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うさ耳くんの、修行 3

「よし、頑張るぞ!」

 自分を激励するための言葉を口にした後、俺は修行を開始した。

 最近は、狩りに出かけたり、ゲルトルートさんとの勉強に励んだり、魔法の練習をしたり、家のお手伝いをしたりで少しだけ修行がおろそかになってしまっていた。

 ……まぁ、魔力があった! 魔法が使える!! とテンションが上がってしまい、魔法の練習の比率の方が高くなったことは仕方がないことだろう。

 でも俺はもっと、強くなりたいのだ。魔法が使えるからと、今までやっていた修行をおろそかにしていいわけではない。大体中途半端にやるのは俺としても好きではないのだ。

 俺がやっているのは走り込みや五感をそれぞれ塞いでの行動だ。

 なんというか、魔力を感じられるようになったからか前よりも周りの状況を感じられるようになっている気がする。それはとても良いことだ。目を瞑っていても周りの状況を把握できるようになったり、耳を塞いでいても周りを把握できるようになれればそれだけいろんな可能性が芽生えるのだから。

 この長いうさ耳への対処法は今の所、まだ確立は出来ていないけれど……どうにかこの長いうさ耳を弱点ではなく、武器に出来るように何かしら考えられたらと思っている。

 俺の大好きな女の子――ノアレは一般的に見ても才能にあふれているらしい。色んな場所を旅していたゲルトルートさんが、ノアレの年でこれだけ戦えるのは珍しいって言ってたし。

 そんな才能あふれるノアレに勝てるようになりたいのだから一般的な努力をするだけではどうしようもない。もっと、こう……他にないような戦い方を見つけるとか、そういうのをしなければならないはずだ。

 十歳になったらノアレは一足先に学園に向かってしまう。そうすれば、同年代の男たちとノアレが接するようになるわけで……ノアレは可愛いから絶対に同年代の男たちが放っておくとは思えない。それにノアレも好きな相手が出来るかもしれない。だからこそ、それまでにノアレに勝てるようになりたい。そのために俺は努力を惜しみたくない。

 本当、遊びもせずにこんな周りから見たら訳の分からないことしているからたまに変な目で見られるけどな!! 

 あとあと数年したらまたこの村は繁殖期を迎えるらしく、子供が増えるだろうって言ってた。

 母さんと父さんが「小さい子が増えてユーリの真似をしなきゃいいけど」とか言っていたのを聞いたし。俺の真似をして五感を塞いで行動とかしだしたら問題かもしれないという話らしい。

 まぁ、俺も親の立場で子供がこういうわけの分からない行動していたらそう思うだろう。寧ろ何だかんだで俺が変な行動しているのに可愛がってる両親はとてもいい親だ。村の人たちも変なことしているとは思っているものの、俺を虐めたりとかはしないし。

 それにしても折角魔法が使えるようになったし、耳への対策も魔法使いたいんだよなーとか思うけど、まだ魔法を習い始めた俺にはどういう風にすべきかってわかんないんだよな。魔力が持つのならば、魔法を使いたいけど……、そんな風に魔力を持たせることが俺には出来るのか? っていうのも分からないし。

 ただうさ耳の防具をつけるにしてもそれはそれでお金がかかるからなぁ。

 魔力回復薬とか、この世界あるのかな? あるなら魔法を使って耳への対処をして魔力回復薬を飲むのと、うさ耳の防具をつけるのとどちらの方がいいのかとか計算してみるべきか?

 身体能力の魔法で刃物を通さないようにすると色々大変だってゲルトルートさんは言っていたけれど、少しずつ慣らしていって普段殿ズレをなくしていけば上手くできたりするだろうか。難しいってゲルトルートさんは言ってたけれど、やってみなければ本当に出来ないのかは分からない。

 なんだろう、こう、弱点の耳を狙われたけれど、無傷! みたいなのってかっこよくないか? 俺はロマンを感じる。だからちょっと今度やってみようと思う。

 流石にいきなり身体強化をやろうとして失敗して大変なことになったら困るから、ゲルトルートさんに相談しながらやることにする。

 魔法と言うものは一歩間違えれば大変なことになるようなものなのだ。母さんと父さんもゲルトルートさんが見てくれているからと魔法を学ぶことを許してくれているようなものなので、下手なことになったら魔法の練習を禁止されてしまうかもしれない。

 それは勘弁である。

 とりあえず次に会った時にゲルトルートさんに色々相談してみよう!

 そんな思いに駆られながら俺は五感を一つ一つ塞いで、体を動かすことを何時間も続けるのであった。





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