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うさ耳くんと学び

 初めての狩りに出かけてから、既に二週間が経過している。まだ二度目の狩りには出かけていない。

 今、俺はゲルトルートさんに文字や魔法について学んでいる。

 ゲルトルートさんは文字も俺に教えてくれる事になった。つくづくゲルトルートさんがいてくれて本当に良かったと思ってならない。もしゲルトルートさんがいなければ、こんな風に学べなかっただろうから。

 それにしてもこの世界の文字って、前世でいうとアルファベットに似てる。中学校高校の英語でさえも苦手だった俺は文字を覚えるのに難儀していた。それでもなかなか覚えられない俺にゲルトルートさんは丁寧に教えてくれる。

 魔法学園は十歳から十八歳まで魔力持ちが通う事になる学園だ。八年間、きっと文字を散々読むことになるだろう。きちんと文字を読めるようにならないと大変だろうが、五年もあるのならば流石に覚えられるとは思っている。

「……文字って難しい」

「まぁ、習い始めたばかりだから仕方がないわ。少しずつ覚えていきましょう」

 魔法について学ぶ方が文字を覚えるよりやりたい! って気持ちが強いけど、こういう命と隣り合わせの出来事がよく起こる世界ではきちんと学ぶことも必要だと俺は思っている。だからこそこうしてゲルトルートさんの指示に従って、文字を覚える事に比率を置いている。

 何より、文字を覚える事で魔法の勉強にもつながるってゲルトルートさん言っていたし。まだ、俺は魔力を感じようとしている段階で、魔法ってものを使えてないけど、いずれ魔法を使って強くなるために頑張ろうと思う。

「獣人はこう書くのよ。エルフはね――」

 獣人と言う文字の書き方や、エルフと言う文字の書き方と一緒にそれぞれの種族についてゲルトルートさんが知っている事を教えてくれたりする。ゲルトルートさんは本当に物知りだ。俺が知りたい事をなんでも答えてくれる。

 ちなみにこうやって文字を教えてもらう場に、時々兄さんもいる。兄さんは勉強が嫌いらしいけど、ゲルトルートさんに淡い初恋を抱いているのでたまにいるのである。その時には兄さんに惚れている女の子が一人はついてくるので、正直落ち着かなかったりする。とはいってもやっぱり勉強はあまり好きじゃないみたいで、たまにしかいないけど。まぁ、兄さんはこの村から出るつもりもないみたいだからそこまで勉強しなくても大丈夫だろう。

 獣人の種類も、俺が思っているよりも沢山いるというのも文字を習いながら知った。此処の村にも数種類の獣人がいるけど、世の中にはもっと多くの獣人がいるようだ。うさぎの獣人の中でも耳の色や形が違うのもいるし、種類は豊富だ。ちなみに俺の耳と尻尾は白い。

 エルフも森にすむエルフと火山の麓に住まうエルフとか色々いるらしい。ゲルトルートさんはザ・エルフって感じだけど。あと竜族とかもいるらしい。竜族ってかっこいい。だってドラゴンだよ? 俺もいつかドラゴンみたいなー。敵対はしたくないけど、相棒とかになれたら一番嬉しい。まぁ、ドラゴンってすごく強いらしいから、ほぼ無理かもしれないけど。でもまぁ、夢を見る分には自由だから。

「そういえば、ユーリ、もうすぐユーリの好きな子もこちらに来るのよね?」

「うん。ノアレは一緒に来るはず!」

 今年は俺の村にノアレの村の人達が来る年だ。ノアレはきっとその時に来てくれるはず。……ノアレが来なかったら嫌だなぁ。そうなると、来年になってしまうかもしれない。

 俺、ノアレに会って、魔力があったんだっていうのを楽しみにしている。そしてノアレと模擬戦をするのを楽しみにしている。ノアレに勝って、ノアレにちゃんと考えてほしいんだ。考えるってだけじゃ俺の方を振り向いてくれるかどうか分からないけど、それでも俺はひとまずノアレに勝ちたい。

「ノアレ、もしかしたら魔法使えるようになってるかもしれない。俺より一つ上だから」

「そうなのね」

「うん。だから魔法が使えない俺が魔法が使えるようになっているかもしれないノアレと模擬戦するわけだから……ちょっとノアレが魔法を使えるようになってたら厳しいかもしれない」

 そもそも、魔法を使ってないノアレにさえ俺はまだ勝てていないのだ。ノアレは強いから。

「そうね、でも――」

 ゲルトルートさんは頷いて続ける。

「魔力があると分かってまだ一年だったらきっと詠唱破棄なども出来ないわ。仕えたとしても簡単な魔法よ。なら、口を開かさなければいいのよ。あとは、集中させない事。魔法を使うのに慣れている人は簡単に魔法を使うわ。それこそ熟練の人になれば、一瞬でも余裕を持てれば魔法を放てるわ。でもその子はそうではないの。ならば、攻めて攻めて、魔法を使わせる集中力をそぎなさい。そうしたら今でも十分何とかなると思うわ」

 ゲルトルートさんはそんなアドバイスをしてくれた。

 攻めて攻めて攻める。そして、魔法を使わせないようにする。そんな真似俺が出来るか分からないけど、何とかやってみようと俺は決意した。




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