闇と光
2章スタート。
完結出来る気がしない……。
――時は戻って入学式の日
「やっぱり憂鬱……」
私は暗い気持ちで校長先生の話を聞いていた。
今度こそ、仲の良い友達が出来るといいな……。
そんな淡い期待と、
でも、またいじめられたらどうしよう……。
そんな過去のトラウマを背負って。
教室に向かって廊下を歩いているときも、下を向いてばかりいた。
……どうしても、他の人の顔を見ることが出来ない。
そんな自分に嫌気が差していた。
「私、やっぱりここにいちゃダメ、なのかな……?」
言葉にすると、さらに自分を嫌いになりそうだった。
教室に着いて、自分の席に座った。
机の右上に、「1-2 No.33 反目才華」と書かれた細い紙が置いてある。
この机に1年間座れるのだろうか……。
つい、中学生のときを思い出してしまう。
「ダメだよね。昔は昔、今は今……だよね……」
そうは言うものの、やはり不安は拭えない。
十数分して、1人1人自己紹介をしていった。
当然私も。
「広目才華です。主に理科や社会が得意です。今は、六法全書を暗記しようとしています。これからよろしくお願いします」
言い終わってすぐに、後悔した。
しばらくの間、人前で話していなかったせいで、余計なことを言ってしまった。
あぁ、またこれでクラスで浮いちゃったらどうしよう…………。
もう、それ以外は何も考えられなかった。
休憩時間になっても、私は机から離れなかった。
下手に動いて何か起こしたら……。
そう考えると離れられなかったのだ。
私は、クラス全員の自己紹介を思い出していた。
みんないろんな中学校を出て、いろんな個性を持っていた。
それじゃ私は……。
――突然、だった。
「広目さんだったっけ?何か特技とかってあるの?」
1人の男子が私の席の近くにいた。
「真平くんだね。どうして?」
驚きながらも、なんとか返すことが出来た。
けど、少し不自然な感じになってしまった……。
こんな機会、めったにないというのに、私は……。
真平くんは私のことなんか気にしていないのか、話を続ける。
「六法全書覚えようとする人なんて、初めて聞いたからさ。何か特別なことでもやってるのかと思って」
やっぱりみんな聞いてたよね……。はぁ……。
適当にお茶を濁すことにした。
「ううん、別に普通だよ。なんか覚えてみようかなーって、ちょっと思っただけ」
そう言って、真平くんの方を向く。
真平くんは、よくある感じの男子だった。
言葉にはしづらいが、そんな感じなのだ。
こんな人と仲良くなれたら、私も変われるのかな……。
そんな風に思う。
そのためには何か話さなくちゃ……。何か……、何か……。
そういえば……、
「そういや、真平くんってさ、すごくあたりさわりのない自己紹介だったよね。『普通』って感じ?」
真平くんは自己紹介まで普通だったのだ。本当に雛形というか、お手本というか。
そう考えたところで、何か違和感を感じた。
あれ、本当にそうだっただろうか……?
「でも…」
「でも?」
「なんか他の人とは違う感じがしたなー。私だけかもしれないけど」
気づいたら口に出してしまっていた。
やってしまった……。
何回余計なことを言えば気が済むのよ、私……。
……あぁ、なんとかして誤魔化さなきゃ。
「あ、でも自分で言ってなんだけど、『普通』なのに『違う』っておかしいよね。まぁ、独り言だとでも思って」
無理やり話を終わらせたのだった。
……その日の夜、私はほとんど寝られなかった。
1章の方もまだまだ拙いですが、少しづつ良い物に近づけたらいいな、と思います。




