれど、そうならないことを祈っておこう。
それにしても、狼の獣人の数が多いな。皆かっこいい。女性の狼の獣人もなんかきりっとしていてかっこいい感じ。ちなみに兎耳のおじさんもいた。そのおじさんは背が母さんぐらいしかなくて結構童顔だった。
あと畑もいくつか見られた。獣人の村ってもっと狩りとかばかりかと思っていたんだけど。でも兎だと草食だからとかあるのかな。さっぱり分からないから、色々知っていきたい。
俺の一歳お祝いは村で盛大に行われた。凄いでかい肉が出てきた。凄い美味しそうなお肉の匂い。まだ食べれないけど、大きくなったらあの肉食いたい。というか、これ、村の人たちが狩って来たものなのかな。俺もこういう大きな動物狩れるようになったりするんだろうか。
狩れるようになったらかっこいいと思うのだが。
「ユーリは可愛いわね」
母さんはにこにこ笑いながら俺の頭を撫でてくれた。母さんが笑っていてくれるのを見ると安心する。母さんが、「このお肉お父さんがとってくれたのよ」とにこにこ笑っていた。父さん、すげぇと思った。
パパ、パパいって手を叩いたら、父さん、凄い破顔した顔向けていた。父さん、近くで見ると本当イケメン。俺もイケメンになりたい。そして可愛いお嫁さん欲しい。父さんと母さん仲良しでよくいちゃいちゃしているから、余計に俺もそんなお嫁さんいつか欲しいなと思ってしまう。
そうそう、兄さんのコーガは村野子供たちにとっても人気者みたいで子供たちに囲まれていた。兄さんのことを好いてそうな女の子もいて、おおっと思った。兄さん、もてもて。というか、兄さん世代の子供それなりにいるけど、俺の世代の子は? 俺の幼馴染になりそうな子いたりするんだろうか、とあたりを見渡すけれど見当たらない。異世界転生ものでよくある幼馴染が居ないとかそういうことなのだろうか! 前世でも幼馴染なんて存在いなかったから今度は幼馴染いるかなと思っていたのに……。
いや、でも今姿が見えないだけで実は幼馴染が居たりするかも、あとから出来るかもしれないし……。
俺はしばらく悶々とした。
その日、沢山お祝いをして俺は初めての外につかれて家についてすぐに眠ってしまった。
その日から時々外に出してもらえるようになった。もちろん、赤ちゃんだし一人では出れないから母さんや父さんに連れられてだけど。
外でさ、子供が木に飛び乗っていたりするのみてやっぱり獣人って人間より身体能力高いんだなと思った。あと速い。兄さんとか外で本当びっくりするぐらい早くかけていくんだよ。やっぱり狼だからこれだけ速いとかあるのかな。俺も将来的にあれだけ速く走れるようになったりするのだろうか。
「にぃに、はやい」
俺は相変わらずの拙い言葉だ。ちなみに、兄さん、にぃにと呼ばれると凄く嬉しそうな顔をしていた。兄さん、現状ブラコン気味な気がする。なんか俺を守るとか宣言したりもしているし、まぁ好かれている分には全然かまわないけどな。俺も兄さんの事好きだし。兄さんにこにこ笑っていて、かっこいいし。俺もブラコンなのかもしれない。もちろん、母さんと父さんのことも好きだ。
転生者の物語だと生産チートとか経営チートだとかそういうのよく見たけど、正直そんな知識欠片もないんだよな、俺。でも、将来的に前世の記憶があるって点が家族の役に立てればいいなってそんな風には俺は考えるのであった。