入学式の後
不定期更新です。あしからず。
「やっと終わった……」
入学式というものはどうも退屈だ。
あんなに似た内容の話を、複数の人物がすることに意義はあるのだろうか。
あるとすれば、語彙の拡張くらいだな、うん。
そんなことを考えながら俺は、団体に紛れ教室に向かっていた。
数十分経ち、俺たちは恒例行事、自己紹介をしていた。
ここまで軽く聞いたところ、目立った奴はいないようだ。
当然といえば当然なんだけれども。
こんな普通の高校にそんな奴が入るとは思えないしな。
やっぱり、またここでも『普通』の生活を送るんだろうな。そう思ったとき――、
「広目才華です。主に理科や社会が得意です。今は、六法全書を暗記しようとしています。これからよろしくお願いします」
セミロングの後ろ髪が揺れていた。
思わずその髪に見惚れいていたが、確実にそれより大事なことを言っていた。
六法全書覚える……って。いやいや無理でしょう……?
でも、こういうことを言うってことは、何かが違う奴なんだろうな……。
――話しかけてみようかな?
ふと、そんな考えがよぎる。
しかし、女子だぞ……。
俺に話しかけることなんか出来るのだろうか。
女子とまともに話したことのない俺に……出来るのだろうか。
当たって砕けるのもありだね。いや、ないな。
……俺、初日から何やってんだろ。
グダグダしてても時間の無駄か。仕方ない、行ってみるか!
「広目さんだったっけ?何か特技とかってあるの?」
奇跡的に次の休憩時間で言うことができた。すごいぞ俺。
女子に自分から話しかけたのなんていつ以来だったか……。
声が引きつっている気がする。
――悪い印象与えてないよね……。大丈夫かな……?
もう、その場を逃げ出そうかと何回も考えた。
そんな俺の思いとは裏腹に、彼女は軽く言葉を返してきた。
「真平くんだね。どうして?」
名前を呼ばれたので、一瞬ドキッとした。
あの短い自己紹介で覚えられるはずが……。
あ、そんなことより会話を続けないとだめじゃん。
「六法全書覚えようとする人なんて、初めて聞いたからさ。何か特別なことでもやってるのかと思って」
ほんっと緊張するんだけどこれ。
「ううん、別に普通だよ。なんか覚えてみようかなーって、ちょっと思っただけ」
普通の人は、覚えようとはしないと思うのだが…。心の中でそう思っていると、
「そういや、真平くんってさ、すごくあたりさわりのない自己紹介だったよね。『普通』って感じ?」
『普通』か。やっぱりそれを言われるか。仕方ないけど――
「でも…」
「でも?」
「なんか他の人とは違う感じがしたなー。私だけかもしれないけど」
一瞬意味がわからなかった。
『違う』?俺が?
すると、少し考えた様子で
「あ、でも自分で言ってなんだけど、『普通』なのに『違う』っておかしいよね。まぁ、独り言だとでも思って」
と、そう言ってきた。
まさかこれを書き直す日が来るとは……。
こんな感じで少しづつ直していけたらいいな……。
まだまだ終わらせたくはないんで頑張ります。




