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「あっああ、いくらだ?」
「こちらは乗車券ですので、お支払いは降りられた所でお願いします」
「そうか。ところでどこから乗ればいいんだ?」
「こちらです。ご案内いたしますので、ついてきてください」
わたしが歩き出すと、男性も歩き出した。
そして数分も経たない内に、細い階段の前に来た。
「こちらを降りられると、目的の場所まで行けますよ」
「あっああ…」
いまいち納得して無さそうな顔で、男性は降りて行った。
…あの切符は、先程の老女が持っていた切符とは種類が違う。
でも男性は自ら電車に乗ることを決めた。
「ちゃんと説明を求めればいいのにね」
小さくなっていく男性の背中を見ながら、わたしは呟いた。
さて…、まだ迷子がいるみたいだ。
わたしは踵を返し、感覚に引っ掛かる所を目指して歩き出した。
しかもコレは…ちょっと厄介だ。
深くため息をつき、肩を鳴らした。
少し気合を入れていかなきゃ。