■九話
皆さん明けましておめでとうございます。
新年明けてからの初めての投稿ですね。
今年の祭日や来年の元日は何か企画ができたらいいなと思っております。
至らない点は多々ありますが、今年もよろしくお願いします。
僕は子供の頃から、ちょくちょく女の子に間違えられた。
母親譲りのやわらかな顔の輪郭に、マッチ棒が乗るくらいの長さの睫毛。
どれだけ工夫しようが苦労しようが、ショートヘアにしか見えない癖のある髪。
日焼けをしない体質らしく、どれ程日に当たろうとも一時的に皮膚が赤くなるだけで、すぐ元に戻ってしまう。
これだけ聞くと、どう見ても女です本当に(ry)だが、それでも丸っきり女顔というわけではないのだ。
成長するにつれて身長も伸び、今では170cmを軽く越えている。
服だってちゃんと男物を着込んでるし、変声期にスルーされるなんてこともなく普通に地声は女性より低い。
お陰で今は女性に間違われることは格段に減った。
だがしかし。
身内や友人に言わせれば、服装や顔の角度によってはどう見ても女にしか見えない時があるらしい。
お陰様で生涯において、女と間違われて告白された回数、数回。
電車やバスで痴漢にあった回数、数回。
男にナンパされた回数、十数回。
友人に「え、お前男だよね?」と言われた回数、数十回。
他にも、高校時代のクラスメイトには「月見里が女だったら絶対口説いてる」とか言われたり、友人の彼女が痴漢に遭ったとかで無理矢理囮捜査に参加させられたりとか、あとは……
……やめよう。芋弦式にトラウマが……うぇ(泣)。
ともかく、そんなこんなで僕はちょくちょく女性に間違われてきたわけだが、僕は極力気にしないことにしている。
むしろ気にしたくない。いや、気にしたら負けだと思っている。
むしろ働いたら負けだと(ry)
それはともかく。
「大っっ変!!申し訳ございませんでいたああああああああああ!!!!」
再びイケメン君の五体投地タイム。
だからさっきから気にしなくていいって言ってるじゃん!
むしろこっちが気にしたくないって言ってるのに、それすら許してくれないのかお前は!!
これが今時の人の話を聞かない若者か!恐ろしいな!
クリストフは相変わらず床に頭着けたまんまだし、その他の人達も一緒になって頭下げてるし。
てゆうかなんか皆さん小刻みに震えてない?
一応『神』として扱い受けてるとはいえ、なんかこう……うん、凄くいたたまれないんデスケド。
「いやいやいや、だからね?気にしないでいいって言ってるじゃないですか!顔上げてくださいって!お願いですから!気にしてませんから!もういいですから!ほらさっさと顔上げる!むしろ上げろ!いいから顔上げろ!勇者がそんな惨めでいいのか!哀しくないのか!それでお前の使命がまっとうできると思ってるのか!立て!立つんだジョー!!いや、立ってくださいお願いします!!!」
とにかくこの状況を放置したらとんでもないことになりそうなので、思いつくことを片っ端から口に出してなんとか現状を打破しようと試みる。
てゆうか何言ってるんだろうねぇ僕も!
言いながら思わずクリストフの肩を掴んで揺さぶると、彼は真っ青な顔に驚きと畏怖の表情を貼り付けて顔を上げた。
やれやれ、こうも信仰心が強過ぎると厄介なことこの上ないねチクショウ!
てゆうかこれだけ顔面真っ青にしてて、脳貧血とか大丈夫なのか。
「……申し訳……ありません」
今にも死にそうな顔で謝罪を口にするイケメン勇者。
あーもー、いい加減しつこいなこれ。
「いやもう、そうゆうのいいんで……いい加減この惨事をどうにかしてください。状況進まないでしょ。それとも、本格的に見捨てられたいんですか?」
呆れを含ませた声で、脅しをかけてみる。
するとクリストフは、ただでさえ顔色が青いというのに、重ねて激しく動揺する。
……なんか僕、この人心労で殺せそうな気がしてきた。
「そっそんなことは……!申し訳ありません、すぐに王都への準備を!」
慌てて振り返って指示を飛ばすクリストフ。
指示された他の人達は、慌しく、とゆうか一秒でも早くといった感じに片付けやら支度を始めた。
…………やれやれだ。
「あ、そうだ。重ねて悪いけど、何か羽織れる物借りられますか?」
現在の僕の装備。
E 黒のTシャツ
E 黒の短パン
E 眼鏡
以上。ちなみに裸足。
僕が死んだ時、元の世界は六月の頭だったためこの格好で事足りたのだが、ここはだいたい秋ぐらいの気温な上、喚ばれるなり水に濡れる羽目になったため、この格好のままでははっきり言って肌寒い。
とゆうかこの格好は寝間着同然なので、あんまりこのまま人前にいるのは正直はばかられる。
まあ、向こうはそんなのわかんないだろうけどさ。気分的にね。
「! 申し訳ありません!気が回らず」
「いや、だから謝罪はもういいんで。てゆうかそれぐらいで一々怒りませんし」
自分が彼らにとって重要人物(神だけど)だというのは承知しているけど、ここまでくると正直うんざりしてくる。
口を開けば謝罪だし。うちの国のお偉いさんにも少しは見習ってほしいね!
そのうち僕は息をするだけで謝られるようになるんじゃないだろうか。
あ、てゆうか頼まないでモノに貰った能力でなんか出せばよかった。
「何か羽織る物を!」
「は、羽織る物でございますか?」
「何も用意しておりませんが……」
ありゃ、なんか頼んだ物ないっぽい?
まあ丁度いいか、自分出し……って、皆さんの顔がまたもや青ざめていくんですが?
僕はこの人達の顔面の血流を本気で心配するよ。
……ああもう、この世界で誰かに物を頼むの極力控えよう。
でないとここの人達の胃袋を蜂の巣にして回るような事態になりかねない。
僕がこの世界で生きていくための新たな決断をしていると、マーガレットさんが何やら駆け寄ってきた。
「これを!」
そしておもむろに白魔道師よろしく羽織っていた白いフード付きマントを脱ぎ去ると、それをバフッと僕に被せた。
「わっ」
おぅ、なんだなんだ。
半ばもがくように頭から被せられたマントから顔を出す。
あ、なんかこのマントいい匂い。マーガレットさんの香水かな?
「私などが着ていた物で申し訳ありませんが、王都に着くまでの間、どうかこれでお許しください」
そう言って頭を下げるマーガレットさん。
おお、周りの皆さんが目に見えてホッとしてるよ。
お前ら王女様の気転に感謝しろよー。
それはそうとして、この場を治める面でも寒さを凌ぐ面でもこれは有難い。
「ありがとうございます」
素直に礼を言うと、マーガレットさんは恐れ多いと言わんばかりに頭を下げた。
「そんな、恐れ多い。私などにはもったいないお言葉にございます」
言わんばかりってか実際言ったけど。
さて、向こうも準備ができたみたいだし、いざ王都へ。




