男子高生、純な恋
僕は高校2年生になった。今まで彼女がいたことはない。
でも女の子と話せないわけでもなく、告白されたことは何度かある。でも自分の興味のある人ではなく、中途半端に付き合うというのが嫌いなので断ってきた。
彼女がいたことないと言うと義務的に驚かれる。中にはもったいない!という人もいるが、そういう人に限って僕の事には興味が無いのだ。
最近好きな人が出来ていない。高校生になってからうちの学校の女の子のノリにどうも合わないらしい。男とはバッチリなのだが…
学年が一つ上がるとクラスが変わる。2年生になってクラス替えがあり、男も女も変わった。
珍しくふと、女の子が目に留まった。その子は飛び抜けてかわいい訳ではないが、かわいい。どちらかと言えば綺麗かも…その子は1年ではクラスが違かったが、その子と同じクラスの男から話は聞いていた。その時は興味が無かったが、どうしてか気になった。
その時はあの子か〜…ぐらいにしか思わなかった。
でもその子の名前が話に出るといつもより興味を持っている自分がいた。知らずにその子の名前に敏感になっていた。
でもこの時は自分では意識なんかしていないと思っていた、と言うよりは意識しないようしようとなっていたんだと今は思う。
その内夜が寂しくなった。なにか心に足りないように感じた。
昼、学校でその子に会うと自然と笑顔になっている自分がいた。顔を直しても心は勝手にはずんだ。
休日が嫌になった。会えなくなるから、話が出来なくなるからだ。金曜日は帰るのが惜しかった。
ある日気づいた。僕はその子が好き?しばらく人を好きになることを忘れていたから気づかなかったのか…でもわかった、僕はその子が好き。一目惚れなんてするとは思わなかった。
自覚したことでなにかスッキリしたが、恋に苦しむ事になった。夜が一番辛い。好きな子のことばかり考えてしまい苦しくなるだけ。
朝その子に挨拶出来たならその日はいい一日になる。朝からテンションはあがる。挨拶出来ないとテンションの加速は弱い。一日沈んだまま過ごすこともある。
恋は苦労する。話すときは楽しい話を、聞くときはしっかり相槌をうちながら。色々大変だが、一番悩むのはメール。
なんて送ればいいのか、なんて送れば返事が来るのか、なんて送れば好印象になるのか、メールが遅いと嫌に思われないか、冷静に考えられなくなる。
今度遊びに誘ってみようか…考えただけで緊張する。嫌な態度取られないか、軽く流されたらどうしよう、胸を締め付ける。誘っても話す話題が…不安が積もってのしかかる。いつも勢いの僕が後ろ向きになる。常に前向いて勢いだ!こうなるのが難しい。
恋というのは変な不安を積み上げて、自分で勝手に振り回されてるものだと笑った。でもその子が好き。これだけは不安は無い。
まん丸な月が恋に悩む僕を照らす。心の準備は出来た。だが心臓は暴走する機関車のように言葉を発した瞬間に口から出そうだ。この機関車を静めるように唾を飲み込む。
伝えるときは今だ。僕と同じ公園のベンチに座り、僕の横にいる、僕の心を締め付ける元になったその子。
音になるかわからなかったけど、僕は喋った。
「好きだ。」