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覚醒

タイトルで盛大なネタバレ

葵が目を開けた。


「夜空君?なんで、どうして?」


葵の目の前に立っていたのは間違いなく蒼嶺夜空だった。


「貴様。人間ではなかったのか。心臓を貫いてもまだ死なないとは。」


うめく水龍に夜空は接近。

蹴り飛ばして葵の目の前まで飛ばした。


「くッ。さっきより明らかにキレが増している。一体どうなんているんだ。」


そういって夜空を見る。その時水龍は目を疑った。


今夜空が放っているのは真っ黒なオーラ。

眼は紅くなって、

手には黒い靄が集まったかのような形が定まっていない剣。


「そんな『貴方様』はあの。そんなバカな。貴方様は数百年前から、消息を絶って居られたはずです。」

「..........」


水龍が狼狽を隠せない中、夜空はゆっくりと近づき手の剣を振り下ろした。


「夜空君ストップ!」


突如かけられた声で水龍の目の前で剣は止まった。


「夜空君。私たちの目的は河童の討伐でしょ?水龍の討伐じゃないよ?」


葵がそういうと夜空はコクンと頷いて急にばたりと倒れた。


「夜空君!」


葵が安地から飛び出して夜空に駆け寄る。

慌てて抱き起して分かった。


ちゃんと生きている。


心臓動いているのが分かった。


「なんのつもりだ小娘。」

「なにがです?」

「なぜ、我を助けた。我は貴様らを殺そうとしたんだぞ。」


「確かにそうかもしれません。でも、私達はここにあなたとは別のクエストで来ています。貴方を殺すひつようがないなら、殺しません。」

「それよりあなたこそいいんですか?今彼は寝てしまって動けるのは私だけです。殺すなら今ですよ?」


ここまで流暢にしゃべっているようで内心はものすごく怖い。

水龍がそれもそうかとい攻撃してきたら何もできずに死ぬしかない。


「我とて『あの方』に歯向かうほど命知らずではない。よって、我は退かせてもらう。」

「最後に一つだけ。」

「?」

「その男の扱いには気をつけよ。下手をすれば、国が一つ消えることとなる。」


最後に物騒なことを言って水龍は湖に飛び込んだ。





時は少し遡る。


(ここはどこだ?)


おれは暗く上下もわからない空間にいた。


『そなたが≪素質を持つ者≫か。意外と普通じゃな。」

(だれだ!どこにいる!)

「ここじゃ。()()()()


現れたのは身長が150㎝あるかどうかのロリッ子だった。


「お前は誰だ。そしてここはどこだ。今はどういう状況だ。」


「そう急ぐでない。ゆっくりと話すとしよう。」

「まず、妾の名はヘルム。数千年前に暴れた魔族よ。」

「そして二つ目。ここは妾の世界。精神世界とでも言って置こう。」

「最後に三つ目。状況はマスターが水龍ごときに殺されて妾が起きた。」


こんなロリッ子が魔族?暴れた?精神世界?

あーそういうことね。


「説明どうも。全くわからん。もっと具体的な説明をしてくれ。」

「まぁ、ただ、マスターが死んだから妾が起きた。今からマスターを生き返らせる。」

「そんなこと出来んのかよ!」

「あくまで心臓を修復するだけだ受けたダメージはそののままだがな。

それでも、もの凄くありがたい。


「あと、妾の力を少し貸そう。しかし、常に集中せよ。しっかり理性を保たねば国が亡ぶぞ。」

「なんちゅう恐ろしいもん貸そうとしてんだ!」

「いらぬか?」

「貸してください」

「それでよい。マスターには守るべき者がいる。しっかりな。」



その言葉を最後にヘルムの姿は見えなくなっておれは現世に戻った。


最初に目に見えたのは空。

少し視線を動かすと水龍が葵に攻撃しているところだった。


早くいかなきゃ。


慣れない剣を振り回して疲労困憊だった体も今は軽い。

その代わりに体の中から何かがはい出てくる感覚を覚えた。


それをこらえて葵の元へ急ぐ。

水龍を背後から奇襲する。


こちらの存在に気付いた水龍が防御に移る。


葵の周りを見ると無数の切り刻まれた跡があった。

それでも、葵は無傷だった。


安全地帯(セーフティーゾーン)≫おそるべし。


「夜空君?なんで、どうして?」


葵がものすごい驚いている。


まぁ、死んだはずの人間が生き返ったらそうなるわな。

おれもびっくりだもん。


っとそれより水龍をどうにかしないとな。


水龍のもとへ迫って来た方向に蹴り飛ばす。


ふと、手に違和感を感じた。見ると剣を黒い靄がまとっていた。


これが、ヘルムが言ってた能力か。そこまで強力そうじゃないな。

おれは取り敢えず水龍を片付けることにした。


「夜空君ストップ!」


葵の声におもわず手を止めた。

「夜空君。私たちの目的は河童の討伐でしょ?水龍の討伐じゃないよ?」

それもそうだ。そう思うときが遠くなった。


おれの意識はそのまま深い闇に落ちていった。




再び目を覚ました時には体から這い出てくる感覚は消えていておれの頭はなにか柔らかいものの上にのっていた。


当たりを見ると葵が木に寄りかかりながら寝ていた。

しっかりと安地はまだ顕在だ。


自分の心臓部を見てみると穴が塞がったような跡がある。

どうやら夢ではないようだ。


「ヘルム。聞こえるか。」

『一応聞こえるぞ。しかし、街の中では声をかけない方がいい。』

「なんで?」

『マスターは街行く人から冷ややかな目線を浴びたいのか?』

「よし。気を付けよう。」

「じゃなくて。おれの体はどうなったんだ?」

『見ての通り生き返ったであろう?』

「それぐらいわかる。能力的とかヘルムが起きたことによって何かあるとか。」

『能力は自分で見ればよかろう。そもそも、妾がおきたからどうなったかなど妾もわからない。」

「そこはわかっとけよ。」


ものすごいデバフとかついてたらどうすんだよ。


蒼嶺夜空。

Lv50

スキル[剣術]、[体術]、[索敵]、[隠密]、[根性]、[魔力自動回復]、[体力自動回復]、[魔法耐性]、[魔法適性]、[魔法吸収]、[覇気]、[覚醒]

能力≪神眼≫、≪魔神化≫、≪不死≫、≪破滅≫、≪???≫、≪???≫、≪???≫、≪???≫、≪???≫


「はぁぁぁぁ!なんだこれ!なんか見たことないスキルもあるし能力欄もチートだし。なんだよ不死て。それだけで十分チートだよ。」

『ふむ。妾の能力とスキルがすこし継承されたか。』

「え?これで少しなの?」

『もちろんだ。まぁ、一番めんどくさいのが継承されているがな。』

「どれだ?」

『この破滅だ。』

「確かに名前からしてアウトだよな。」

『これは名前の通り人類を破滅に導くスキルだ。スキルは任意発動だから大丈夫だとは思うがな。』

「そんなスキルは捨てとけ」

『すまないな。完全に忘れていた。まあ、鉄の理性で耐えてくれ。後ろで寝ている女にも手を出さなかったんだ心配はいらない。』


この様子だとこの世界に来てからずっと見られてるな。

あの時のおれ。グッチョブ!



さて、おれのチートが確定したところでこれからどうするかな。

葵が起きるのを待つか。


「夜空君?」


あ、起きた。


「おう。よく寝れたか?」

「うん。ちょっと寝すぎちゃったかな。........じゃなくて!夜空君が生きてる。ちゃんと生きてる。」


葵はおれに抱き着いた。

『ほう。マスターも隅に置けませんな。』


ヘルムがからかうがおれ的にはそれどころではない。


葵の女の子な部分がもろにあたっている。

正確に言うと胸がおれの胸に押しつぶされてムニュっと形を変えている。


「心配かけてごめん。」

「もう!なんであんな無茶するの!」

「いや、だって。水龍が」


「言い訳は聞きません。もうあんな無茶しないで。お願い。」

「わかった。もうあんな無茶はしない。」


おれも葵をギュッと抱きしめた。


どれくらい抱き合っていただろうか。

後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。


「夜空大丈夫?あ、ごめんなさい。邪魔しちゃった?」


木の陰から蓮華が顔をのぞかせた。


「いや、全然。それとおれは大丈夫だ。........いつまでこのままなの?」

「もう少し」


蓮華が来たのにも関わらず葵はおれから離れようとはしない。

ま、それくらい心配かけてるからおれからはなに言えない。


「すまん蓮華。この状態で悪いが説明するよ。」


おれがはなした点は三つ


・湖の水龍と戦ったこと

・そこでおれは負けたこと。

・おれが生き返ったこと。


ヘルムのことはおれ自身わかっていない。

だから、説明はもう少し後にすることにした。


「そんなことがあったなんて力になれなくてごめんなさい。」

「蓮華が謝ることない。おれが売られた喧嘩を買って負けただけだから。」


「なるほど。それで葵がこんな状態なのね。」

「うん、まぁ、そういうことだ。」

「私の方も収穫があったわよ。」

「この世界は元々神族と魔族がいて今から約1000年くらい前に聖戦と呼ばれる争いを起こしているの。そこで魔族を裏切った()()以外の魔族はこの大陸のどこかに封印されているらしいわ。」


なるほど。これで一つつながった。


1000年前に魔族を裏切ったのはヘルムだということ。

『だれが、少年じゃ!妾は女じゃ!』

『いや、だってお前女に見えないじゃん。その服?着てればわかるけど体のラインが分からないもの着てたらわからないよ。お前胸ないし。』

『なん...じゃと』


容姿ついて言われたのがそんなにショックだったのだろうかヘルムはそれから黙ってしまった。


「あとはこの大陸についてね。今いるのがエルドア王国、ここから北東に行ったところにあるのがへクス帝国、ここから北西は法国ね。」

「今は王国と帝国は停戦状態だけどあくまで停戦だからいつ再戦するかわからないの。法国は完全に戦争放棄主義。法国の場合中立だから安全といえば安全だけど何か罪を犯したら王国では軽くても法国では死罪になるかもしれないからそのへんは要注意といったところね。」


「おおきな国はそれだけか?」

「そうね、他はどれかの属国ね。あ、でも、大陸の真ん中は三国は手は出せないみたい。」

「なんで?」

「大陸の真ん中は森になっていてその森の真ん中はエルフが住んでいると言われているわ。でそのエルフが住んでいる場所までは高ランクモンスターがいて今の最高ランク冒険者でも突破は無理らしいわ。」

「それこそ、封印された魔族でも使わない限り無理でしょうね。」


「そ、そうか。それは無理だな。」


だって、一人はここにいるし。


「私からは以上ね。それと葵はいつまで抱き着いているつもり?」


あ、今そういう状況だったわ。


蓮華の話に夢中になってた。


「あ。ごめんなさい。」

「いいよ。心配かけたのは俺だし。」


おれは自然に葵の頭を撫でた。

猫みたいに目を細める葵。


可愛い。


「さて、帰るか。」

「うん。もうクタクタだよ。」

「そうね、でも帰ったら。ギルドで質問攻めかもよ?水龍はギルドからでも見えたでしょうし。」


あー今から気が重い。


重い足を引きずりながらギルドに帰った。

厨二病感が凄い。

身内には見せられないですね

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