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プロポーズ
「結婚しよう」
4年来の付き合いである彼氏から、 そうアプローチを受けたのは12月の頭だった。
「あの、えっと、有り難うございます」
急なプロポーズに当惑してしまった私は蒟蒻問答。ほら、 プロポーズなんていうものは、恐らくは人生で一度きりの、 言わば結び切りで祝福されるようなレアな出来事じゃん?
本当に私でいいの?親御さんに相談はしたの? 22歳で結婚なんて早すぎない? 私の脳裏で色々な思いが走馬灯のように浮かぶ。
「ごめん、イブまで時間をくれないかな。親にも相談したいし」
「そうか。分かった」
そういった思いや、面映ゆい気持ちに耐えきれなくなって、 如何にもそれらしい言い訳を添えて、 返答を先延ばしにしてしまった。
そして、その色々な思いが脳裏を駆けめぐった際に、 私はある高校時代の出来事を思い出したのだった。