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遊楽の箱庭【月の章】  作者: simaidr
第一章  始まり
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第1話 世界

 「ここは・・・・・・」

 

 あたりを見渡すと、そこには草原が広がっていた。

 

 あちこちに灰色の硬そうな何かが転がっている。


 あの灰色のはなんだろう。

 もしかしたら、はるか昔のやつだったりして。

 

 「空気がおいしい」


 私はあの地獄のような日々から抜け出せたんだ。

 世界ってこんなにもきれいだったんだね。

 遠くに何か見える・・・・・・

 あれ、私いつの間にこんなにいい服を着て・・・・・・

 ツクヨミ様のおかげかな?

 今度お礼をしないと。


 感傷に浸っていると、遠くに城壁らしきものが見えた。


 街があるのかな?

 世界を見てきてって言われたし、ツクヨミ様から連絡があるまでは街にいようかな。


 街らしきものがある方角へと足を向けたその時―――――


 「がうっ!」


 という声が聞こえ咄嗟に振り向くと、そこにはあの時の、私が最後に見たモンスターがいた。


 なんでここに!?

 どうしよう、戦う力なんて持ってないし・・・・・・

 力ってツクヨミ様は言ってたけど、どう使えばいいかがわからない。


 だんだんとモンスターが迫ってくる。


 このままじゃ死んじゃう。

 せっかくツクヨミ様に命を助けてもらったのに。

 リターン使う?

 今使ったらこの世界を全然見れない・・・・・・

 何があるのか、私が見れなかったものを見に行きたい。

 

 そう思っていた時、モンスターの目に矢が刺さった。


 「大丈夫か?」


 誰かがこちらに駆け寄ってくる。


 体格的に男の人だろうというのはわかった。

 

 見た感じ、狩人かな?

 悪い人じゃなさそう。


 「大丈夫です。助けてくれてありがとうございます」


 「礼はいらねえよ、とにかく無事でよかった。そこの街まで行くのか?」


 優しい人なんだろうけど、ずかずか聞いてくるね。

 ちょっと怖いかも。


 「はい。羽を伸ばしに」


 男は笑った。


 「はっはっは!あそこはいい街だからな。俺らの拠点がある」


 俺らってことは一人でいるわけじゃないんだね。

 確かに狩人一人じゃ心細いところもあるかも。


 「拠点?」


 「ああ、俺らは冒険者のパーティーを組んでいるんだが、あそこの、ワカサワって街に拠点を構えてるんだ」


 へえ、あの街はワカサワって言うんだ。

 冒険者、も面白そう。


 「なるほど、情報ありがとうございます」


 「嬢ちゃん1人か?よかったら街まで護衛するぞ」


 護衛、さっきみたいなこともあるだろうし、悩むな。

 でも、男の人と2人でってのはちょっと怖いな。


 「ちなみに、お金は?」


 今一番聞かなけらばならないことはこれかな。

 私は今お金ないし・・・・・・


 「当然なしでいい。正式な依頼ですらないからな」


 よかった。

 どうせ1人じゃ暇だし、お願いしてもいいな。

 この人はいい人だし。


 「それなら、お願いします」


 狩人は微笑んだ。


 「ああ、短い間だがよろしく頼む。俺はアルダルだ」


 私の名前とは違うような名前だね。

 私はこの世界について本当に知らないってのを実感しちゃった・・・・・・

 ほぼ野生児だった私にはしょうがないのかもしれないけど。


 「こちらこそ、よろしくお願いします。私は・・・・・・月宮結衣と言います」


 「月宮・・・・・・お前は月の信仰者か?」


 信仰者?

 しかも神様が複数いるみたい。

 

 「月、そうかもしれません」


 『月の光は残酷だからね』


 あの時ツクヨミ様は確かに『月』と言っていた。

 アルダルさんが言う通り私は月の派閥に属しているのかな。


 「曖昧な答えだな。まあいいか。とりあえず向かうぞ」


 そう言ってアルダルさんが歩き出した。

 

 「はい、わかりました」


 聞きたいことはたくさんあるけど、とりあえず街に向かわないと。

 アルダルさんもいい人そうでよかった。

 私について深く聞かないってことは、そういう暗黙のルールがあるのかな。

 

 などと考えながらアルダルさんについていった。


 「アルダルさん、道中でいろいろと質問してもいいですか?」


 「もちろんいいぞ。ある程度のことならこたえられるはずだ」


 よかった、これでこの世界についての情報を聞ける。

 ダメだったらツクヨミ様に聞いてたけど・・・・・・

 新しいことを知るの、何かと楽しみだな。

 どんなことを知れるんだろう。


 などと思いながら、アルダルさんとともに街へと向かった。

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