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うさ耳くん、もうすぐ五歳になる。

 ゲルトルートさんがこの村にやってきて、早数か月が経過している。ゲルトルートさんは綺麗な顔立ちをしているから、俺の住んでいる村の中でも人気者だ。特に男からは恋愛感情を多く向けられているようだ。とはいえ、男女の対応が違うとかそういうのもなく、誰にでも優しいため女性陣とも仲よくしている。

 まぁ、好きな男がゲルトルートさんを好いているからとゲルトルートさんを嫌っている人たちもいるけど。

 ……というか、兄さんがゲルトルートさんを好きになってしまったみたいで、兄さんの好きな兄さんと同じ年代の女の子達はゲルトルートさんに負けない! と対抗心を燃やしているらしい。ルリィ姉ちゃんとか本当に甲斐甲斐しく兄さんの世話をやいている。うん、なんていうリア充なんだろうか、俺の兄は。

 兄さんの初恋がゲルトルートさんかーと不思議な気持ちだったりする。ゲルトルートさんは兄さんの事を子供としか認識していないっぽいけど。そうそう、俺は結構ゲルトルートさんと仲良しだ。

 俺がゲルトルートさんにぽーってなったりしないのと、魔法や旅行先についてなどの話を進んで聞きにいくのもあって、ゲルトルートさんは俺とよく話してくれる。異性は子供でも顔を赤くされたりするから、そうならない相手の方が話しやすいらしかった。もてるというのも大変だ。兄さんみたいに鈍感だったりしたらいいのかもしれないけれど、察しが良ければその分だけ周りの感情に気づいてしまうわけで、異性に好かれるというのも大変だと思った。俺にはハーレムとか無理だ。

 俺は相変わらず修行を続けている。

 五感を塞いでの修行は、大分慣れてきた。何だろう、こう人って慣れていくものなのだ。相変わらず目を塞げばこけそうになったりとかもするけどさ。でも、なんとなく、慣れては来ている。

 ……ゲルトルートさんにもばっちり修行を見られて、呆れられたけど。

 でも俺は俺の目標のためにあきらめたくなどない。ノアレの事を絶対お嫁さんにしたいから。

 木剣を振るうのも大分慣れてきている。兄さんは最近よく模擬戦をしてくれる。というのもゲルトルートさんに良い顔をしたいからというのもあるみたいだ。俺とゲルトルートさんが結構仲良しなので、ゲルトルートさんと話したい兄さんはよく俺とゲルトルートさんがいるところにやってくるのだ。兄さんの初恋は現状、報われなさそうな気がする。初恋は実らないっていうし。いや、でもそれをいったら俺のノアレへの気持ちも実らなくなってしまうから、初恋は実らないって言葉を信じない!!

「ユーリ、お疲れ様。今日も頑張っているね」

 走り込みを終えた俺に、ゲルトルートさんが水を差しだしてくれる。ちなみに俺が走り込みをしている場所は、ゲルトルートさんのお気に入りスポットになったようで、ゲルトルートさんはよく此処にいる。

「うん! 俺、目標があるから」

「好きな子に勝ちたい、だったわね」

「うん!!」

 ゲルトルートさんのくれた水を口に含む。体力は昔よりついてきたけれど、まだまだ足りない。魔力を持っていない可能性も高いし。どちらにせよ、魔力を持っていたとしても、体力があった方が断然良いと俺は思う。

「ユーリは、努力家だね」

「だって俺天才じゃないから。努力しないとノアレに追いつけないし。ノアレと絶対結婚したいもん」

「ふふ。そんな風に一途に思われる子は幸せものだね」

 ちなみにノアレとゲルトルートさんはまだあっていない。もうしばらくしたらこちらの村にノアレ達がやってくるはずだから、そこで会うだろうけど。

「ゲルトルートさんは、誰かと付き合うとか考えてないの?」

 もてもてなゲルトルートさんに、ちょっと気になって聞いてみる。

「そうね。私はそういうのは興味がないわ。もし本当に心の底から愛してると言えるような人が出来たら、共にいたいと思うけれど……。今は、旅をして好きなように生きる方が楽しいもの」

「そっか」

 ゲルトルートさんぐらいに綺麗だったら逆ハーとかも作れそうな気もする。でもゲルトルートさんは恋人を作るなら一人なんだろうなぁ。兄さんはどうなるんだろ? ハーレム作れそうだけど、なし崩しにハーレムになるか、一人だけを愛するか。うーん、どうなんだろ? ハーレムにするにしても経済力がないと難しいだろうしなぁ。

「そういえば、そろそろユーリも五歳でしょ? 魔力があったら私も見て上げれるわ」

「ありがとう、ゲルトルートさん!! 魔力があってほしい。ノアレも魔力あるって言ってたから、魔力があった方がノアレに追いつけるから」

 俺ももうすぐ五歳。

 ……魔力があるかどうかの運命の時が迫っている。

 魔力があってくれたらいいな。努力をしたら魔力が芽生えるならともかく、本当に魔力があるかどうかは本人にもどうしようもない事なのだ。

 ゲルトルートさんと話しながら、どうか魔力よ、俺に宿っていてくれと願ってならなかった。





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