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うさ耳くんの、修行 4

「耳の強化?」

「うん。うさぎの獣人って耳が長くて弱点でしょ? 俺、弱点を逆に強みに出来たらって思うから」

 弱点を強みに変えるとか、武器に変えるってすごく良いと思うから。っていうか、夢があるしさ。難しかったとしても出来る可能性があるなら試してみたいし、もし出来なかったとしてもそれまでやった事って無駄にならないだろうから。

「耳だけを強化して、弱点を強みにするとなるととても難しいわよ。一つ間違えると耳が使えなくなったりすることもあるかもしれないし」

「……それは分かっているけど、それでも俺はやりたい。やろうとしなければなんでも出来ないだろうし、俺は例え大変でも強くなってノアレに勝ちたいから」

「ユーリは小さいのにぶれないわよね。他の子供だったら後から後悔するわよって止めるのだけど、きっとユーリは後悔なんてしないわね。そういう目をしているもの」

 そりゃあ、俺は前世の記憶があるからなとゲルトルートさんの言葉に思う。

 もし俺が転生者なんかじゃなければ、大変な目にあっても力を欲しようとしなかっただろう。痛い目に一度でもあえばもう強くなろうなんてしたくないってそんな風に決断したかもしれない。だけど、俺は転生者で、この生は俺にとっての二度目だ。

 一度死んだ事実があるからこそ、なんていうか後悔しないようにいきたいって思う。それに前世の記憶があるからこそ、このファンタジー世界に対して希望や夢を抱いているからっていうのもあるけど。でもまぁ、ノアレに出会わなかったら俺は此処まで強くなろうと願わなかったかもしれない。

 俺はやるだけやってもし何かあったとしてもそれはそれだと思う。まぁ、落ち込んだり荒れたりはするかもしれないけれど、俺は精神年齢は高いからなんとかなるだろうし。まぁ、そうならないのが一番なんだけど、何が起こるか分からないのが人生だしな。

 まずはノアレに追いつくために、強さを求める事が第一だ。ノアレに置て行かれたくないから。

「うん。俺は後悔なんてしない。だから、俺と一緒に考えてほしい。もちろん、よっぽど危険な場合は止めてほしいけど、それでも少しぐらいは無茶したい。無茶してでも強くなりたい。ノアレに追いつきたいから」

「ふふ、じゃあ少しずつ考えましょうか。その長い耳が武器になるように」

「うん!!」

 そういうわけで、ゲルトルートさんと一緒にこの長くて脆い耳を武器にするために思案することになった。

「というか、耳以外はいいの?」

「耳以外も強化したいけれど、とりあえず耳から強化したい。というか、ゲルトルートさん、耳が実は武器になるみたいだと、かっこよくない? なんか夢があるしさ。俺はどうせなら夢があるような戦い方をしたいから」

「ユーリは男の子ね……。そういう事が好きなのね。まぁ、私もそういう夢がある戦い方って良いと思うわ。皆があっと驚くような戦い方が出来たら面白いわよね」

「うん!! ゲルトルートさん、よく分かってる!! 俺、出来たら俺が驚くような戦い方をして周りに驚かれたりしてみたい。もちろん、自分の命が一番大事だけど、うさぎの獣人にとっての急所である場所を武器にしたらかっこいいじゃん。初めて戦う相手だと対処が出来ないとかだと余計に良いと思う」

「そうね……。ユーリが色んな所に行くなら盗賊とかに襲われたりすることもあるだろうし、一度見ただけじゃ対処が出来ない方がいいわよ。その隙に相手を殺したりできるもの」

 ゲルトルートさんはさらりとそんなことを言う。

 ……まだ俺は誰かの命を奪った事はないけれど、そういう可能性ももちろんあるんだよなって思った。もしこの村で一生を終えようとしても命の危険に襲われることはあるだろうし。色んな所で冒険をしようと思えば、それだけそういう可能性も増加していくのだ。

 ……だから色んな所を旅するまでには、そういう覚悟も持たないといけないって思った。

「うん」

「まずは、そうね。身体強化の練習から始めましょう。まずは、耳ではなく他の一般的な場所からね。いきなり耳の強化を始めようとしたら上手く行くわけがないから」

「うん。えっと、そうなると何処から?」

「そうね。拳とか足から始めるべきかしら。一時的にでも身体強化をすることから始めましょう。まだ拳や足は魔力を集めやすい箇所だから、コツを掴めばなんとか出来るでしょうし」

 身体強化を耳にかけるにしてもいきなり耳にかけるのは難しいらしい。だからまずは他の一般的な体の部からやるべきらしい。まずはそちらもちゃんと使えるようになりたいし、地道にやるしかないか。

 次にノアレに会った時に、ノアレをびっくりさせるぐらいになりたいから。

 よし、頑張ろうと俺は気合を入れてまずはゲルトルートさんと身体強化の初歩からやってみることにした。



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