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うさ耳くんと、修行 5

 身体強化の初歩を少しずつ進めている。まずは拳や足から始めている。ただこれって思っていたよりも難しい。

 魔法というのは総じて難しいものであるというのはこの世界で魔法を学んでいて分かっているけれど、なんというか折角こうやって転生して魔法が使えるのにすぐに使いこなせたりしないっていうのは俺らしいというべきか……。前世で見た事がある漫画とかだとポンポン使って天才として有名になるとかあったんだが、そんな都合の良いことはあり得ないので俺は頑張る。

 しかし、ちょっと身体強化をしてみても、普段殿ズレとかで体が痛かったりする。なんだろう、筋肉痛みたいなものになっているのだ。

 っていうか、こう、身体強化ってもっと簡単に出来るイメージが勝手にあったけれど……やっぱり魔法っていうのは全部難しいんだなって思う。っていうか、身体強化の魔法って他の魔法よりも使い勝手悪いと言えるかもしれない。他の魔法はなんていうか、基本的に外に働きかけるものだけど、これって体の内側に働きかけるものなんだよなぁ。

 身体強化を使った! 運動能力が上がった! 何も体に影響はない! っていう簡単な話だったらよかったんだが、そんな便利な魔法はこの世界にはないのだ。というか、上手く研究していけば負担が少ない身体強化とかいつかできたりするんだろうか。

 あとあれだね。獣人ってそもそも身体能力が高いから身体強化上手く使えたら凄いことになりそう!! って思ってわくわくする。

 ノアレにおいつきたいっていうのが一番の目標だけど、それ以外にもただ強くなりたいって気持ちもやっぱり大きいのだ。

 足の身体能力強化を出来るようになれたら、元々素早いうさぎの獣人がもっと素早く動けたらかっこいいと思うんだよな。やっぱり理想を追い求めるのは大事だと思う。

 うんうん、楽しみがどんどん増えてきて楽しいものだ。

 体は痛いし、それなりに大変だけど、楽しいものは楽しい。

「ユーリは楽しそうに身体強化をやるわね。体も痛いだろうに」

「だって、楽しいもん。確かに大変だったりするけど、強くなりたいから」

「うーん、ユーリってつらい事とか嬉しかったりするのかしら? そういう趣味な男の子もいるけれど……」

「違うよ!! 俺はマゾじゃないもん」

「マゾ?」

「ああっと、いたぶられたりする人が好きって人のことだよ!! 俺はそんなんじゃないよ。ただ俺は大変でも結果につながるなら頑張るって思うだけだよ!! マゾとかノアレに勘違いされたくないし」

 ああ、でも好きな子相手だったら少し傍若無人な態度をとられたとしても気にならないのかもしれないけど。いや、でも流石に自分勝手な事ばかりされると好きな子でも嫌になるかもしれない。まぁ、ノアレはそんな人ではないけれど。

 ただ我儘を言ってもノアレは可愛いんだろうな。うん、甘えられたい。だって今はノアレにとって俺は好きと言ってくる男の子なだけで、ノアレ自身が俺の事を好きなわけじゃないから。ノアレが俺の事を好きになってくれたら俺に甘えてくれるだろうか。ああ、やばい、想像するだけでそんな未来が来てほしいって思ってならない。

「ユーリ、何、ニマニマしているのよ」

「ノアレのこと考えていただけ!! 俺、絶対ノアレより強くなるんだ」

 俺がそう言えば、ゲルトルートさんは呆れたような笑みを浮かべた。

 

 さて、そんな会話をしながらも俺は身体強化を極めるために修行を続けた。





 耳への身体強化にうつるためにはまず初歩的なものをどうにかしなければならないというのがあるのだ。とはいえ、学園に入るための勉強とか家のお手伝いとか、狩りへ向かわなければならなかったりとか、やらなければならないことが沢山あるから、修行だけを進めるわけにもいかない。

 俺も大きくなるにつれ、村のお手伝いも増えてきたし。出来ることが増えるのは十分嬉しいんだけども、魔法の勉強ももっとしたいし、やりたいことが多すぎる!!

 そんな思いを抱えながら俺は過ごした。

 ヒーリング系の魔法もせっせと勉強していた。……っていうか、一つに絞ってやらないから全部少しずつなってんだよな。とはいえ、全部やりたいのだ。

 身体強化の魔法を習って半年ほどたったころ、ようやく使いこなすのが上手くなってきた。耳への強化はまだ移れていない。

 ……もっと身体強化を極めてからやるようにってゲルトルートさんに何度も何度も言われているから、こっそりやったりはしないけれどさ。

 はやく耳の身体強化をはじめたい!! って思いはあるけど、教えてくれる先生の言う事は聞かなきゃだからな。

 ノアレが次に来るまでに耳の強化の魔法を完成させることは難しいなって思うけど、ノアレが学園に入学するまでの間に俺はノアレに一泡吹かせるんだ。




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