うさ耳くんと、うさ耳防具 1
うさ耳の防具、ためしに作られたそれは皮製の物だった。試行錯誤して皮製のものになったようだ。俺の耳のサイズも考えて一先ずそれを作ってくれた。
俺の耳も大きくなるにつれて変わって、成長していくだろうからという事も含めてだ。村に立ち寄る鍛冶師の人は、「うさ耳の防具なんて面白い事考えるな、頑張れよ」と俺の頭を撫でまわした。難しいかもしれないけれど、俺は冒険者になりたいって夢を叶えたいから頑張ろうと思った。
うさ耳防具を耳につけてみる。皮製の防具を耳に巻く形で、正直、耳が聞こえにくかったり、動かしにくかったりするけれど防御力はある。
うん、ちょっとこれで上手く動けるか試してみよう。あと、この防具がどれだけの防御力を持つのかとか、そういうのも考えよう。俺はまだ四歳だから、冒険者になるぐらいの年になった時にうさ耳への対処が上手くいくようにしたいのだ。
ノアレに追いつけるように、努力をする。一生懸命に努力をする。それでうさ耳への対処を考えていかなければ。
皮製の防具を身に着けて、木の棒を振るう。
やはり、耳に余計なものがあると動かしにくい。
あと聴覚に問題が生じてしまう。でもまずは、これで動けるようになれるように頑張ろう。俺はノアレに追いつきたい。ノアレとずっと一緒に居られるように、ノアレに勝てるようになりたい。
そう思うから俺は防具をつけたまま必死だった。
ただあまりにも見た目が悪いのでルリィ姉ちゃんたちには何をしているの? と不思議そうにされた。兄さんは「そんな事までして強くならくてもいいだろう?」とか言っていたけど、俺は強くなりたいんだ。だから、兄さんの言葉は却下する。
それにしてもこの防具ってどれだけの防御力があるのだろうか。それも色々試してみる事にした。まずは刃物を当ててみる。軽くあてるだけならば弾く事が出来るだけの防御力があるけれど、強く押したら破損してしまった。……やはり、軽く作ってもらっただけの皮製の耳の防具だとそんなに防御力が高くないものになってしまうか。それも仕方ないと言えば仕方がない。四歳の俺の我儘で作られたそれにそんなにお金もかけられていない。ただ鍛冶師が面白いと乗ってくれたから作ってもらえたものなのだ。
作ってもらってまもない防具を破損させてしまって父さんに怒られた。物は大事にするようにって。うん、それはその通りだ。でも色々試してみないと理想の耳の防具なんて手に入らないんだよなぁ。
この後、色々注文をつけたら鍛冶師の人嫌がるかなぁ。うーん、まだ子供な俺の言葉を聞いてくれるか同かもわからないわけだしなぁ。そんな風に考えて色々悩んでしまう。
一先ず、父さんを通して要望をその鍛冶師の人に対して出すつもりだけど……。父さんには色々呆れられたけれど、父さんは俺に甘いからちゃんと要望は言ってくれるらしいけど、期待をしないように言われてしまった。
でもとりあえず色々試してみよう。
どんなふうにしたら戦いやすくなるだろうか。それをずっと俺は思考し続けた。
少しだけ破損してしまったうさ耳の防具をつけて、必死に木の棒を振るう。体力は少しずつついてきたと思う。木の棒だけど大分、扱いが上手くなってきたからもう少し大きくなったら剣を振るう事も上手く出来るようになると思う。
やっぱり問題点は、耳なんだよな。
防具を外して耳を触ると、硬さはあるけれどもやわらかい。というか、もふもふ。やばい、自分の耳だけど結構もふもふだ。でもあれだ、あんまり触りすぎると変な気持ちになってきた。……うん、これはちょっと大人になるまで我慢しよう。というか、耳とか家族とか以外触ったらいけないのは納得する。
うさ耳って、やっぱり日本の記憶がある俺としてみれば女性についてこそな気分になってしまう。俺としてみれば父さんや兄さんのように狼耳の方が良かったんだけど。まぁ、うさ耳に生まれ変わったものは仕方がないよな。嘆いても仕方がないのだからうさ耳で戦えるようにもっと頑張らなければ。
本当、異世界転生物とかだと、同じ村の幼馴染が~とかなりそうだけど、いいんだ、ノアレと出会えたから。
どんなふうにするべきか。
うさ耳防具を身に着けて、木の棒を振るったり、うさ耳防具をみにつけたまま走ったりを続けた。でもやっぱり耳が聞こえにくいのは問題だ。
なんだろう、もう少しうまく出来ないかな。しかもこの防具は防具として完璧でもないし。
耳って絶対切られたら痛いし、急所の一つだし。
切られても痛くないようにしたい。
でもそうするためにはどうするべきなのか?
幾ら考えても思いつかない俺であった。