ロリコンじゃない!
俺には彼女がいる。
中学生での彼女持ちという、人によってはうらやましいといわれる立場の人間だ。
俺らには重大な問題がある。
俺は中学1年生、あいつは小学5年生。
たった・・・たったの二歳差!
なのに、
「なんでロリコンって言われなきゃいけないんだあ!」
時はさかのぼり、その前日。
久々の彼女とのデートで俺は浮かれていた。
中学校と小学校が同時にはや上がりだったことにより、久々のデートが実現できたのだ。
そして、現在はカフェでのんびりしている。
「奏人とのお出かけってひさしぶりだねー」
隣で特大パフェを食べている少女。
幼げはあるもののととのった顔立ちをし、ショートヘアーで小学生特有の体つきをしている俺の彼女、神流千空が言った。
千空とは俺が小学6年生の時に付き合った。
多少の年の差はあるが話も合うし、普通に楽しいなと思っていた。
しかし、中学校に行ってから話は変わってしまった。
それは中学校に入りたての頃。
中学校でできた新しい友達から、
「彼女いるんだろー何組の女子だよー」
とふざけ半分で聞かれた。
そこでなぜ彼女がいることを知っているのだろうかとか、いろいろ気になることはあったが、俺はいたって普通に
「いや、二つ下、彼女小5だけど」
という返答を返してしまった。
その日から、あだ名がロリコンになってしまったのだ。
その後の一週間、いじめ、と言うほどではなかったものの一部でふざけて呼ばれ、担任から呼び出しがかかりロリコン呼ばれているがなにか不純な関係の人がいるのかなどと職員室で問いただされたり他にも色々ちょっとした災難なことにあった。
その一週間後担任に呼び出されたときに言った、彼女とかウソですよ、ちょっと見えはりたかっただけで!という苦しい言い訳がクラスにも流れ、不名誉なあだなを取り消した。
そこから、千空と付き合ってるのを秘密にすることに決めた。
しかし、心配をかけると悪いので内緒にしてることは千空には秘密だ。
千空にも秘密にし、俺は秘密にするためにいろいろなことをおこなった。
会う日はだいたいの中学生が部活の日にし、会う場所も中学生に人気がない所に変えた。
本当は自転車でもっと遠い所に行きたいのだが小学生の千空は中学生の俺と違って体力があまりない。
一度誘って行ったことがあるが元からインドア系でもある千空の体力はすぐにつき、最終的には千空をおんぶして帰ったということがあったので遠出は選択肢から除外された。
しかし、中学生に人気がないところと言ってもまったくもって中学生が来ないわけではない。
なので、千空を呼ぶ前に店にいき、中学生がいないことを確認してから来てという。
しかし、あまり中学生がいないということはなく、だいたいは何か理由をつけてドタキャンする。
…まぁ、そのたびに千空の機嫌はわるくなるが。
なので今日は初めに言った通り貴重なデートなのだ。
先ほどまで服屋により千空に似合う服を一緒に選んだり、お菓子を買ったりして今までは順調だ。それも当然、今日は俺の入っている部活以外はほとんど夜に練習があるからだ。
今日は何も気にせずデートできたなと、今日の思い出を振り返っていると
「あれ、奏人じゃん」
別のテーブルから聞きなれた友達の声が聞こえた。
俺の心の中に衝撃が走る。
いや、きっと気のせいだほとんどの部活が夜に練習あるから仮眠するって
そう思いながらダラダラと冷や汗をかく。
「おーいシカトすんなーあれ、隣に小学せ」
「千空、この店から出ようか今すぐにマッハで」
友達の言葉が言い終わる前に千空に外に出るようにうながす。
しかしとうの千空は、どうしよう一層目でもう限界、食べきらなきゃいけないのに…などとつぶやいている。
どうやら気付いていないらしい。
そういえば千空は小食なのに今日はよく食うなとぼんやり思いだしながらいやいやそんな場合じゃないと今の状況を思い出す。
もういちど声をかけようとした時
「奏人ー無視すんなってーの」
いかにもチャラ男のような雰囲気を漂わせている男が近寄ってきた。
そう、先ほどまで少し遠いテーブルにいた俺の友達、寺内翼だ。
俺が最も今会いたくな人物。
翼は俺の友達であり、学年一おしゃべりと言われているやつだ。
きっと、このことがばれると翼は言いふらすにきまっている。
ああ、中学生生活終わったな、やべちょっと涙出る。
中学校生活の終わりを確信しかけたその時だった。
翼がパフェを見つめている千空を凝視し、頭にはてなマークを浮かべ
「この子なに、奏人の妹?」
と聞いてきたのだ。
妹…そうだそうごまかせば
俺は心の中で気合を入れ、そうだよと言おうとする。しかし
「私は奏人の彼女だけど」
さきほどまで特大パフェと格闘をしていた千空が口を開いた。
やばい、しかし俺はあきらめない!
幸い翼はいまだ頭にはてなマークを浮かべたままだった。
「あ、遊びでカップルごっこしてたんだよな、千空!」
できるだけ明るくふるまい、顔でうんと言ってくれという合図を送りながら言う。
すると、千空は俺の合図に気付いたのか軽くうなずき
「私とは遊びだったの!?」
と迫真の演技をした。
さすがに小学生特有のあどけなさは残るが一応うまい演技だった。
そう、何も知らない翼が信じるくらいには
「え、奏人そういうやつだったの」
翼が疑惑の目で俺を見る。
「ち、ちがう誤解だ、いやもう本当に妹で」
必死の弁解。もうロリコンよりひどい評価をされてる気がする。
「奏人、ずっと友達だからな。」
なんでだろう今言われなかったらすごくうれしいのに今言われてもちっとも
うれしくない。
ああ、もう本当のことを言うか
「実は、こいつは妹じゃなくて」
「実はいままで遊びだった二人目のかのうぬあひゃっこい」
するとまたしても迫真の演技をくりだしてこようとする千空がいたのでとりあえずほっぺに水のコップをくっつけて黙らせ、説明を再開する。
「千空は水飲んでて、いや本当に妹じゃなく彼女なんだ。れっきとした、遊びじゃない、彼女」
一言一言語尾を強めて主張する。
すると千空はどこからかもってきたストローで水を飲んでた、カレカノごっこおわり?というふうに呟いていた千空のカレカノの認識を心配しながらも、翼の顔を確認する
すると翼はにやにやしていた。
俺なんかやらかしたか。
「よくそんなはずいセリフ真顔で言えたな」
はずいセリフっていうと…そんなこと言ったか?
よくみると千空も顔が少し赤く、ストローでコップの水をぶくぶくしていた。
俺はいままで言った言葉を振り返ってみる。
れっきとした、遊びじゃない、彼女
あ、やばいこの発言結構恥かしい。
今更ながら気づいて顔が赤くなってと、翼が何やらメールを打っている。
嫌な予感しかしなかったので俺は翼の携帯の画面をのぞいた
『スクープ!奏人が小学生とマジで付き合ってた!』
俺は笑顔で翼の携帯の電源を切るボタンを連打した。
「おい!何すんだ!」
喫茶店なので翼が少し声が小さめな絶叫をした。
「何勝手に拡散しようとしてんだよ!」
こんなの拡散されたら本当にやばい中学校生活終わる。
阻止できてよかったとホッとする。
すると翼はため息をつき話し始めた
「まあ、あれだ変な付き合い方してるかと思ったから安心したよ、ロリコンだったけど」
おお、いい友達っぽいことってなんか最後のほうにいやな言葉が聞こえた気がしたんだが勘違いか。
「あ、ロリコンだってことは拡散していい?」
勘違いじゃなかった!しかも一番やられたくないことをされそうになってた。
俺は全力でやめろといいとめるがそれをするりとぬけて笑いながらメールを打つ良太。
すると半分空気になっていた千空が俺の袖をひっぱり口を開いた。
「奏人、私もう帰らなきゃ」
そう千空に促され、時計を見る。
現在の時間は午後5時、中学生としてはまだ余裕があるが小学5年生にしてはちょっと遅めの時間だ。
千空が帰る準備をする。
そんな様子を見ながらせっかくの久々のデートだったのに最後らへんあんまりしゃべれなかったなと後悔する。
「ごめん送ってく」
あわてて俺も帰る準備をすると千空が良太に向かってとことこと歩いていき口を開く。
「私達は変な付き合いしてないよ。あとあんまり奏人をいじめないでください。」
そういうと特大パフェの代金を払いに歩いていった。
すると翼は少し驚き
「なんだあんなこと言われたらメールで拡散できねぇじゃん」
と言いつつ携帯をしまう。
よかった、とりあえず最悪の事態は千空によってまぬがれた。ありがとう千空。
彼女に人生最大であろう感謝をし、帰る支度をしていると。
千空がこっちに申し訳なさそうに歩いてきた。
「特大パフェのお金…なかった」
千空がじゃらじゃらと10円玉だけを手に乗せて言う。
服やお菓子を買ったせいでお金がなくなったか。
俺も確かあんまりお金ないんだよなー
「わかった。何円?」
財布を取り出しながら千空に聞く。
やばい俺も500円くらいしかない。
「1000円」
千空がホッとした様子でつぶやく。
は、今何て言った1000円!?そんなお金持ってねえよ!
あの特大パフェってそんな高かったか!?
すると翼が指をさし
「あれ、その特大パフェってあれか?あれなら全部食いきると500円って書いてあるぞ」
翼が指をさした先には『特大パフェ!1200円のところ500円!』と書いてあった。
それを見た瞬間。さっと千空はそっぽを向き。
千空は俺と目を合わせなくなった。
そういえば千空は俺が翼に目を付けられた時食べきらなきゃいけないのにとかつぶやいてたな。
…これのことか。
そして特大パフェを見る。
特大パフェは千空の必死の格闘により一層目は食べきれてはいるがまだその3倍はある。
甘党の千空が頑張ってこれだ。
俺は昔から甘いのが苦手なのだ。
しかし残された道はこれを食うしかない。
さすがの俺でも全部食べる自信はない。
ちらっと翼をみる。
「急に用事を思い出した、か、かえらなきゃー」
すると翼が何かを察したのか下手な演技で帰ろうとする。
しかしそんな翼のかたを笑顔でつかみ。
「翼、デザートおごってやろう。」
「いやいやいや、おごってもらうというかそれ完全残飯処理係じゃね!?」
翼が間髪いれず突っ込む。
俺はわざとらしくため息をつき、
「女の子が困ってるんだぜ?助けろよ」
「助けろよー」
すると千空も声をかぶせてきた。
「卑怯だ!だいたいそれ食うと間接キスとやらになるだろ!?彼氏として止めろよ!」
翼がなんかぎゃーぎゃー言っている。間接キスとか今そんなこと言ってる場合じゃない。
すると千空が良太の腕をつかみ、上目使いで
「食べてくれないの…?」
すると翼はうぐっとあからさまに断れない状況に戸惑いそして
「わかったよ!食うよ!こんなん30分で食い終わる!」
といい特大パフェに半ばやけくそでがっつく。
すると千空がこっちを見てやったぜという顔をした。末恐ろしい。
さて俺も食い始めよう。
こうして翼の活躍により食べきったが、食べきった時にはもう6時になっていた。
「はぁ」
俺はため息をついていた。
昨日千空と付き合っていることがよりにもよって翼に知られてしまい、一応口止めはしたが喋られていない確証はない。
小学生の千空を6時までかえさなかったことにより千空の親に怒られ、まあ簡単に言うと災難な一日だったのだ。
そんな日の次の日だ、ため息をつくのだっておかしくはないはずだ。
「はぁ」
本日二度目のため息をつき憂鬱ながらも教室のドアの前に立つ。
中ではガヤガヤと話声が聞こえてくる。いつものことなのだが異様な緊張をあおる。
緊張により震えた手でドアに手をかける。
ガラッ
「お、おはよう」
入った瞬間教室の中を見渡す。とくに俺のほうに注目している様子はない。
翼が黙ってくれたのだ。
緊張がほぐれる。もうこれで今日の体力半分以上使った気分だ。
俺は安心して席に着く。お、今日も早上がりか。帰ったら千空に電話して昨日のお詫びに遊びに誘おう。いやー楽しみだなー。
「奏人ー今日はや上がりじゃん一緒遊び行こうぜー!」
遊びに行けるとわくわくしてる中、翼の声が隣から聞こえてきた。
「うわっ」
翼は俺の隣の席の女子のイスに無断で座っている。
しかも遊びに?冗談じゃない。こっちは昨日の仕切り直しを考えているっていうのに。
「どーせまた千空ちゃんでも誘おうとしてたんだろ」
うぐっこいつ超能力者かなんかか。
「いやーまあいいんだぜ?別にお前が行かなくてもお前と千空ちゃんが付き合ってるってことがばれるだけだし?」
「全力で行かせてもらいます」
即答した。自分でも見事だと思うほどすぱっと即答した。
ばれるのはまずい。今翼に黙ってもらってるのだって奇跡に近いくらいだというのに。
「じゃあ、今日の2時集合な!場所は――」
止めても無駄だな。…考えてみれば千空以外と遊びに行くのって小学生以来だ。
…楽しみだな。
俺と千空のことはばれてしまったが、まあ結果オーライってやつかな。
そして俺は翼とともに今日の予定を立て、楽しい時間を過ごした。
息抜きとして描いてる小説です。
長かったのに読んでくださりありがとうございました!
まだまだ続くので引き続きよろしくお願いします。