説明会
「じゃあ、説明して」
昼休み、広目さんが目を輝かせてそう言ってきた。
こんな顔もするのかと思いつつ、
「広目さんにとって、面白いとは限らないけど――」
「それでもいいから」
やんわりと断ろうとしたが、無駄だった。
……仕方ない。少々面倒だが始めますか。
「んじゃまず、俺が『普通』だということは薄々感じているな?」
「そんな気がするような‥‥……するかも」
まだ2日目なのに既に確定してるのか……。
「……では次に、『普通』という言葉にどんなイメージを持つ?」
「あのー、話のつながりがわからないんだけど」
「まぁまぁ、とりあえず言ってみて」
「えーと、平均的だとか、個性がないとか、可も不可もないだとか?」
なぜか胸が痛い。気のせいだな、きっと。
「そんな感じだな。他にもう少しないか?」
「うーんと、何人かいないと成り立たない言葉だってこととか?」
「うん、それでいい。つまり、『普通』という言葉は集団があってこそ成り立つ」
「えーと、多分わかった‥‥かな」
わかってもらって助かる。
「だから、その集団によって『普通』というのはバラバラだ」
「うーん、そうだけど、けっこう当たり前じゃない?それが何か関係あるの?」
誰もがそう思うよな。けど、
「……もし、そのすべての『普通』に該当する人物がいたら?」
「とっても目立たないんだろうなーって思うけど」
とっても素直な感想ですねっ!
「まぁでも、そんなのありえないでしょ?」
「確かにそうだ。けど、該当してしまう人がいたりするんだよな……」
「……真平くん、かな?」
まったく、なんでこんなふうに生まれたのか……。
「……ご名答。俺、甲府真平、だな」
小難しいですね……。
一応あとで解説が入りますが、わからなくても読めると思います。




