Ⅰ大人になる(6)
運命というのは都合のいい言葉だ。運命だから仕方がない。そういうものだと納得させる強い力を持っている。
「それで、試練というのは何なんだ?」
金髪の少年は、長老に向かって言った。
「おやおや、せっかちだね。まだお前たちは自己紹介もしていないのに」
「別に、名前はさっき言ったわよ。試練を一緒に受けるだけの関係なんだから、別に知らなくなって良いじゃない」
カメリアという名前の少女は、攻撃的な態度を緩めなかった。
(うわー。まじでしんどそうな子じゃないか)
自分のパートナーになるカメリアを見ながら、カタルパは嫌な気持ちになったが、それが態度に出ないように、ニコニコという顔を繕った。
「結婚をする必要はないけれども、協力はしないといけないんだ。とも越えるという経験で、結婚してしまおうと思うくらいの困難を越えるんだよ。協力的になった方が良いと思うさね」
長老は、カメリアを嗜めた。長老の口調は突き放すような感じで、目の前にいる子供たちがどうなろうとも知ったこっちゃないという感じだった。その言葉を聞いて、カタルパは背筋が凍った。
始まりの村の大人は、みんなこの試練を越えている。その試練がどのようなものだったのかは、みんなそれぞれ異なっている。大変だったという話も聞けば、楽勝だったという話も聞く。その試練を越えることで、魔法を使えるようになったり、体術だったり、それぞれ自分の力に目覚める。それは望んだ力だったという話もあれば、あまり乗り気ではないけれども、思っていたような力だったという話も聞く。